エントランスへはここをクリック   

動画に見る中国の「五四運動」について

青山貞一 Teiichi Aoyama(東京都市大学名誉教授)
独立系メディア E-wave Tokyo 2021年5月5
日 公開 

 <無知程恐ろしいものはない>と西洋の哲学者で実践家は言ったが、日本人ほど世界史に無知な国民はいないと思う。
,,
 とりわけ満州を侵略し、日中事変を起こし、その延長で上海事変、そして南京事変を起こした日本の国民は、自国が中国大陸で起こした侵略戦争やそれに対する中国民の抵抗の歴史について殆ど知らない。

 本当に困ったものだと思う。それでいて、今の日本人は欧米やそのコピペの日本の大メディアが報ずる歴史を無視した三度ほど知らずの中国批判、それに事実を確かめず、欧米が中国を妬みにし、誹謗することで、その度合いがますます酷くなっていると思う。自分の頭で考えないばかりか、メディアや活字などを鵜呑みにする度合いで、日本人は世界一の70%超となっている。これは恥である。

 本稿で概要を解説する動画は、五四運動 である。出典は中央電視台(CCTV)/環球時報(Global Times)。である。


,出典:五四運動動画 中央電視台(CCTV)/環球時報(Global Times)

 中国の「五四運動」は、当然、五月四日に起きたことからそう呼ばれている。1919年、中国に侵攻し上海などに租界地をもっていた英米仏などの列強に対する中国の意向がベルサイユ条約により却下されたことによって五月四日運動が起きた。


上海共同租界旗。中央の円の中には各国の国旗が描かれており左上に英、米、蘭(オランダ)、独、右上に露、丁(デンマーク)、伊、葡(ポルトガル)、下部に瑞(スウェーデン)、墺(オーストリア)、西(スペイン)、仏の旗になっている。表記されているラテン語は「全て(の国)が一つの仲間に」の意
Source:Wikimedia Commons パブリック・ドメイン, リンクによる


19世紀末の列強租界地の概要  出典:コトバンク

  下は列強の租界地となった上海南京路を軍服で街を行進する英国軍だ。動画を見ると軍人の多くは当時、植民地だったインド兵(傭兵)である。


上海の南京路を跋扈する英国軍   
出典:五四運動動画 中央電視台(CCTV)/環球時報(Global Times)


上海の南京路を跋扈する英国軍   
出典:五四運動動画 中央電視台(CCTV)/環球時報(Global Times)


列強による中国人の強制労働
出典:五四運動動画 中央電視台(CCTV)/環球時報(Global Times)


列強による中国人の強制労働
出典:五四運動動画 中央電視台(CCTV)/環球時報(Global Times)


列強による中国人の強制労働
出典:五四運動動画 中央電視台(CCTV)/環球時報(Global Times)

 列強の立場を踏襲するベルサイユ条約の結果に不満をもつ学生、若者が中心となり北京から全国に広がった抗日、反帝国主義運動であり、それは抗日・反帝国主義だけではなく中国における反封建主義の側面もあった。


列強の立場を踏襲するベルサイユ条約
出典:五四運動動画 中央電視台(CCTV)/環球時報(Global Times)


ベルサイユ条約の調印
Source: WikimediaCommons パブリック・ドメイン, リンクによる

 動画の最初に流れる曲は有名な International である。International は戦前の中国国民の一種の国家に類するものであった。1917年帝政ロシアで始まったレーニンらによる社会主義革命とソ連の誕生を受け、中国の五四運動はその影響を受けて行く。また後の中国革命の中心となる毛沢東(26歳)や周恩来(21歳)なども、この頃から革命運動に参加し始めることとなる。

 五四運動動画 環球時報(Global Times)
,

中国の五四運動
出典:五四運動動画 中央電視台(CCTV)/環球時報(Global Times)


中国天津における五四運動  
出典:五四運動動画 中央電視台(CCTV)/環球時報(Global Times)


中国における五四運動における先駆者  
出典:五四運動動画 中央電視台(CCTV)/環球時報(Global Times)



1920年7月1日 北京における少年中国学会の会員
出典:五四運動動画 中央電視台(CCTV)/環球時報(Global Times)


中国共産党宣言正式成立と主要メンバー(一部) 
出典:五四運動動画 中央電視台(CCTV)/環球時報(Global Times)

 International は欧米日など列強からの圧政に中国国民が抗する際に歌われた曲であり歌である。日本でも1960-1970年代の学生運動で最も謳われたのが、この曲であり歌である。以下に歌詞(日本語)を示す。

インターナショナル International  歌詞・曲入り動画

 起て飢えたる者よ 今ぞ日は近し
 醒めよ我が同胞(はらから) 暁(あかつき)は来ぬ
 暴虐の鎖 断つ日 旗は血に燃えて
 海を隔てつ我等 腕(かいな)結びゆく
 いざ闘わん いざ 奮い立て いざ
 あぁ インターナショナル 我等がもの
 いざ闘わん いざ 奮い立て いざ
 あぁ インターナショナル 我等がもの

 聞け我等が雄たけび 天地轟きて
 屍(かばね)越ゆる我が旗 行く手を守る
 圧制の壁破りて 固き我が腕(かいな)
 今ぞ高く掲げん 我が勝利の旗
 いざ闘わん いざ 奮い立て いざ
 あぁ インターナショナル 我等がもの
 いざ闘わん いざ 奮い立て いざ
 あぁ インターナショナル 我等がもの
,