欧州紀行奮闘記
(その1:ウィーン)

青山 貞一、池田こみち
 環境総合研究所


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写真は青山貞一が撮影、文は青山貞一及び池田こみちが執筆。上の写真はウィーンのステファン寺院。
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はじめに

 2002年8月12日から16日までスペインのバルセロナで開かれる国際ダイオキシン会議(DIOXIN 2002)に参加した。国際会議の開催前後、ウィーン、プラハ、ザルツブルグなど中央、東ヨーロッパ諸国の諸都市を駆け足で見て回ることとした。昨年のこの会議は、韓国の慶州で開催された。今回の全行程は8月7日から21日である。

 一年中で最も切符がとりにくいお盆の時期、一ヶ月半前に格安航空券を物色した。何しろ帰りがお盆に引っかかることもあり、往復で15万円前後の格安の航空券はなかなかとれない。

 シンガポール航空、マレーシア航空、大韓航空、中華航空、エアロフロート航空など、格安でおなじみの航空券はほとんど満席、HISでシンガポール航空のコペンハーゲンがとれるだけという有様だった。HISやエア・リンクなどは、インターネットを見るとまだ残席があるようになっているが、予約しようとすると格安切符はほぼ全滅である。そこでさらにインターネットを物色。eツアー(e-tour)というホームページ上で予約可能な格安航空券会社を見つけた。きめ細かく物色するが、それでもななかか良い切符がない。

 やっと中華航空のフランクフルト行き往復切符が見つかった。値段もほどほどだ。これを予約する。さらに探す。同じ台湾をホームグラウンドとするエバ航空のウィーン便が一部ウエイティングがあるが予約する。約15万円。もちろん、20万円近く出せばこの時期でもある程度の切符は見つかる。しかし、15万円前後となると、帰国が8月20前後の場合、ほとんどダメ。結局、エバ航空のオーストリア(ウィーン)往復便となった。

 次はウィーンと国際会議の開催地、バルセロナとの往復をどうするかが問題だ。高速列車でもかなりの時間がかかる。できれば往復とも飛行機にしたい。またインターネットで探す。するとEキップという、在欧邦人向け、しかもウィーンと欧州主要都市を格安で結ぶ航空券があることを知る。オーストリア航空東京支店に直接電話、するとEキップはすでになくなっているという。だが、Aパスという類似の航空券があるという。詳しく聞くと、1日にウィーンとバルセロナをつなぐ便が1つあるとのこと。だが、8月はかなりの日が満席になっている。結局ウィーンからバルセロナを8月12日、バルセロナからウィーンを8月17日として予約する。

 次はホテルだ。HISのホームページにある「世界のホテル予約」から、ゆく先々のホテルを物色。何しろ、ウィーン→プラハ→ウィーン→バルセロナ→ウィーン→ザルツブルグ→ウィーン→成田なので、学会で滞在するバルセロナの5泊以外はせいぜい2泊、多くは1泊となる。ウィーンは当初、全宿泊をステファン寺院近くの旧市街にあるグラーベンホテルにとる。が実際に予約を入れると初日は満員でダメ。そこで初日だけウィーン西駅とウィーン南駅の中点にあるアナナスを予約する。結局これが正解だった。というのも旧市街地中心部は狭い路地が多く車が入りにくいからだ。ウィーンで会うモニタリング・システム社のシュタイナーさんは車でホテルまで迎えに来ることなっていた。渋滞と一方通行などが多い中心街よりちょっとはずれたアナナスの方がよかったからである。

 プラハのホテルは市街地の一番北に位置している。旧ホリデーイン、新名称、クラウン・プラザ・ホテルだ。ここに決めた。地図で確認するとちょっとアクセスが心配だったが、いざとなったらタクシーで行こうということで決定した。このホテルは、プラハの高級住宅地の入り口にある。値段の割に高級で、実にいたれりつくせりだった。しかも心配したアクセスは、地下鉄とトラムという路面電車を使えば、たいしたことはない。さらに、プラハ城にも歩いて行けるのがよい。

 肝心な国際会議の開催地バルセロナは、1週間の日程ということもあり、できれば会場に近く、しかも安いホテルがよい。学会からの案内にあったホテルはいずれも値段が高い。これもインターネットで探す。最終的に選んだのは、会場となったスペイン広場から地下鉄で一つ東に行ったロカフォルト駅から路地ひとつを入ったところにある長期滞在者用のアパルト・ホテル・カラベリアである。カラベリアとは通りの名前、アパルトとは、アパートを意味する。アパート形式のホテルと言う意味だ。各部屋に小さな台所が付いているタイプである。ホテルの一階にスーパーがあった。結果的にこれは大正解だった。自炊が可能なので、日本の1/5以下と安く新鮮な野菜などを買い、冷蔵庫に入れておき、それを料理して毎日食べた。


8月7日 成田を出発

 成田を午後2時ちょっとに出発した。台湾のエバ航空のウィーン便は、台北、バンコックを経由する。そのためウィーンまで都合23時間もかかった。現地時間8日の早朝4時にウィーン国際空港に到着した。この間、台北中正国際空港(機場)で3時間、バンコック国際空港でも空港内で2時間のトランジットとなった。それでも年間で一番高額となる時期に1人往復で15万円は格安である。

8月8日 ウィーン1日目

 ウィーン国際空港への到着は、現地時間で午前4時。
 ウィーン国際空港で荷物を確認し、ユーロに両替をしたあと空港で洗面をする。1ユーロは約120円である。日本円をユーロに換えた。到着が早すぎ、ウィーン市街地へのリムジンは午前5時30分が始発、電車もその後なので、まずは午前5時20分まで空港内で待った。午前5時30分空港発ウィーン南駅経由ウィーン西駅行きのリムジンに乗った。

 空港からウィーン南駅までのリムジンは一人、5.8ユーロ(約700円)。ウィーン南駅で降りる。売店でまずは地図を買う。地図を買ったところのおばさんにアナナスホテルまでの道順を聞く。しかし、バスのりばが分からず再度おばさんに聞きにもどる。距離は1km程度のはずだが、バスにのりピルグラムガッセまで行く。中世さながらの古い町並みのなかをバスがゆっくり走る。ピルグラム・ガッセに到着。ガッセは小さな道の意味。下車。バス停近くのパン屋さんで行き先のアナナスホテルの場所を聞く。何とすぐとなりだった。フロントでバウチャーをわたし、大きな荷物をあずかってもらう。チェックインには早すぎるからだ。このホテルは400室以上もある大きなホテル。団体の観光客も多く利用している。ホテル周りには大型バスが何台も停車していた。


 東京からアポイントメントを取っていたウィーンに本社があるモニタリング・システム社(MS)のシュタイナー氏との待ち合わせの時間は午前9時30分。まだ3時間もある。そこでウィーン南駅で買った地図を頼りにウィーン旧市街の中心部まで散歩する。ウィーンツァイレから旧市街中心部まで歩く。その道路に沿って地下鉄がある。その上に市場がある。市場はまだ早すぎて開いていない店が多い。果物がめちゃめちゃ安い。中心部までは15分くらいで到着。建築学会の建物と思われるビルの脇を通り、ウィーンの宮殿に入る。馬車が多数いる。宮殿を抜けさらに中心街に入る。


ウィーンの朝市
ウィーン旧市街にある建築学会ビル
ホーフブルグ王宮内の馬車
ウィーンの地下鉄路線図。小さな都市だが、東京並みに
整備されていてタクシーはほとんど不要だ。路線の真ん中
がステファン寺院駅となる。(赤と橙の交点)

 

9時前になったのでホテルにU4という地下鉄で帰る。ピルグラム駅はここから2つめだ。ホテルに帰り少し待つとと、シュタイナー親子が車で私達を迎えに来ていた。4人で車に乗り、ウィーンで最新の都市ゴミ焼却施設の現場に向かう。奇妙なデザインをした煙突が見えてくる。その焼却施設は、日量600トンを処理する。煙突だけでなく、建物も実に奇妙なデザインだ。入り口でシュタイナーさんが手続きをとる。中にはいるとどこでもそうだが、プレゼンテーションルームに案内され、VTRで説明を受ける。このVTRはあとで実物を貰った。

 この焼却炉は最新のもので、立派な脱硝システムがついていた。EU諸国ではこの脱硝システムがダイオキシン削減に大きな役割を果たしていると言う。工場内部もくまなく見せて貰う。オーストリアでは、焼却炉の廃熱は地域暖房用に使っており、廃熱利用のネットワーキングシステムが市内に広範囲に広がっている。またゴミ発電も行なわれ、その発電量の1/3を工場内部で使うほかは、商業電力ネットワークシステム(系統電力)に買電していた。


新焼却施設事務棟の入り口にて
ユニークな煙突をした最新のゴミ焼却施設

 工場見学後、シュタイナー親子の好意で昼食をウィーンタワーの展望回転式レストランでごちそうになる。
 仔牛のカツレツ(ウィンナー・シュニッツェルという。)をいただいた。ウィーン名物である。この場所は、ドナウ川のほとりで地上150m以上のところに展望台があるのでウィーン市内がよく見える。食事後、シュタイナー氏の会社に車で向かう。途中、すごく面白い形をした大テントがあった。ここでウィーン市内のゴミの分別処理をしているという。工業団地とおぼしき一角にシュタイナー氏の工場があった。ここで、ダイオキシン排ガス連続モニタリングシステム(DMS)が作られていた。工場内には、数名の技術者が組み立て作業を行なっていた。これで初日のテクニカルプログラムを終了。午後のカルチャー・プログラムに入る。


ウィーンタワーレストランでの昼食。
ここのカツレツがおいしかった。
おもしろい形をしたウィーンのリサイクルセンター

 工場見学後、シュタイナー親子の案内でステファン寺院近くから徒歩で市内見学を行なう。ステファン寺院内部に入った。ステファン寺院の横にある銀行の壁に、シュタイナーさんらがかかわったウィーン市の大気汚染濃度掲示板、それも常時監視結果の掲示板があった。費用は銀行が出したという。最後は、ウィーン市役所前だ。ここには1000名の観客座席を持った野外ステージがあり、毎夜音楽会をしているという。時間が早く、まだ観客は集まっていなかったが、ウィーンフィルのニューイヤーコンサートはじめ著名な音楽家、指揮者による演奏もここでは、無料で楽しめる。


ウィーンの名所、ステファン寺院
ステファン寺院横の銀行の壁に取り付けられた
大気汚染濃度常時監視表示板
ウィーン市役所前の野外コンサート
時間が早くまだ観客は集まっていなかった。


 ウィーン市役所からホテルに一端もどり、午後7時30分にホテルでシュタイナー親子とまちあわせ、ディナーにでかけた。わたくしはスパゲッティ(700円ほど)を注文した。すごくおいしいトマト味のスパゲティーだった。長旅で疲れていたこともあり、軽めの夕食となったが、ラザニアやスパゲッティなどのイタリア料理もこのレストランではオーストリア風にアレンジされており、おいしかった。

8月9日 ウィーン2日目

 朝早く起き、毎年ウィーンフィルのニューイヤーコンサートが開催される楽友協会を探す。地下鉄の下車駅をひとつまちがえ、焦るが、なんとか行き着いた。デジカメで写真を撮る。今年は小澤征爾氏が指揮をとっている。何と言ってもかのウィーンフィルの牙城だ。


毎年ウィーンフィルのニューイヤー
コンサートが開かれる楽友協会


 午前9時にシュタイナー親子がアナナスホテルまで車で迎えにくる。午前中は、ダイオキシン排ガスの連続モニタリングシステム(DMS)が設置されているウイーン西部のシェーンブリュン宮殿郊外にある設置後37年もたつ古い焼却炉を見学に行く。マリアテレサの居城、シェーンビュルグ宮殿近くにある。日量700トンの大型炉である。煙突は150mくらいあると言う。


シェーンブリュグ宮殿近くの古い焼却施設
ここにシュターナー氏の会社の排ガス連続モニタリングシステム(DMS)がついている


 到着後、シュタイナー氏が手続きをすませ、工場内に入った。集合煙突部分にサンプリングのプローブユニットがある。その場所には他の汚染物質のセンサーも多数設置してあった。昨日工場で見たのと似たシステム一式が設置されていた。さらにインターネット・システムを使ったネットーワークを見るため工場内の管理室に入ってみた。作業員が実際にCRT画面を見せてくれた。彼は、このシステムを導入して大変楽になったと話していた。ドイツでは、AMESAのような連続サンプリングシステムの導入の背景に必ずといってよいほど市民運動が展開されていたが、ここでは市民のダイオキシン問題への関心はそれほど高くなく、この焼却施設でも、施設側のニーズから同システムを導入したという。工場周辺は丘陵地となっており、戸建て住宅が広がる良好な住宅地でもあり、日本的な感覚からすると、市民の反応が相当厳しいのではないかと思われたが、以外に関心は低く事業者への信頼は高いというのでちょっと驚いた。


ダイオキシン排ガス連続モニタリングシステム
排ガスモニタリングシステムをホームページから
コントロールするシュタイナー氏

 焼却炉見学後、シェーンブリュグ宮殿を見学。かの女帝マリアテレザのお城である。ウィーンの生みの親でもあるフランツ・ジョセフもこの宮殿にすんでいた。巨大広大なシェーンブリュグ宮殿で飲んだいっぱいのウィンナコーヒーがうまいことうまいこと。時間の関係で宮殿内部には入らなかった。200mくらいの行列があったからだ。宮殿見学後、ウィーン南駅そばのベルベデーレ宮殿にも案内された。ここもだだっぴろい宮殿だ。宮殿内は現在、有名画家の絵画がたくさん掲示されている。ムンクとシーレの絵画が有名。印象派の代表であるモネの絵もあった。

シェーンブリュグ宮殿
ベルベデーレ宮殿

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写真は青山貞一が撮影、文は青山貞一及び池田こみちが執筆。
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その2につづく