エントランスへはここをクリック   

弁護士が同席しない
日本の取り調べは信用できない

米ジャーナリスト談

日刊ゲンダイ
29 Jan. 2010


在日50年の米国人ジャーナリスト サム・ジェームソン氏
小沢捜査を斬る 「弁護士が同席しない日本の取り調べは信用できない」
だから「地位協定」も改訂できないのです。

 政治とカネをめぐる「小沢vs検察」の攻防は、在日50年の知日派米国人ジャーナリストの目にも異様に映っている。大マスコミが小沢幹事長を犯人のように扱う現状や日本の取り調べ手法を、元ロサンゼルス・タイムス東京支局長で現在はフリーのジャーナリスト、サム・ジェームソン氏(73)が、バッサリ斬り捨てた。

 戦争の時や昭和30年代は、日本には全く民主主義がなかった。人が逮捕されても国民に知らされない。そんな時代があった国なのに、検察の言い分を全部信用するなんて、とうてい理解できません。日本国憲法には、有罪判決がでるまでは有罪ではないという法律の基本がある。それがなかったら裁判がいらなくなってしまう。

 日本では、逮捕された後22日間、朝から晩まで寝る時間もほとんど与えず取り調べる。そのうえ弁護士が同席しない。これは大問題ですし、日米関係にも影響しています。個人的な意見ですが、最近も、沖縄で米兵のひき逃げ事件がありました。

 米国側が「起訴までは身柄を渡せない」というのは、取り調べに弁護士が同席しないなら、容疑者の段階では引き渡せないということです。つまり、日本の取り調べのやり方は信用できないということ。だから、「地位協定」は改定できないのです。

 検察は、裏でリークするのではなく、自分の名前を語ってテレビカメラの前で小沢さんの容疑を明確にすればいい。無責任きわまりない状況です。責任ある発言は記者会見なんです。それ以外はウワサの域を出ない。新聞の政治記事に、「腹が固まったようである」という言い方がありますが、それを見た瞬間に「この記事は読む価値がない」と判断しています。

■小沢さんは理屈に合う質問には答える人です

 小沢さんとは、細川政権の時、外国人記者のグループで毎月懇談していました。

 非常に論理的でどんな質問にも答え尽くそうとしていたのが印象的でした。日本のプレスは「いつ説明責任を果たすのか」と表面的なことばかり何度も何度も繰り返し質問するので、我慢強くない小沢さんが怒るシーンが(記者会見などで)撮影されていますが、本来、理屈に合う質問をする人には理屈に合う返事をする人です。

 (マリナーズの)イチローも同じじゃないですか。シアトルに渡った最初の頃、日本の記者は「今朝、何を食べましたか」といった質問をした。イチローは、職人的な野球人なので練習したいし、そんな邪魔な質問には耐えられない。小沢さんも同じタイプですよ。

 小沢さんは自分なりの政策や考え方を持っている。その意味では、日本では新しい政治家です。昔の派閥の領袖はムードと触れ合いだけだった。日本人は強い指導者が欲しい、と言いながら、本音では強い指導者が嫌いなんです。矛盾していますよ。