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ギリシャは2006年の
消費増税以降、財政危機に

日隅一雄
掲載月日:2012年5月22日
 独立系メディア E−wave Tokyo


 今日(2012年5月22日)の国会(衆議院社会保障・税特別委員会 )答弁で、野田首相が官僚の操り人形であることがよく分かった。それも、あまりにも初歩的なことで、正直、日本の市民であることが恥ずかしくなった。

野田首相は、みんなの党の江田憲司議員の質問に対し、相変わらず、ギリシャの問題は財政にスポットライトがあたったからだ、同じ事を日本がやってはいけないし、対岸の火事ではないと、どや顔で消費増税をするべきだと答えていた(※1の8時間14分〜)。


ギリシャの名目・実質経済成長率の推移
出典:2012年5月22日の国会(衆議院社会保障・税特別委員会 )

※1 http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=41838&media_type=
で江田議員のところをクリックした後、画面に出る時間で調整して下さい

これに対し、江田議員が冒頭のフリップを持ち出し、ギリシャの経済成長率が落ちたのは2006年からであることを示したうえ、なぜこのような急落をしたのか、と、いったん、首相を指名した後、財務大臣を指名し直して聞いた。

安住財務大臣は、分からないと答えた。その安住大臣を救うこともなく、首相はただ黙っていた。

江田議員は、2006年から消費税を5%挙げられていることを指摘した(※1の8時間16分あたり)。江田議員はほかにも原因を挙げていたが、問題は、安住財務大臣も、野田首相も、ギリシャが2006年から消費増税をしていたことを知らなかったことだ。

もし、彼らが知っていたら、安住大臣は分からないとは答えないし、野田首相もそう答えた安住大臣をフォローしたはずだ。

日本での増税議論の根拠としているギリシャの状況について、決定的に知識が足りないというのは、資質に問題があるのではないか?

少なくとも、自分の頭で、本当にギリシャの事例を増税議論で有利に使うことができるのだろうか、と考えた場合、ギリシャ破綻の原因をできるだけ正確に、かつ、多様な視点から分析するように指示するだろう。それをしていなかったわけだ。

政治生命を賭けるとした政策について、あまりにもうかつなミス。野田首相が完全に財務官僚に頼り、彼らが説明することだけを記憶すればいいと思っていることが透けて見えた瞬間だった。

そして、いかに、消費増税の根拠が薄っぺらなものだったか、その化けの皮がはがれた瞬間でもあった。

もう一度、無駄の徹底的な排除からやり直せ、と言いたい。

それにしても、日本のマスメディアは、言葉狩りのようなことはするが、今回の質問と答弁のような政策に関連した重大なやりとりは、報道しないんだろうな…。

しかし、こんな時に増税して自殺者が増えたら、いったい、野田さんらパペットや操っていた官僚は、何らかの痛みを感じるのだろうか?それとも…。