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嘉手納空軍基地内
超高濃度PCB土壌汚染発覚

池田こみち
掲載月日:2014年3月18日
 独立系メディア E−wave
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※ 独立系メディア E-wave Tokyo  有害 沖縄

 今日、沖縄の嘉手納空軍基地内の倉庫付近の土壌から高濃度のPCBが検出され
ていたことがジャパン・タイムスに掲載された。Jon Mitchel氏の取材による。

 この記事に関連し、琉球朝日放送(QAB)から取材があり、電話インタビューに対応したが、あまりにも時間が短く、ごく一部しか放送されなかったので、以下にコメントをまとめて掲載しておく。


ジャパン・タイムスに掲載された。Jon Mitchel氏の記事

QABからの質問@
ジャパンタイムズの記事によるとPCBの数値は2000PPM超え、5000PPMとなっていますが、この数値は危険なものでしょうか?

池田

まず、5000ppmというPCBはどこから、何から出たのかですが、これが 土壌だということなので、そこがまず重要です。トランスやコンデンサの油が環境中にしみこんでいると言うことです。5000ppmというのは5000mg/kgにほぼ等しく、0.5%に相当します!!

PCBはトランスの油などに使用されており、使用後に廃棄物として処分できるかどうかが厳しくチェックされます。そもそも土壌や水(地下水など)には含まれていてはいけない物です。

日本には土壌の環境基準がありますが、サンプルの土を水に溶かして、しばらくその水を振とうした後その水の中にPCBが「検液中に検出されな いこと」となっています。

また、都市部の土壌汚染対策のために制定された土壌汚染対策法では、土壌が舞い上がって口から人体に取り込まれるリスクを想定して、やはり、土壌環境基準と同様に、サンプルの土から「検出されないこと」 (水に溶け出さないこと)が定められています。

一方、川や湖の底の泥については、暫定除去基準値が定められており、PCBについては、10ppm以上と定められています。(底質の乾燥重量当たり)10ppmを超えたら除去の必要があるという意味です。
 
  また、地下水や飲料水、河川水などについては、人の健康の保護に関する環境基準としてPCBは「検出されないこと。」が定められています。

  なお、廃棄物(たとえば使用済みのPCBや産業廃棄物など)に関しては埋め立ての基準(金属等を含む産業廃棄物に係る判定基準を定める省令)として、ポリ塩化ビフェニル(PCB)の基準は、溶出試験で0.003mg/リットル以下であることと定められています。
 
  特にトランス油などについては、PCB特別措置法によって、0.5ppm以下であることが定められています。0.5ppmを超えた場合にはPCBを含む廃棄物として特別な取り扱いが必要となります。

   一般にトランスなどのPCBを含む物の濃度は高濃度といわれるもので、トランス 60%、コンデンサ100%、低濃度といわれるもので数ppm〜数十ppm程度(ほとんどが50ppm以下)となっています。低濃度のものは当面焼却処理されます。高濃度の物は、国が関与して全国4カ所に設置されたPCB廃棄物処理専門の施設で処理されなければなりません。

QABからの質問A
危険だとしたら、どれほど危ない数値ですか?


電話でコメント中の画面

池田

 そもそも、PCBは環境中にはあってはならない物質です。しかも非常に安定性の高い分解されにくい化学物質なので、長期間にわたって危険があります。

 体内に取り込まれた場合、排出されにくい物質です。PCBの汚染公害として最も有名なのは昭和43年に発生したカネミ油症事件です。高濃度のPCB(ダイオキシンに類似した性質をもつ)が体内に入ると、皮膚の湿疹(油ニキビ)や内臓疾患、発がん性や次世代への影響も危惧されます。今回検出されたPCBの中にダイオキシン類がどの程度含まれているかの調査は必要です。

 よく行政は、「直ちに危険な状態ではない」という言い方をしますが、環境中にどのように分布しているかが明らかでない以上、微量であっても長期にわたって環境中に存在し、体内に取り込まれれば非常に危険を伴います。

QABからの質問 B

返還された沖縄市サッカー場、返還予定のないキャンプズケランなどで 大量のドラム缶が見つかるなど、基地内の汚染が発覚しているが、この状況をどうご覧になりますか?

池田

 本質的な問題は、基地内の環境汚染について、まったく日本側が口出しできない状況となっている地位協定の抜本的な見直しですが、それを言ってもなかなか拉致があかないので、ともあれ、過去の米軍側が行った調査結果を速やかに明らかにすることと、すでに返還された基地跡地については、関連情報を提供すること、費用負担を行うことなどを国として、自治体として徹底的に求めていくことだと思います。

  次々に掘ればドラム缶やPCBではたまったものではありません。返還するにせよしないにせよ日本の領土ですので、アメリカには排出者責任、汚染者責任を負ってほしいという主張はすべきだと思います。

 そして、どの程度の汚染がどのエリアにどのように広がっているのかについて調査を行うことです。

 また、県民ばかりでなく、日本全体が沖縄の実態にもっと目を向けて、国民的な声を上げていく必要があります。黙ってればいい気になってという感じでしょうか。メディアは全国的にこの種の情報を発信すべきですが、沖縄県内だけにとどまっているのは大きな問題です。