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   環境総合研究所
自主調査研究、30年間の軌跡


福島第一原発事故と健康影響
Fukushima Daiichi nuclear accident
and health effects
概要、論考、論文、報告、記事、文献

執筆主担当:鷹取 敦
掲載月日:2017年6月10日
独立系メディア E−wave Tokyo

無断転載禁

<概要>

 東京電力福島第一原発事故により放出された放射性物質は、福島県を中心に国土の広い範囲を汚染しました。

 一般に、放射性物質による被害は、被ばくによる直接の健康リスクのみが注目されがちです。そのため、被ばくと健康影響の因果関係の既存の知見に対する疑義や、放射線と健康リスクに関する知識の不足等に問題が矮小化されてきました。そして、国は「リスクコミュニケーション」と称して、一方的に広報等により国民に知識を与えることで問題が解決できるかのような対応をとっています。金目の問題であるとさらに矮小化した発言をする政治家もいました。

 実際には、被ばくによる直接の健康リスクは、放射性物質が社会の中にばらまかれたときに生じる被害の一部でしかないことは、過去の放射性物質に関する事故の教訓からも明らかであり、健康リスクのみに着目しては、原発事故の被害の実態を矮小化し、過小評価することに他なりません。

 地域社会に放射性物質がばらまかれることにより、何十万人もの人が避難を強いられ、あるいは自主的な避難を余儀なくされたり、汚染により農業・漁業等が継続できなくなり収入だけでなく生きがいが奪われ将来に悲観したり、避難等による人口減少による「過疎化」が地域社会の維持が困難になる。避難の過程あるいは長期の避難生活よる死亡者も多数にのぼっています。

 あるいは家族、知人間における被ばくと健康リスクに関する考え方の違いから人間関係が壊れ、母子避難等により貧困生活に陥ったり、デマを含む誤った情報や差別、あるいは甲状腺検査によるがんが発見されることにより精神的に大きなストレスを抱えたりすることも、原発事故による大きな被害です。

 健康リスクをはるかに上回る、社会や生活に対する実際の被害が既に生じていることについて見落とされがちです。

 これらは、東京電力の起こした原発事故による放射性物質が広く社会に存在すること、国の政策に意志決定過程が不透明で当事者である住民参加が無いこと、先入観を持ち誤った知識による健康影響を過大に主張する人達がいること等、被害者への具体的な困難について関心をもたない大多数の人々等、様々なことがその要因となっています。

 環境総合研究所では、これらの様々な側面について考察し、問題提起してきました。


執筆担当:鷹取敦

タイトル 主担当 掲載媒体
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