長野県議会が全面削除した 環境保全研究所長の報酬 への県議、知事の反論! 掲載日:2005.4.9 |
長野県議会の2005年2月議会で、田中康夫知事に「是々非々」ならぬ「非々非々」の7会派は、こともあろうか人事権が及ばない環境保全研究所長の平成平成17年度の報酬全額を削除した。 以下は、北山早苗県議(あおぞら)、宮川速雄県議(あおぞら)、田中康夫知事さらに「広報ながのけん」における反論である。 ■北山早苗長野県議の反論 2005 年 4 月 6 日 2月県議会の検証<4>政務調査費190万円を使った言い訳広告 〜 さわやか早苗日記367 〜 今回の削減の中で、私が最も残念に思うのは、環境保全研究所長の報酬である。 昨年9月県会の一般質問の中で、私は「公害や環境の破壊を未然に防ごうと努力する住民の取り組みを支援する制度などを、検討して欲しい」と尋ねたところ、知事は「環境保全研究所が住民からの要望に基づいて環境測定を行い、データを提供する活動も、より積極的に行いたい」と答えてくれた。 その時に大事なのは、研究所が県の機関であっても第3者的な立場で測定やデータの提供をすることだ。 つまり、外界の感覚を持ち続けながら第3者的な立場で目を光らす人として、武蔵工業大学環境情報学部教授で環境総合研究所長である青山貞一氏が、非常勤でありながら長野県環境保全研究所の所長であることが、大変重要だったのだ。 ■北山早苗長野県議の反論 2005 年 4 月 8 日 2月県議会の検証<5>耳を貸さず誤認を押し通す県議の目的は? 〜 さわやか早苗日記368 〜 (前回の続き)県議46人の政務調査費約190万円を用いた意見広告には、環境保全研究所長の報酬全額削減に付いて、『研究所は、春雨の有害物質誤検出・誤発表以来3ヶ月もの間、農産物や食品の検査ができなかった。所長である青山貞一氏は、月に3〜4日程度しか出勤せず(月の報酬40万円)、所長としての責任を果たしていない。議会は、何度も常勤で責任の取れる所長の配置を強くお願いし、常勤所長が実現した。』とある。 中国産はるさめの誤検出、誤公表は、報告書にもあるが、現場部門と管理部門、現場と責任者との間の基本的な報告、連絡、相談が、長年行なわれていなかったことが原因あり、所長が非常勤であろうと、常勤であろうと関係のないことだ。 また、環境保全研究所は、昨年4月に衛生公害研究所と自然保護研究所が、県の環境を保全する目的で一緒になったもの。青山所長の出勤日数は5〜10日/月であり、県議の広告は、旧衛生公害研究所に行った日数だけをカウントしたもので誤り。 これ以外に、大学の研究室や土日に自宅で対応した知事、各部局への助言、県庁職員への対応、調査解析、講演、審査員など多くの仕事を行っている。研究所長の業務はただ椅子に座っていることではない。常に外界の感覚を持ち続けながら第3者的な立場で目を光らせ、所長自らが行動し実践する意欲ある人であったからこそ、研究所が活発な研究機関に生まれ変わった。 月40万でそのような人材に働いてもらえるのは、県民にとって有利なことであり、非常勤だからこそ可能になる。 それでも、県議達が常勤ということにこだわるのなら、あおぞらの宮川議員が、再議の際、報酬カット反対討論の中で、「常勤の所長を遇するために、己の身を削っても、2000万円の報酬を出そうという増額修正案が、何故、出し得なかったのか」と言うように(全文は下記から)、まず議員報酬をカットすべきだ。 更に、「農産物」については、一般質問にもあったが、県内農家が出荷する農産物を流通前に環境保全研究所で検査する仕組みになっていると県議達は誤認し ている。保全研は店頭に並んだ農産物の抜き打ち検査が仕事だ。 このような検査の仕組みや青山所長の勤務・仕事内容について、生活環境委員会では理事者側が詳しく説明したが、県議達は解ろうとせず、意図的に耳を貸さないようであったと聞く。それは、『とにかく削ること』が目的だからである。 そしてその先の目標には県知事選や自分たちの選挙がある。 私は、つくづく、県議というのは、県民や長野県のためではなく、選挙のために仕事をしているのだと感じる。県民の皆さんからは「目標に対して、回り道でも多くの意見を取りまとめて達成させてほしい」というご意見もいただいているが、非々非々県議達の目標が選挙である限り、それは難しいと言わざるを得ない。 議会の役目は『チェック&提言』と一般的に言われる。ムダを削るだけでなく、将来を見据えた上で今必要な具体的提案をしていくのが必要なのに、ケチをつけるだけの県議会にはそれがない。「議会側に相談もないうちに予算案を決めた」と県議達は口を揃えて言う。しかし、一般県民に予算案に対して意見を聞く期間が設けられており、あおぞらでもその時に要望をあげている。 もっとも昔は「先生の地元に**の予算付けました」なんてことが当たり前に行われ、それが議員達の地元選挙民に対する勲章だったと聞くが、今はそれも出来ない。過去の遺物を未だに夢見ているようでは、クイズ・ミリオネアで最終地点にまで見事に達してしまう智性勘性の鋭い知事に、かなうはずもない。 ■田中康夫長野県知事の反論 2005年3月24日 長野県議会における知事による「再議」要旨 次に、第6款生活環境費第1項地球環境費中の環境保全研究所長の報酬の減額についてであります。 現在、環境保全研究所長を務める青山貞一氏は、地球の有限性に関する問題意識を共有する全世界の碩(せき)学が集うローマクラブの日本事務局を経て、フジテレビジョン系のシンクタンク所長として活躍された、環境問題の第一人者であります。 氏は、環境保全研究所の業務に留(とど)まることなく、地理情報システム(GIS)の構築、コモンズ新産業創出事業選考委員等、さまざまな仕事にご尽力下さり、各部局や現地機関からの依頼に基づく講演もお引き受け下さり、幅広く県行政に貢献していただいております。この予算の減額は、県行政の遂行に甚大なる支障をきたすものであります。 武蔵工業大学教授の重職にある氏の本県における活躍を評価し、ならば、常勤雇用を求めるべき、との意見も議会内にあるとお聞きしました。が、それこそは、より良き相対主義の心智=メンタリティからは程遠い、敢(あ)えて申し上げれば「『長野県』天動説」とも呼ぶべき、身勝手で絶対主義的な理屈ではないでしょうか。 ■宮川速雄県議の反論 2005年3月24日 長野県議会における田中康夫知事の「再議」演説への賛成討論 平成17年2月一般会計予算案の再議に対する賛成討論 先に可決された修正案のうち、環境保全研究所の管理運営費に関する修正案は、非常勤の特別職である所長の報酬・480万円を全額カットしたものですが、この結果による所長の不在は、長野県の目指す環境政策に重大な支障を来たすものとして、わが会派の林議員が強く反対しました。 報酬の全額カットによってもたらす結果は、任命権者である知事の人事権への侵害であります。 そもそも、この報酬は、長野県が進める環境政策に相応しい人物に長野県が信頼し、尊重して支払われるものであり、その雇用条件、就業形態、責任と権限及び報酬などは、要綱によって決めらるものです。その条件のひとつである、報酬を全額カットして、雇用を不能させる行為及び権限は、議会にはありません。 つまり、知事の人事権への介入であります。 長野県が、来年度の環境保全研究所の非常勤・特別職の就任を予定している青山貞一氏の長野県に対する貢献度は、環境問題に限らず、衛生部、経営戦略局、企画局、農政部、林務部、土木部、商工部など多岐に渡っており、その業績を過小評価すべきではありません。 修正案の理由によれば、「中国産はるさめの誤検出、誤公表は、非常勤の所長であること」をことさら強調していますが、報告書にもある通り、これは、現場部門と管理部門、現場と責任者との間の基本的な報告、連絡、相談が、長年行なわれていなかったことが原因であり、これらが厳密に行なわれていれば防げたことです。つまり、所長が非常勤であろうと、常勤であろうと関係のないことで、そのような体質そのものが問題の本質なのです。 とまれ、修正案の理由によれば、「再三、常勤の所長を求めた」とありますが、ならば、常勤の所長を遇するために、己の身を削っても、2000万円の報酬を出そうという増額修正案が、何故、出し得なかったのでしょうか。 ■2005年3月26日発行の広報ながのけん |