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米国有力NPO
パブリック・シチズン
TPP草案のリーク内容を暴露

青山貞一
掲載月日:2013年3月3月
 独立系メディア E−wave Tokyo



 以下の動画は、米国のラルフ・ネーダー氏のNPO(非営利組織)グループのひとつパブリック・シティズン(Public Citizen)がTPP草案について暴露した米国NPOデモクラシー・ナウ(Democracy Now)のドキュメント番組である。  

 ラルフ・ネーダー氏は、過去何度も米国大統領に立候補している米国の弁護士であり、過去40年間に数多くのNPOを組織してきた社会活動家である。パブリック・シティズン(Public Citizen)は、ネーダー氏が設立した数あるNPOを傘下におさめる上部組織であり、米国ではその存在を知らないひとはいない。

 青山貞一は過去、仕事で米国のワシントンDCに行ったとき、何度かネーダーグループNPOと交流しており、来日した際もネーダーの盟友、野村かつこ女史(すでに他界)とともに東京で開催された議論に参加している。

 米国のNPOについては、以下の論文を参照されたい。この論文は1976年に青山貞一が執筆したものであり、米国市民(NPO)が原発開発にどうかかわっているかについて現地調査を踏まえ、その組織、活動を詳細に報告している。

青山貞一:米国における市民運動の動向〜原発開発へのかかわりを事例として
技術と経済 No.117, 1976  今から35年前に青山が執筆した米国の反原発運動に関する論文です!

ラルフ・ネーダー氏とは

 長年環境問題、消費者の権利保護問題や民主化問題に携わっている。近年のアメリカの対外政策は帝国主義的で、大企業への利益誘導を行っており、民主主義の根本と人道に反しているとして批判をしている。大企業の持つ力にも批判的である。独立系の大統領候補として有名であり、1996年と2000年には緑の党から立候補した。しかし、2004年の選挙では緑の党から公認を得られず、無所属候補として出馬した。そして、幾つかの州で改革党などから公認を得て選挙戦を戦った。


ラルフ・ネーダー氏

 ネーダー氏は、1955年にプリンストン大学を卒業し、ハーバード大学ロースクールを1958年に卒業した。その後、アメリカ陸軍を除隊した1959年からハートフォードで弁護士として働き始めた。1961年から1963年までハートフォード大学の歴史学と政治学の教授を務めた。また上院の自動車安全問題分科会のアドバイザーも務めた。

 1971年にはネーダー氏は自ら設立してきた多くのNPOを傘下におさめる上部組織であるNPGO「パブリック・シチズン」を設立、現在では15万人の会員を擁し政府や議会、産業界などを調査・監視しているほか、国民の健康を守ったり消費者の権利を保障したりするためのさまざまな法案を通したり政府機関の設立に貢献してきた。


パブリック・シチズン

 以下はラルフ・ネーダー氏が過去米国で設立したNPOのリストである。パブリック・シティズンは、比較的早期に設立している。

1969: Center for the Study of Responsive Law
1970s: Public Interest Research Groups
1970: Center for Auto Safety
1970: Connecticut Citizen Action Group
1971: Aviation Consumer Action Project
1971: Public Citizen
1972: Clean Water Action Project
1972: Center for Women's Policy Studies
1973: Capitol Hill News Service
1980: Multinational Monitor(magazine covering multinational corporations)
1982: Trial Lawyers for Public Justice
1982: Essential Information(encourage citizen activism and
   do investigative journalism)
1983: Telecommunications Research and  Action Center
1983: National Coalition for Universities  in the Public Interest
1988: Taxpayer Assets Project
1989: Princeton Project 55   (alumni public service)
1993: Appleseed Foundation (local change)
1994: Resource Consumption Alliance  (conserve trees)
1995: Center for Insurance Research
1995: Consumer Project on Technology
1997?: Government Purchasing Project (encourage purchase of safe products)
1998: Center for Justice and Democracy
1998: Organization for Competitive Markets
1998: American Antitrust Institute (ensure fair competition)
1999: Arizona Center for Law in the Public Interest
1999?: Commercial Alert (protect family, community, and democracy from corporations)
2000: Congressional Accountability Project (fight corruption in Congress)
2001: Citizen Works  (promote NGO cooperation, build
     grassroots support, and start new groups)
2001: Democracy Rising (hold rallies to educate and empower citizens)

出典:Wikipedia他

 以下の動画は、米国の民主主義に関する有力NPO、デモクラシー・ナウ(Democracy Now)の番組のなかで、TPP草案のリーク内容をもとにパブリック・シティズンのロリ・ウォラック女史が話した内容をYouTube化したものである。

◆デモクラシー・ナウ(Democracy Now)とは
 
 デモクラシー・ナウ!は、1996年にニューヨークのWBAI-FMにて設立されたNPOのである。設立者はジャーナリストのエイミー・グッドマン、ホアン・ゴンザレス、ラリー・ベンスキー、サリム・ムワキッル、ジュリー・ドリズン。番組の主なホストはエイミー・グッドマンで、たびたびフアン・ゴンザレスが共演する。


デモクラシー・ナウ(Democracy Now)

 デモクラシー・ナウ!は、報道の中立性を守るためとして、いかなる企業、政府、公共放送協会からの資金も受けていない。デモクラシー・ナウ!の資金的基盤は、主に視聴者や基金からのものである。

 デモクラシー・ナウ!は、パシフィカ・ラジオ・ネットワークの報道番組。北米においては700以上のラジオ、地上波、衛星波、ケーブルネットワーク、インターネットにて配信されている。

 デモクラシー・ナウは、番組はメインストリームのマスコミが取り上げないようなニュースを扱うことを目的としている。デモクラシー・ナウ!の戦争と平和のレポートは、アメリカの大企業がスポンサーしているメインストリームのマスコミではめったに報道されないような人々の声や、考え方を紹介している。独立記者、国際的な記者、更にはアメリカの外交指針に直接影響を受けている普通の人々、草の根活動の指導者、平和運動家、芸術家、学術的で独立した分析などが含まれている。

出典:Wikipedia他

 リークされた米国政府のTPP草案によれば、TPPは一握りの米国企業が締結国の圧倒的多くの人々の生存権を奪う可能性があると、ロリ・ウォラック女史が述べている。

 なお、以下の<マスコミに載らない海外記事>も併せて読んで欲しい!

 ※TPPは貿易協定の衣を着た企業による世界支配の道具
   Democracy Nowの番組書き起こし内容


出典:米国NPO、 Democracy Now番組

 なお、パブリックシティズンによるTPP草案リークの関連情報は以下にある

 Leaked Trade Negotiation Documents byPublic Citizen (Washington D.C.)

 以下はリークされたTPP草案に関するドキュメントの内訳

 Leaked Trade Negotiation Documents

 US Documents
 ・Leaked TPP text on Copyright Limitations and Exceptions
     (links to keionline.org) August, 2012
 ・Leaked US Proposed Investment Chapter (Links to citizenstrade.org)
    June, 2012
 ・Leaked US Proposed TBT Annexes on Medical Devices,
    Pharmaceutical Products and Cosmetic Products
     (links to citizenstrade.org), October, 2011
 ・Leaked US Proposed Transparency Text (links to citizenstrade.org),
     October, 2011
 ・Leaked US Proposed IP Text (links to citizenstrade.org),
     October, 2011
 ・Leaked US Trans-Pacific FTA Paper on Eliminating Pre-Grant
     Opposition, July, 2011
 ・Leaked US Proposed IP Text (links to keionline.org), February, 2011

 New Zealand Documents
 ・Leaked Proposed Intellectual Property Text, February, 2011
 ・Leaked Paper submitted by New Zealand on IP Proposal, December, 2010

 Chile Documents
 ・Leaked Preliminary Intellectual Property Proposals, February, 2011

 ・Regulatory Coherence
  Leaked Regulatory Coherence Text (links to citizenstrade.org),
  October, 2011

 パブリック・シティズンのTPP関連サイト

 また、以下の記述は、動画を見られた「神州の泉」ブログのコメントを要約したものである。

 女史によれば、TPPのリーク・ドキュメントは、表向きは貿易協定になっているが、その実、TPPは米国企業による世界統治のツールであり、加盟国は例外なくすべての規定が適用され、国内法も規制も行政手続もTPPに準拠させなければならないとしている。

 TPP草案全26章のうち、貿易関連部分はわずか2章、他はすべて企業に特権を与え、各国政府の権限を奪うものであると、女史は明らかにしている。

 約600人の米国企業の顧問がTPP草案にアクセスできるのに、上院貿易委員会のワイデン委員長らはカヤの外に置かれていたとも述べている。

 パブリック・シティズンは、製薬企業大手に特許権を拡大する条項も入手した。これによればTPPは医薬品の価格を急騰させる、と述べている。

 米国通商代表部(USTR)から(この番組、内容は動画)に対するコメントでは、TPP草案は十分な透明性を持ち説明責任を果たしていると述べている。しかし、ロリ・ウォラック女史は、説明会で意見を言うことはできるが、環境、消費者、労働者などのNPOが出した意見は何一つ草案には反映されていないと明言している。

 1990年代のFTAA(米州自由貿易協定)では、2年かけて34カ国が協議し、全草案が各国で公開された。ところがTPP交渉は3年目になるが一行たりともTPP草案は公開されていない。さらにTPP締結後4年間は非公開という密約もある。

 パブリック・シティズンがカーク通商代表(USTR)に「なぜ公開しないのか?」と聞いたら、答えは「FTAA交渉では公開したら暗礁に乗り上げていた」と述べたそうだ。

 ロリ・ウォラック女史は「TPPは強制力ある世界統治体制に移行する恐れがある」と断言している。