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環境立県
滋賀県の産廃委員会事情(5)
〜地元住民集会〜


池田こみち

掲載日:2007年9月29日



連載<審議会>

 滋賀県が追加調査結果について記者発表を行った9月26日の夜、栗東市の地元では、対策委員会の委員らを交えての地元住民集会を開催した。会合に先立って改めてRD最終処分場の現場を視察し、倒壊が危惧されている焼却炉の状況や調査井戸からのガス臭、処分場の表面の状況、沈砂池と経堂が池との位置関係などについて確認を行った。

<参加した委員>
 梶山正三 (滋賀県RD最終処分場対策委員会委員)
 横山卓雄 (同上、栗東市環境調査委員会委員)
 関口鉄夫 (前 栗東市環境調査委員会委員)
 池田こみち(滋賀県RD最終処分場対策委員会委員)



住民集会資料(PDF)

現場の様子>

1.焼却炉
 処分場内には、もっぱら特別管理廃棄物(感染性医療廃棄物などプラスチック類など)を焼却していたと思われる乾留式ガス化炉と木くず用の焼却炉の2つが錆びて朽ち果てたまま放置されている。当日発表された調査結果によると、焼却炉内には3900ng-TEQ/gものダイオキシンが付着しているという。


乾留式ガス化炉全容(煙突内が3,900ng-TEQ/g)


電気集塵機断熱材の剥離した断熱材(グラスウールかアスベストか不明だが、大量に周辺に脱落している)


灰出し用ピットに溜まった雨水(ダイオキシンは1.8pg-TEQ/L)


現場で議論する住民と対策委員


ガス臭を確認する梶山弁護士


木くず焼却炉


沈砂池と下流の経堂が池(処分場の汚染が経堂が池に及んでいる)

<住民集会:チラシPDF参照>
 夜7時半から始まった地元住民集会にはおよそ60名が参加した。まず、参加した対策委員会委員(梶山・早川・池田)から「RD最終処分場問題の現状と課題〜市民が目指すべき方向〜」(PDF参照)と題して問題提起を行い、それぞれから現状認識や今後の方向性などについての見解を述べた。


主催者挨拶(栗東ニューハイツ自治会「地域環境を守る特別委員会」)


会場の様子

 その後、参加した地元住民の方々からと意見交換を行い、10時近くまで熱心な議論が続けられた。主な論点は多岐に渡った。主な論点は次の通りである。(順不同)

・処分場の跡地の利用について地域住民はどう考えるべきか。子供が遊べたり、自然について学習できるような場にできないものか。微生物を利用した浄化作 戦やビオトープづくりなども検討してはどうか。

・全量撤去は大前提だが、さりとて莫大な県費を投じることについて住民、県民の合意が得られるのか。

・滋賀県と栗東市の関係はどのようになっているのか。どちらが主体で進めるべきなのか。

・住民グループが分裂しているのではないか。どのように連携して運動を進めるべきか。

・飲料水、地下水の安全を確保するため、下流域住民も巻き込んで運動を展開すべきだ。

・まずは未確認の有害廃棄物を掘り出して確認することが先決ではないか。

・向かうべき方向について合意が市民の間で得られるか。

・到達目標について合意できれば、多様なグループが多様なアプローチをしてもいいのではないか。

・対策工事についてどのような戦略をもつべきか。調査を先行させるのか、対策をやりながら調査を進めるのか。

・地元の運動をしっかり作り上げるためにはどうすればいいのか。

・処分場の環境影響、環境リスク評価についてどう考えるべきなのか。

・滋賀県はどうしようと考えているのか。それに対して地域住民は何をぶつけるべきなのか。

・汚染のひどい焼却炉については、早急な対応が必要ではないか。(飛散防止と 地下への浸透防止のため)

 RD処分場問題はすでに取り組みを初めてから8年あまりが経過し、地元住民の間にもあきらめや疲労がたまり、集中力が無くなりかけている面も見られるが、県が進めている対策委員会や検証委員会での議論や検討が無駄にならないように、ここ一番しっかりと腰を据え、県の姿勢を質していくことが必要な時期に来ていることは間違いない。栗東市が住民と一緒に長期にわたり市民参加により蓄積してきた調査データや市と市民の間での合意・共通認識などが今後の対策にも反映されることが望まれる。

 つづく