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注) 2015/6/25更新:表1、図2、図3に仙台市受託分に関する注釈を追記
上記の村井知事の会見では具体的な数字を示していないが、その後、奈須大田区議らが宮城県に直接電話などでヒヤリングしたところ、数値が明らかになった。 当初、石巻市分を中心に広域処理希望量が圧倒的に多かった宮城県では希望量が大幅に減った。 表1及び図1は、合同調査チームによる情報収集と解析の結果分かった現時点での仙台市分を含む宮城県の焼却処理量である。当初の広域処理希望量が圧倒的に多かった宮城県における見直し前後のがれき処理量と広域処理希望量の数値である。焼却処理の広域処理希望量の見直し前後をご覧頂きたい。 以下はその数字である。宮城県のがれき広域処理の希望量は、表1の茶色の部分に右端にある27.9万トンとなった。 表1 宮城県受託分のがれき量(仙台市への焼却委託分10万tを含む)
図1 宮城県受託分がれき処理量の見直し前後の量 ※全体とあるのは木質系がれきなど可燃がれき以外のがれきを含むという意味 出典:環境行政改革フォーラム+奈須議員+大田レディース合同調査チーム 図2は、宮城県受託分の焼却処理の受託分である。見直し前後で県内処理はほとんど変わっていないが、広域処理希望量は1/4以下に激減していることが分かる。 図2 宮城県受託分(がれき焼却処理量)の見直し前後の量 注:見直し後の数値165.5万tと仙台受託分10万tを合計した175.5万tが宮城県受託分合計 出典:環境行政改革フォーラム+奈須議員+大田レディース合同調査チーム 図3は図2のグラフを拡大したものだが、可燃物の広域処理量は27.9万トンと激減している。 図3 宮城県受託分の焼却処理量 注:見直し後の数値165.5万tと仙台受託分10万tを合計した175.5万tが宮城県受託分合計 出典:環境行政改革フォーラム+奈須議員+大田レディース合同調査チーム もとより、国(環境省)、宮城県が当初見積もったあらゆるがれきの量は非常にアバウトな数であり、大幅な見直しとなったのは、村井知事が述べた洋上流出を含め、もともとの焼却の対象となる建設廃材などの木材系のがれきの量が大幅に減ったことが大幅な見直しの主因となっている。これらについては宮城県を中心に担当部署に電話などで直接確認した。 合同調査チームは、環境省が昨年来、高額の省予算を取るためがれきの処理量を大幅に水増ししていたのではないかという疑惑も浮上している。 A見直し前後の岩手県の広域処理希望量 ※岩手県は見直しにより増加したが、増加分は不燃がれき結果として 広域処理希望量は激減 一方、岩手県は見直しにより一旦広域希望量が当初の予定量より大きく増えたものの、増えた多くは実は焼却処理物以外のがれきであることがわかった! さらに、岩手県では可燃物の多くをセメント会社などで処理していることからから、もともと宮城県に比べると可燃物の広域処理希望量は大幅に少ない量となっている。その結果、可燃の広域処理希望量は、見直し前の50万トンから33.1万トン(表2の茶色部分)へと大幅に減っている。 表2 岩手県受託分のがれき量
図3 岩手県受託分がれき処理量の見直し前後の量 ※全体とあるのは木質系がれきなど可燃がれき以外のがれきを含むという意味 出典:環境行政改革フォーラム+奈須議員+大田レディース合同調査チーム 図4 岩手県受託分(がれき焼却処理量)の見直し前後の量 出典:環境行政改革フォーラム+奈須議員+大田レディース合同調査チーム B被災地に設置される仮設焼却・溶融炉の処理能力 ※31基(宮城県26、岩手県2、仙台市3)の炉で処理能力激増! この1年かけ環境省が被災地自治体である宮城県、岩手県、仙台市(政令指定都市)に新規に設置する仮設の焼却・溶融炉、合計31基がこの7月中に稼働することになった。31基の処理量は、日量で4700トンとなる。 これも参議院議員会館での緊急議員学習会で青山が報告したことだが、報告時は27基としていたが、その後の調査で27基が31基に4基も増えたことになる。 表3は、合同調査チームによる仮設の焼却炉など31基についてのブロック別、地域別の基数と処理能力に関する調査結果である。被災地に仮設される31基は、宮城県(26基)、岩手県(2基)、仙台市(3基)の内訳となっている。 表3 宮城県・岩手県の仮設焼却炉の立地地区と基数、処理能力
出典:災害廃棄物の広域処理、平成24年21日環境省及び被災地自治体ヒヤリング |
したがって、年間365日の稼働ペースの場合、期限内に230万トンの処理能力があり、宮城県受託分の見直し後の可燃ゴミ処理量203.4万トンを遙かに上回ることから、期限内に処理が完了することが分かる。 図7 宮城県内の災害廃棄物処理分担イメージ 出典:環境行政改革フォーラム+奈須議員+大田レディース合同調査チーム <岩手県受託分の処理能力> 図8は、見直し前後の岩手県受託分の処理能力である。処理能力は見直し前後で大きくは変わらないが、2基の仮設焼却炉が年間365日ベースで10.7万トン、岩手県内にある基礎自治体の既設焼却炉による処理量が岩手県へのヒアリングによると44.0万トン、そして県内のセメント工場により処理量が48.6万トン、合計で合計103.3万トンとなる。 したがって、処理量が年間365日ベースの場合、全体の処理能力が103.3万トンなり、図4の見直し後の処理必要量の103.1トンを上回ることになる。すなわち広域処理が不要なこととなる。 |
C宮城県の災害廃棄物処理業務について 上記の宮城県、岩手県、仙台市に設置、稼働する31基に及ぶ焼却・溶融炉の建設費用、がれきの収集運搬、維持管理、重機損料などの費用は、ブロックごとに異なる。前回までに宮城県から公表されていたブロック別の価格、さらに最後まで残り6月7日に宮城県からFAXで届いた石巻ブロックを含めた事業費の合計額は、4,922億円という途方もない予算(参考業務価格)で宮城県においてゼネコンを中心とするJVに発注されている。 表3は宮城県の災害廃棄物処理業務・参考業務価格等を示している。 表3 宮城県の災害廃棄物処理業務・参考業務価格等
環境省資料(災害廃棄物推計量) なお、以下はブロック別の災害廃棄物処理業務のプロポーザル審査の結果である。 宮城県 災害廃棄物処理業務の概要(JV発注分) 災害廃棄物処理業務(石巻ブロック)プロポーザル審査結果について 災害廃棄物処理業務(亘理名取ブロック(名取処理区))におけるプロポーザル審査結果について 災害廃棄物処理業務(亘理名取ブロック(岩沼処理区))におけるプロポーザル審査結果について 災害廃棄物処理業務(亘理名取ブロック(亘理処理区))におけるプロポーザル審査結果について 災害廃棄物処理業務(亘理名取ブロック(山元処理区))におけるプロポーザル審査結果について 災害廃棄物処理業務(宮城東部ブロック)におけるプロポーザル審査結果について 災害廃棄物処理業務(気仙沼ブロック(南三陸処理区))におけるプロポーザル審査結果について 災害廃棄物処理業務(気仙沼ブロック(気仙沼処理区))におけるプロポーザル審査結果について 当該業務では、本来、焼却・溶融炉メーカーが前面に出るべきであるが、なぜか業務を引き受ける側には、焼却炉・溶融炉メーカーは一切名称がない。ここでも除染事業同様、ゼネコン各社となっている。しかも、きれいに大手ゼネコン各社に分配されていることが分かる。 さらに、表4を見ると 発注額/参考業務価格 が一律に84%であり、どうみても業者間さらには行政機関が絡んで価格調整が行われた形跡がある。いわゆる談合である。 すなわちこの国策と言ってもよい巨大業務の民間事業者への発注に際しては、どうみても市場原理は働いているとは思えず、大手ゼネコン全体で価格が調整されていることが伺える。これについては、別途詳細調査を行い場合によっては、公正取引委員会あるいは東京地検特捜部に刑事告発を行うものとする。 出典:環境行政改革フォーラム+奈須議員+大田レディース合同調査チームが宮城県から入手した資料に基づき作成 合同調査では、ホームページに告知されている情報及び環境省、被災地自治体への直接インタビューにより業務発注の形態(入札、指名競争入札、プロポーザル方式、総合評価方式、随意契約など)、落札価格、落札JV業者名なについても問い合わせて、費用に関しては、焼却炉・溶融炉の建設費、がれきの収集運搬、維持管理、終了後の撤収費など内訳を聞いているが、環境省側はその内訳については現状では把握していないといい宮城県は現時点で回答していない。
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