大手新聞による市場支配を規制!?(2) 〜世界の主要新聞の発行部数は〜 青山貞一 掲載日: 初出2005.6.1、更新:2006.5.31 |
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肝心な世界の新聞の推定発行部数だが、日本の新聞の発行部数が異常に大きなことはよく知られている。 表1は、日本及び主要先進国で発行されている新聞の推定発行部数を示したものである。出典は表の下に示している。 表から簡単に分かることは、米国のニューヨークタイムズ、ワシントンポストなどの世界的な一流紙ですら、その発行部数はせいぜい100万〜200万部、英国のザ・タイムズ、ガーディアンなどのコリティーペーパーでも50万〜100万部、フランスのル・フィガロ、ル・モンドも50万部前後の部数であることだ。 これに対し、我がニッポンの場合は、読売新聞が約1000万部、朝日新聞が約820万部、毎日新聞が400万部弱、日経新聞が300万部弱、いずれも異常に発行部数が多く、いわゆる全国紙はこれら読売、朝日、毎日、日経の主要4紙で2500万部を超えている。 日本の国民の多くは、寡占状態となっているワンパターンの大新聞を、半強制的に読まされているのが実態であると言って良い。このことと、 このことと、新聞業界が今回の特殊指定問題声高に叫んでいる「国民の知る権利」や「表現の自由」、さらには「民主主義を守る」こととは何ら関係ない。欧米的に言えば、大新聞、大シェアであるが故に社としての主張に乏しい、無味乾燥な新聞となっている。 無味乾燥ならまだましと言えることもある。 数年前、米国のブッシュ大統領がイラクに大量破壊兵器があると言って一方的に戦争をしかけようとし、小泉首相がそれを支持したとき、読売新聞、サンケイ新聞だけでなく、朝日新聞などもそれを支持する社説を出していた。 新聞のシェアが数社で寡占化していることは、逆説すれば言論の多様性がなくなり、戦前、大手新聞社が戦争を肯定して言ったような状況をつくりだす危険性があると言える。 巨大な部数、シェアをもつ日本の大新聞社は、新聞を軸としてさまざまな関連産業を含むコングロマリット化している。それによる既得権益は、計り知れないものがる。もし、「特殊指定」がそれを維持するものであるなら、それはとんでもない特権以外のなにものでもないだろう。 大新聞社の部数が多いこと、シェアが多いことと、日本の「国民の知る権利」や「表現の自由」、さらには「民主主義を守る」ことと無関係であり、逆にそれを阻害する大きな要因となることを知るべきだ。 つづく 表1 世界の主要新聞発行部数比較
1)『週刊金曜日』−1997年10月17日号・黒薮哲哉 外国紙は1996年・日本紙は1997年の調査 2)都道府県別新聞発行部数 2003年1−6月「社団法人ABC協会」「社団法人日本新聞協会」調べ |