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  日本国民は

  なぜ不幸か(3)
            青山貞一
             政策学校一新塾代表理事
            掲載月日:2012年3月21日
                  独立系メディア E−wave Tokyo

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 以下は、2012年3月20日、東京都港区にある政策学校一新塾で代表理事、青山貞一が行った基調講演の一部である。今後、何回かに分けて基調講演の内容をお伝えしてゆきたい!




ミニ講義をする青山貞一、東京港区に政策学校一新塾にて
2012.3.20

・日本人の貧困率、とくに高齢者、女性層は深刻

 私の知人の奥さまが以前から貧困率を研究していると伺っていたので、調べてみたら確かに「日本における貧困の実態」(国立社会保障・人口問題研究所、阿部彩)という報告書(パワーポイント)がでてきた。

 当然のことだが、ミシガン大学の幸福度ランキングやOECDの国民幸福度ランキングに密接に関わるはずなので、阿部彩さんの調査報告から見てみよう!

 まず、阿部彩さんが考える貧困の基準(定義)は以下の通りである。一次元の貧困基準では、主に消費または所得をその人の生活水準の目安としており、それを貧困線を比較して貧困か否かを決定とある。この場合、貯蓄や財産は考慮していないとしている。

 次に、多元的な貧困基準では、上記の貨幣的な指標のみならず健康、栄養、社会性など多くの次元で貧困線を設定しているとあるので、ミシガン大学の社会指標のように個人の価値観、自由、社会性、民主性などまでは考慮していない。



 以下は国際比較から見た日本の貧困である。原典はOECDである。日本は全人口の約15%が貧困にあり、貧困率がメキシコ、米国、トルコ、アイルランドに続き、世界第5位にあることが分かる(赤で表示部分)。逆に貧困率が低い国は、チェコ、デンマーク(ミシガン大学幸福度調査第1位)、スウェーデン、ルクセンブルグ、オランダ、ノルウェー、フィンランドとなる。


原典:OECD、出典:「日本における貧困の実態」(国立社会保障・人口問題研究所、阿部彩)

 一方、65歳以上の高齢者に焦点を当てた貧困率比較では、日本は、アイルランド、ポルトガル、メキシコ、米国、ギリシア、オーストラリアに次いで世界第7位にある。逆に貧困率が低いのは、ニュージーランド、オランダ、チェコ、カナダ、ポーランドなどの諸国である。


原典:OECD、出典:「日本における貧困の実態」(国立社会保障・人口問題研究所、阿部彩)

 次は勤労世代に限ってみた貧困率である。ワーストワンがメキシコ、第2位が米国、日本は第3位である。逆に、チェコ、ルクセンブルグ、デンマーク、スウェーデンなどの国々では、勤労世代の貧困率は低くなっている。


原典:OECD、出典:「日本における貧困の実態」(国立社会保障・人口問題研究所、阿部彩)

 上記はOECDのデータであるが、阿部さんはさらに属性別の貧困率を分析している。以下を見ると、当然と言えば当然だが母子世帯、女性高齢者、女性単身勤労世代、勤労母子世代などの貧困率が非常に高いことが分かる。


出典:厚生労働省平成14年所得再分配調査、阿部彩2008

 以下は配偶関係別の貧困率である。貧困率が高いのは、未婚高齢者、離別高齢者、離別勤労世代などである。男性、女性では女性の方が貧困率が高くなっている。


出典:厚生労働省平成14年所得再分配調査、阿部彩2008

 以下は世界における日本の貧困率についての総括。

◆日本の貧困率は拡大している

 OECDの2000年代なかばの統計によれば、日本の相対的貧困率は14.9%で、メキシコの18.4%、トルコの17.5%、米国の17.1%に次いで4番目に貧困率が高かった(OECD加盟国の平均は10.6%)。

 逆に、西欧諸国は大半が10%以下であり、全調査国中もっとも低いスウェーデンとデンマークの5.3%を筆頭に、北欧諸国の貧困率が低い。厚生労働省の調査では、日本の貧困率は2009年の時点で16.0%であり、データが存在する1985年以降で最も高い数値となっている。

 2007年の国民生活基礎調査では、日本の2006年の等価可処分所得の中央値(254万円)の半分(127万円)未満が、相対的貧困率の対象となる。これは、単身者では手取り所得が127万円、2人世帯では180万円、3人世帯では224万円、4人世帯では254万円に相当する。

 日本は、かつての調査では北欧諸国並みの水準で、「一億総中流」と言われたが、近年、貧富格差が拡大し貧困率が増大した[1][2]。

 .....

 
相対的貧困率は、1980年代半ばから上昇している。この上昇には、「高齢化」や「単身世帯の増加」、そして1990年代からの「勤労者層の格差拡大」が影響を与えている。

 「勤労者層の格差拡大」を詳しくみると、正規労働者における格差が拡大していない一方で、正規労働者に比べ賃金が低い非正規労働者が増加、また非正規労働者間の格差が拡大しており、これが「勤労者層の格差拡大」の主要因といえる。


出典:Wikipedia


つづく