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喫煙と賦課金   青山貞一


 ニューヨーク市が2003年3月から市内のバーやレストランを全面禁煙とする条例を施行したようだ。

 最初に記事(以下)を見たとき、日本の大都市もこれをやったらどうか、完全禁煙としない、あるいはできない店を対象に「特別禁煙室」を設けさせ、1日の入場者数などに対応し、自治体がバーやレストランから「賦課金」なり「課徴金」をとるのはどうかと考えた。

 当時、東京都知事にこれを政策提言してみた。大銀行に外形標準課税などを課すより、よほど現実的で可能性もある。石原知事は、自動車排ガス問題に熱意をもって対応しているのだから、ディーゼル排ガス同様、発ガン性をもつタバコの煙の問題にも対応するのではないかと考えた。

 ニューヨーク市に比べ桁外れのバー、レストラン、居酒屋、ナイトクラブなどがひしめく東京都なら、相当の「賦課金」が得られる。しかし、東京都知事室からは提案を受け取りましたと言う返事はきたものの、その後、知事が禁煙条例の制定を検討したたという話は聞いていない。

 ところで、おそまきながら日本で2003年5月より健康増進法が制定された。

 そのなかで受動喫煙、すなわち間接喫煙の有害性が明確に記された。周知のように健康増進法施行にあわせ、首都圏の私鉄構内がすべて全面禁煙となった。全国各地の空港や航空機も全面禁煙となった。しかし、最も駅数が多い各JRは依然として全面禁煙としていない。ただ禁煙場所を設けている。紫煙は駅構内だけでなく、駅の外部にも漏れ出るから、自治体はこれについても1日の喫煙者見込み数をJRから届けさせ、賦課金を取ればよい。

 「賦課金」や「課徴金」によって、バー、レストラン、居酒屋、ナイトクラブだけでなく、JRはじめ全面禁煙していない施設あるいは事業所からお金がとれる。逆説すれば、「賦課金」や「課徴金」を取られるくらいなら全面禁煙をした方が得策と考えるようになればしめたのである。

 いずれにせよ、タバコの害が今ほど明らかになった現在、日本社会でも、もっとまじめに汚染の排出者責任と汚染者負担を具体的に制度として明確にすべきと思う。タバコの価格も現状ではEU諸国に比べまだまだ低い。現状価格の2〜3倍としてもよいだろう。過日、財務省と政府税調の幹部職員が別件で環境総合研究所にヒヤリングに来られたので、自信をもってタバコの価格を上げるべきだと提案した。

 私の提案を具体化する場合、知事の裁量では困難だ。どうしても条例の制定が必要となる。となると、議会を通過させなければならない。残念ながら日本の議員の多くは喫煙者である。日本の男性の喫煙率は先進国有数だが、おそらく議員の喫煙率はさらにそれを上回っている。その意味で、日本社会で全面禁煙を実現するためには、有権者はまず候補が喫煙者あるかどうかを厳しくチェックしなければと思う。

NYが来春にも全面禁煙
 【ニューヨーク11日=勝田誠】
 ニューヨーク市当局は11日、市内のバーやレストランを、ほぼ全面禁煙とする条例案を巡って市議会側と同意した。ブルームバーグ市長が発表したもので、条例案は早ければ来年3月にも施行される見通し。ボストンやシカゴなど他の都市も、この動きに追随しそうで、米国の街は愛煙家にとって一層厳しさを増しそうだ。
 条例案は、これまで喫煙を認めていた小規模のレストランを始め、バー、ナイトクラブといったすべての飲食店や、ボウリング場などを全面禁煙とする厳しい内容。「客足が遠のく」としてビジネスへの悪影響を懸念するバーの経営者らに配慮して、従業員が全く立ち入らない「特別喫煙室」を設ける場合のみ、例外として喫煙を許可する。
 禁煙推進派の同市長は、「これで(ニューヨーク市で)年間1000人近いとされる間接喫煙の死者が死なずに済む」と述べた。条例案は、早ければ13日に可決され、市長の署名から90日間の告知期間を経て施行される。市担当局によると、少なくとも約1万3000件の飲食店などが、新条例の対象となる。 出典:読売新聞 2002年12月12日