名古屋市に本部がある日本環境法律家連盟(JELF)が主催する司法研修生を対象にした環境サマーセミナーが今年は鎌倉であり、たまたま講師として参加する機会を得たので、その概要をお伝えしたい。
このJELFは、諫早湾のムツゴロウ訴訟、奄美のクロウサギ訴訟、沖縄のジュゴン訴訟などで有名な籠橋隆明弁護士が事務局長となっている環境問題に関心を持つ弁護士の集まりである。現在約1000名、弁護士だけでも約600名が会員となっているNPOである。
籠橋弁護士とはその昔、東洋大学で開催された地球環境問題の特別講義や名古屋の藤前干潟保全のNPO会議でご一緒したことがある。
環境サマーセミナーは、そのJELFが司法研修生、すなわち難関な司法試験に合格し、ひととおり司法研修を受け裁判所、検察庁、弁護士事務所で実務研修を受けた法曹の卵を対象に、毎回、3名の講師を招き行っている環境公害問題、環境公害裁判の理論と実務に関連する研修会である。
今回は、2005年7月16日、鎌倉の保養所で私(青山貞一)以外に、京都会議以降、地球温暖化問題でがんばっている浅岡恵美弁護士(京都府)、そして水俣病裁判以降、九州地域で公害裁判に一貫してかかわり多くの戦績をもっている馬奈木昭雄弁護士の2名が講義を担当した。
2005年度 環境サマーセミナープログラム
開催場所:神奈川県鎌倉市、ウエルハートピア
開催期日:2005年7月16日〜17日
プログラム: 16日
講義1 青山貞一(環境総合研究所長)
専門家による環境アドボカシーとは
環境公害訴訟との連携のポイント
大気汚染訴訟支援の具体事例
廃棄物訴訟支援の具体事例
講義2 浅岡恵美(弁護士)
地球温暖化防止への法的戦略と国際・国内交渉
@環境問題とのかかわり
A地球温暖化は地球規模での21正規の課題
B削減には排出の実態を踏まえた政策が必要
C国際交渉の今後
DNGO/NPOの役割と弁護士
講義3 馬奈木昭雄(弁護士)
水俣病訴訟から得たもの
よみがえれ! 有明訴訟の今後
中国残留孤児訴訟の今後
プログラム 17日:鎌倉の景観現場視察
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7月16日の講義終了後、司法研修生と懇談する機会を得た。
この種の懇談は、私もメンバー(技術顧問)となっているゴミ弁連の会合でもよく経験するが、今回は司法研修生、しかも20歳代など若い方々と深夜まで議論するなど、大変有意義なものとなった。
研修生からは彼らがすでに関係している環境公害事件についての具体的質問や私たちがおこなってきた証人出廷、証拠保全、鑑定人、証拠資料作成などの裁判支援について仔細な質問も出された。
いつも感ずることだが、環境問題に関心をもつ弁護士は、実直でナイーブぽいひとが多いが、このサマーセミナーに参加している司法研修生にはとくにそれを強く感じた。現実の訴訟では、実直とナイーブだけでは勝てない。シタタカさやシツコサも必要だし、体力もなければならない。
初心をわすれず環境公害訴訟でがんばって欲しい!
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青山のパワーポイント初期画面 |
青山のミッションとスタンス |
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講義中の浅岡弁護士 |
講義中の馬奈木弁護士 |
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熱心に聞き入る司法研修生たち |
闊達な議論が飛び交う懇親会 |
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