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日本弁護士連合会主催
シンポジウム
脱原発から廃炉への道筋
〜『福島』の再生に向けて〜
参加記
青山貞一 東京都市大学大学院
掲載月日:2011年11月4日
 独立系メディア E−wave Tokyo


 昨日(2011年11月3日)、日本弁護士連合会主催のシンポジウム「脱原発から廃炉への道筋−「福島」の再生に向けて−」が、福島市公会堂にて開催され、全国各地から多くの弁護士、研究者、NPO、市民などが参加しました。


福島市公会堂玄関前にて

 以下の写真はすべて鷹取敦(環境総合研究所調査部長、独立系メディア E-wave Tokyo技術部長)が撮影したものです。

 以下個人名は敬称略とさせていただきます。

<主催者側挨拶>

 まず廣嶋東北弁護士連合会会長また菅野福島弁護士連合会会長から、それぞれ原発事故以降の取り組みが報告されました。


主催者側あいさつ
撮影:鷹取敦 E-wave Tokyo, CoolPix S8 , CoolPix S8

 前半の司会は、日弁連東日本大震災・原発事故等対策本部原子力PT事務局長の秋元弁護士と日弁連公害対策・環境保全委員会委員の只野靖弁護士が担当されました。


左:只野弁護士、右:秋元弁護士
撮影:鷹取敦 E-wave Tokyo, CoolPix S8

 後半の司会は、日弁連公害対策・環境保全委員会委員の岩淵弁護士と日弁連日弁連公害対策・環境保全委員会エネルギー・原子力部会部会長の栗山弁護士がつとめられました。


左:栗山弁護士、右岩淵弁護士
撮影:鷹取敦 E-wave Tokyo, CoolPix S8

<パネル討議>


撮影:鷹取敦 E-wave Tokyo, CoolPix S8

 前半は福島第一原発事故による汚染の実態、将来にわたる積算線量、人体影響・被害、除染、災害廃棄物の処理問題などがおこなわれました。

> 青山 貞一(東京都市大学教授)
> 阪上  武(福島老朽原発を考える会(フクロウの会)代表)
> 小島 延夫(弁護士)


青山 貞一(東京都市大学教授)
撮影:鷹取敦 E-wave Tokyo, CoolPix S8


阪上  武(福島老朽原発を考える会(フクロウの会)代表)
撮影:鷹取敦 E-wave Tokyo, CoolPix S8


小島 延夫(弁護士)
撮影:鷹取敦 E-wave Tokyo, CoolPix S8

 後半は脱原発、廃炉への道筋、需要調整による電力需給の可能性、自然エネルギー供給の可能性、市民県民による自律的な地域再生のありかたなどについての発表と議論が行われました。

> 飯田 哲也(NPO法人環境エネルギー政策研究所所長)
> 鈴木  浩(福島大学名誉教授)
> 青木 秀樹(弁護士)


飯田 哲也(NPO法人環境エネルギー政策研究所所長)
撮影:鷹取敦 E-wave Tokyo, CoolPix S8


鈴木  浩(福島大学名誉教授)
撮影:鷹取敦 E-wave Tokyo, CoolPix S8


青木 秀樹(弁護士)
撮影:鷹取敦 E-wave Tokyo, CoolPix S8

 上記では福島原発事故に関連し、国、東電などの対応の課題、情報公開の不備、除染と利権、除染→移染問題、広域災害廃棄物処理による汚染の全国拡大への懸念、大学・研究機関ないなどにおける研究統制、福島市渡利地区のようなホットスポットへの行政対応の問題、電源三法による自律的なまちづくりの疎外の実態、依然として原発の新規立地を歓迎する市町村の存在、汚染者負担の原則(PPP)なども議論されました。

 後半の途中に東京出張から公会堂に駆け付けた南相馬櫻井勝延市長がフロアーから意見を述べられました。そして最後に日弁連事務総長の海渡雄一弁護士からクロージングアドレスがありました。


南相馬櫻井勝延市長
撮影:鷹取敦 E-wave Tokyo, CoolPix S8


日弁連事務総長の海渡雄一弁護士
撮影:鷹取敦 E-wave Tokyo, CoolPix S8

<市民・独立系メディアメディアによる実況・収録中継>

 地元メディアの取材も入りましたが、岩上さんのIWJ(インディペンデント・ウェーブ・ジャーナル)と飯田さんのISEPがライブでパネル討議を実況中継され、私の独立系メディア E−wave Tokyoは、鷹取さんがビデオカメラで収録しました。これらは公会堂の2階でビデオカメラを設置していました。


撮影:鷹取敦 E-wave Tokyo, CoolPix S8

 いまや大メディアではなく、インターネット系の市民メディア、独立系メディアがこの種の3−4時間に及ぶ長時間のシンポジウムや会議を中継、収録で全編公開する時代に入りました。

 昨日収録しましたビデオの編集が終了次第、配布資料(PDF)公開とYou Tubeで全編を公開します。

<各地の原発関連弁護士、弁護団、NPOなどとの交流>

 昨日は全国各地の原発訴訟で戦っている弁護士や環境公害、廃棄物関連の弁護士が多数参加され、終了後の懇親会には40−50名の弁護士が参加され、大いに議論が盛り上がりました。


独立系メディア E-wave Tokyo
撮影:鷹取敦 E-wave Tokyo, CoolPix S8

 懇親会では樋渡弁護士と、帰途の新幹線内では海渡日弁連事務総長と議論ができ大変有意義な時間をすごすことができました。

 私の関連では、環境行政改革フォーラム、ゴミ弁連、政策学校一新塾などのメンバーが東京など各地から参加してくれました。この場を借り感謝の意を表します。また企画、準備、当日の受付などにあたられました福島県の若手弁護士の皆様にも深く感謝いたします。

◆KFB福島放送・ 日弁連などが原発事故でシンポジウム
 2011年11月04日 09時18分配信

 日弁連などの主催のシンポジウム「脱原発から廃炉への道筋―福島の再生に向けて」は3日、福島市公会堂で開かれ、東京電力福島第一原発事故で生じた除染などの課題について意見を交わした。 約300人が訪れた。

 パネルディスカッションでは、青山貞一東京都市大教授や阪上武フクロウの会代表、小島延夫日弁連公害対策・環境保全委員会委員らが除染や健康被害の問題についての研究結果や提案などを発表した。

 飯田哲也環境エネルギー政策研究所長や鈴木浩福島大名誉教授らが考えを述べた「脱原発・エネルギー問題について」のパネルディスカッションも繰り広げられた。

 冒頭、菅野昭弘県弁護士会長が原発事故後の県弁護士会の取り組みを紹介した。


<青山貞一発表の発表概要>


撮影:鷹取敦 E-wave Tokyo, CoolPix S8

 青山貞一からは、とくにこの間、環境総合研究所が行ってきました3次元流体モデルによる福島第一原発事故以降の放射性物質の移流、拡散シミュレーションの結果、とりわけ3月15日と3月21日における1時間単位での気象、地形を考慮した詳細な汚染構造の解明を実際のシミュレーショングラフィックスをまじえ詳細報告しました。


撮影:鷹取敦 E-wave Tokyo, CoolPix S8

 
以下は、2011年3月15日の午後福島第一原発から飯舘村、福島市方面に放射性物質移流、拡散しているシミュレーションの一部である。この移流が飯舘村、福島市がいまだ放射線量率が高い原因となっているものと推察されます。


出典:青山貞一:当日使用したパワーポイントより 

 以下は、千葉西部(柏、松戸)の放射線レベルが高い原因と思われる2011年3月21日の移流、拡散。千葉西部に薄い緑色の高レベル地域があることがよくわかる。


撮影:鷹取敦 E-wave Tokyo, CoolPix S8

 国の原子力研究開発機構が128億円の巨費と膨大な数の研究者を投入し開発してきたSPEEDIが国、東電など原子力村の思惑などから結果的にまったく実時間的なシミュレーションに役にたたなかったばかりか、現在でも汚染構造の解明という観点からまともな報告がないことからも、昨日冒頭発表しました。

 ※国は巨費を投入しおそらく数10億円規模のスーパーコンピュータベー  スのシミュレーションシステムを開発してきましたが、私たち(環境総合研究所)では、本体価格、わずか10万円程度のパソコンでシミュレーションシステムを開発し、今までさまざまな分野で活用してきましたが、プログラムはともに同じ科学技術計算用言語、すなわちフォートラン(FORTRAN)を使っています。また地形、気象などを考慮した環境場(風場)の計算後、汚染拡散を計算するスキームもほぼ同じです。

  大きな違いは、やはり計算速度であり、私たちの場合、昨日お見せしました1風向・風速・大気安定度ごとの計算に最低でも数時間がかかります。他方、スパコンでは同一条件で数10分で計算が終わるはずです。

 この計算を最低でも1時間ごと(できれば30分毎)に繰り返すことになるので、パソコンベースではリアルタイムでの計算はどうみても無理となりますが、私たちはここ15年間、いかにしてパソコンレベルでこの種の複雑かつ巨大な計算を早くするか、また結果を3次元のグラフィックス表示するかに意を注いできました。

 現在でもその努力はすすめており、現在インテル社から売られているCPU、たとえば複数のIntel Core i5 2500Kを並列処理で使ったパソコンシステムの開発に着手しています。

 用いたモデルは運動方程式を有限差分法を用いて近似解を求める数値計算モデルで、その基本部分は、つくばの国立環境研究所の風洞実験設備で実測値をもとに検証したものです。グラフィックス機能は、環境総合研究所のSuper Splineで使っている鳥瞰、俯瞰が可能な3次元コンピュータグラフィックスシステムを援用しています。

 ところで気象学会では、会長自らが正会員個々人にシミュレーションの発表を規制するという到底信じられない状況の中で、上記の福島第一原発事故に関連する本格的な汚染構造に関するシミュレーションと実測値を含めた研究発表は官民問わずおそらくはじめてのものと思います。

 またこの間、4,6,8,10月に私たちが行ってきました福島原発関連の詳細な放射線調査(固定、移動測定、地上1mと地表面測定の比較)、それらの国、自治体調査との比較、土壌および災害廃棄物における放射能と放射線の統計解析結果、原発事故から現在さらに自然線量外の追加線量がICRPの1mSv以内となるまでの年数を含む外部被曝積算量の推計を福島市(福島大学)、飯舘村(長泥)、東京都(新宿)の3地点を対象に行い、内部被曝については、5食品類型ごとに国の暫定基準値を摂取した場合の年間積算線量の推計結果を報告しました。これらのついては、すでに独立系メデ
ィアで大部分を公開しています。

 ※事前準備が行われました公会堂講師控室で、後半のセッションのパネリ
  ストとなられた福島大学名誉教授の鈴木先生から青山さんにはかなり前
  お会いしていますと突然言われました。聞けば青山と池田こみちがその
  昔、福島大学行政社会学部に冬と夏、村山先生(現在、早稲田大学)に
  依頼され、集中講義で福島にいったとき、鈴木先生が学部長だったとの
  ことで、私たちは「環境計画論」を担当していました。  

 私たちは4月、6月、9月、10月に福島県内で行いました。以下は2回から4回目までの調査の結果です。

●第4回福島県放射線量調査結果(2011年10月)
◆青山貞一・鷹取敦・青山伸:第4回福島県内放射線測定調査 詳細結果
◆青山貞一:第4回福島県内放射線測定調査(速報)

●第3回宮城県および福島県北部放射線量調査結果(2011年9月) 
◆青山・池田・鷹取:宮城県・福島県北部放射線測定調査〜全265地点(速報)
◆青山・池田・鷹取:東北新幹線車内での放射線量測定〜東京・福島・仙台間

●第2回福島県北部放射線量調査結果(2011年6月)
◆東京都市大青山研究室・環境総合研究所:福島放射線測定現地調査
◆青山貞一・鷹取敦・池田こみち:福島原発事故に起因する放射性物質による地域汚染の実態解明と汚染構造の把握(速報),環境アセスメント学会誌、2011年 Vol.9 No.2

●第1回福島県南部放射線量測定測定結果
◆青山貞一:いわき市現地調査時(2011/4/16-17)の放射線量について

 発表の中では、主要ポイントにおける外部被曝積算量の推計結果を示しました。11月3日に青山が発表した外部被曝積算に関する詳細があります、

●福島県内の積算放射線量の推計
◆青山・池田・鷹取:東京都新宿における放射線外部被ばく積算量の推計
◆青山・池田・鷹取:福島県飯舘村における放射線外部被ばく積算量の推計 
◆青山・池田・鷹取:福島大学キャンパスにおける放射線外部被ばく積算量の推計