エントランスへはここをクリック   

アルジャジーラが取材に
〜日本の環境政策について〜

青山貞一

2006年1月19日
  
 中東のテレビ局、アルジャジーラ(Aljazeera Channel)が日本の環境政策、なかんずく東京など大都市部の大気環境政策について私のところに取材にきた。

 今までテレビ取材は何100回と受けてきたが、イスラム圏からはチュニジアから一度あったものの、中東のテレビ局からの直接取材ははじめてだ。
 

 Fadiさんはシリアの出身、そのシリアの首都ダマスカスは自動車排ガスによる激しい大気汚染となっているそうだ。

 Fadiさんの質問は、当初、政治情勢にかかわるものと思っていたが、あにはからんや東京のような日本の大都市の大気汚染状況はどうなっているのか、日本における過去から現在の大気汚染状況は? 大気環境政策における国と地方の役割と実績は? 大気汚染を改善するための方法は? など、かなり本格的なものだ。

 私自身、大学に着任する以前から大気環境政策を30年近く専門としてきた。国の立法,政策にも深く関与してきた。

 そこで私からは、過去行ってきた大気環境に関する広域シミュレーション結果を示す各種コンピュータグラフィックスをもとに、法制度的要因、政策的要因、技術的要因、司法(裁判)的要因などに分けて説明した(以下はその一例)。



 東京への一極集中と自動車大気汚染濃度

 さらに川崎公害訴訟、東京大気汚染公害訴訟で、原告側証人として東京高裁、東京地裁に出廷したときに使った詳細なコンピュータCGなどもお見せした(以下参照)。


 東京大気汚染公害裁判における原告居住地と大気汚染濃度

 ご承知のように東京の大気汚染、とくに浮遊粒子状物質(SPM)は、高値安定で一向に改善されず、多くの呼吸器疾患患者が増えている。環境省など国の立法、政策、施策は絶えず、後手後手、先送りで一向に改善しなかった。



直噴ディーゼルがもたらす大気汚染の例

 それを一変させたのは、石原東京都知事による緊急避難的措置、すなわち直噴ディーゼル自動車(バス,トラック)のテールにDPFと呼ばれるフィルターを半強制的に設置させる政策だった。

 Fadiさんは、あらかじめDPFについてもよくご存知だった。

 私への取材終了後、Fadiさんは、電気自動車、水素自動車、ハイブリッド車など低公害自動車の開発状況についても取材できないかと質問されたので、武蔵工業大学工学部で低公害車を研究している先生を紹介することにした。

 また私が「戦争と環境」の研究もしており、湾岸戦争時に炎上する油井がもたらす大気汚染などの調査もしていることを伝えるとびっくりしていた。

 次回は、戦争がもたらす環境問題やイラク問題について議論しようということになった。