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マスコミの報道姿勢を憂慮する市民からの声明


掲載日:2004年4月11日


 私たちは、イラクで武装勢力の人質となっている3人を一刻も早く解放させたいと願っている日本の市民です。

 3人は24時間以内に解放と報道されてから、まだ現実には解放されていません。にもかかわらず、日本ではとんでもない報道があちこちで行われるようになりました。

 私たちは解放声明が出されて以降のニュースや報道を見ているのですが、この段階になって明確に「撤退しなくて良かった」「政府の対応は正しかった」といったコメントを述べる人間を出演者として登場させ、次々に発言させています。

 これは、きわめて危険な報道です。武装勢力は、3人がイラクのために活動しているという日本市民からの情報と3人の家族の切実な訴えを聞き、イスラム教の指導者からの説得もあり、3人の解放を決めたのです。その背景には、多くの日本市民がイラクからの自衛隊撤退を望んでいるというメッセージが伝わったことも、間違いなくあります。

 ここ数時間のマスコミ報道は、これを打ち消し、「政府の対応は正しい」というメッセージを伝えようとするものです。報道機関自身は「政府の対応は正しい」などと言えないため、いままで画面に登場したこともなかったようなコメンテーターを使って、そういう世論誘導を行おうとしています。

 被害者家族は一致して「自衛隊の撤退を求める。」「政府の対応はおかしい。何もしていない。」というコメントを出しています。その家族に小泉総理は会うことすらしませんでした。そのことを疑問視する報道は一つもなく、事件が解決に向かいかけたところで、一斉に「政府広報」のような報道を開始しました。

 電波は世界中を流れています。このような報道姿勢そのものが、3人の人質の生命の危険を再び増大させています。日本市民が世界に発信した情報を打ち消し、イラク情勢を再び緊張させています。日本のマスコミは、自分たちの意図的な報道が世界に何を引き起こすか、それを想起する想像力すらないのでしょうか。

 マスコミは責任を持った報道をしてほしい。「主張のバランス」「メディアの中立性」などというのは、こうした事態の前では重要なポイントなどではないはずです。人命第一の報道姿勢を取っていただきたい。

マスコミの報道姿勢を憂慮する市民
竹村英明・平和政策塾、山崎久隆・劣化ウラン研究会、きくちゆみ、青山貞一、アイリーン・スミス、星川 淳、田中 優ほか

連絡先 川崎市宮前区有馬5-18-16 竹村英明
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