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北海道衆院5区補欠選
池田候補はなぜ僅差で負けたか!
青山貞一
独立系メディア E-wave Tokyo 共同代表
掲載月日:2016年4月25日, 26日更新拡充
 独立系メディア E−wave Tokyo


 2016年4月24日の衆議院第5区の補選結果を以下に示した。

 池田真紀候補は、善戦むなしく約12,300の差で負けました。私は後述するような理由で、この差は僅差であると思う。

 北海道5区 和田義明 135,842
         池田真紀 123,517

  町村衆院議員が亡くなられた後のいわゆる弔い戦であっただけでなく、自公が参議院議員選の前哨戦と位置づけた選挙であったこと、鈴木宗雄親子が民主党から自民党に寝返っただけでなく、野党統一に対し、自民党や安倍政権が時代錯誤の反共キャンパーンを大々的に張ったことなどもあり、池田候補がよくぞここまで善戦したというべきであろう。

 とりわけ補選の前に、鈴木宗男氏の長女が共産党についての質問主意書を政府に出し、安倍内閣が答弁書で、それに返答するという出来レースのような対応をしていたことは、きわめて由々しき問題である。

 ところで、友人が北海道庁の選挙管理委員会のデータから、選挙結果を関係市区町村別、候補別にグラフ化してみました。

 グラフを見ると、大部分の自治体で池田候補が勝っているのに、なぜか千歳市と恵庭市で、和田候補が大きく勝ち越していることを友人が指摘されました。確かに以下のグラフ(青が和田氏、赤が池田氏)を見ると、千歳市と恵庭市で、和田候補が大きく勝ち越しています。


北海道庁の選挙管理委員会のデータから友人が作成

 そこでフェイスブックの青山の友達(1834人)に、グラフを示し、なぜ、千歳市と恵庭市で、和田候補が大きく勝ち越しているのでしょういか? という質問を発したところ、数名の友達から、確か千歳市と恵庭市には自衛隊の基地があるはずというレスポンスがありました。

 さらにある友達から、「千歳市には航空自衛隊千歳基地(隊員数2500名くらいだったかと+その家族)があり、恵庭市には陸上自衛隊第7機甲師団(定員約7000名)、その他陸自部隊が駐屯しています。」という情報が寄せられました。

 下は千歳市、恵庭市にある自衛隊の基地、駐屯地、演習場、事務所などの位置です。


出典:グーグルマップ

 これで氷解しました。

 おそらく池田候補の選対本部にはわかっていたことでしょうが、国家公務員の自衛隊宿舎に反戦ビラを配布して逮捕された事件があります。

◆立川反戦ビラ配布事件

 立川反戦ビラ配布事件は、2004年1月から2月にかけて、反戦ビラ配布の目的で立川自衛隊官舎内に立ち入った3名が、住居侵入罪の容疑で逮捕・起訴された事件。一審では無罪判決。検察が控訴し、控訴審では罰金20万円または10万円の有罪判決[1]。被告人は即日上告したが、最高裁で棄却され東京高裁の有罪判決が確定した。

出典:Wikipedia

 今回は衆議院議員の補欠選挙とはいえ、千歳市と恵庭市には自衛隊の基地やその官舎、宿舎などへの各種情報提供は、通常(法定)の立ち合い演説、街頭演説、ビラ配布に比べ困難が予想されますし、もとよりここ1,2年の安倍政権の一連の解釈改憲などによる集団的自衛権の法制化と同行使に関連し、自衛隊員への国からの鼓舞があったことは難くないところでしょう。

 あえて、もし、今回の選挙がこのような巨大自衛隊基地を含む選挙区でなければ、逆に1万以上の差をつけ池田候補が当選したと推察できると非常に残念です。しかし、結果的に負けたものの、池田候補のがんばりは、全国に広く知れ渡っていると思います。

 下は池田候補の妹さんが応援演説をしている映像です。



 以下はNHKによる北海道5区補選の投票日の出口調査結果です。和田氏は自民党と公明党支持者が圧倒的ですが、「支持政党なし」が多く投票したことが分かります。

  池田さんは民進党支持者と同じ程度の無党派層の支持があったことがわかります。ということは、今回の立候補で訴えた内容が今まで政党を支持してこなかった市民に大いに影響を与えたということになります。また自民党支持者にもかなり食い込んでいることが分かります。

 一方、和田さんは自民党の票を手堅くまとめたことが分かります。

 公明党支持者は和田さん、共産党支持者は池田さんにそれぞれ投票していることもわかります。


出典:NHK

 NHKの出口調査結果は、期日前投票などが含まれておらず、全体割合はわかりません。しかし、NHKの出口調査結果をもとに和田氏と池田氏それぞれで積み上げてみました。写真がその結果です。


出典:NHK出口調査データをもとに青山貞一が作成,

 これをみると、和田氏=自民+公明+大地
        池田氏=民進+共産+社民+支持無 
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ではほぼ互角、50:50となっています。
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 一方、和田氏に大きな「支持なし」が上乗せされたことで池田氏を上回っていることもわかりました。
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 上記を見ると、池田氏は、野党共闘+「支持なし」さらに「自民」支持者からの多くの票があり、この時点で互角ですが、最終的に、和田氏へのかなりの「支持なし」が加わったことで池田氏を上回っています。
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 北海道5区の場合、和田氏が池田氏に勝った勝因は、上記のように和田氏にかなり多くの「支持なし」の票があったことです。ここに、全体で池田氏が負けた構図が見えてきました。
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 池田氏の「支持なし」票は、おそらく社会経済的弱者が中心と推察できますが、和田氏の支持政党なし票はどのような層なのか、どこからきたのか?です。

 これを明らかにするためには、NHKの出口調査の市町村別データが必要ですが、NHKは公開しそうもありません。