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次の焦点は政界大再編

日刊ゲンダイ


2006年4月12日

 
─ Dailymail Businessより ──────────
■ 次の焦点は政界再編成。
 小沢新体制の民主党ぐらいでは政権交代など夢のまた夢だが、民主党の分裂解体と自民党の分裂による本当の2大政党制の動きが始まるのは歓迎。秋の自民党総裁選以後に衝撃的な事態の可能性。ポスト小泉のデタラメ改革政治を継承する政党と本当の構造改革と役人政治を排除する政党に再編成された政界が期待されている。
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 小沢民主党の評判は上々のようだ。共同通信の調査では57.4%の人が「期待する」と答え、民主支持率も19.9%と、偽メール問題の渦中に比べて8ポイント上昇した。

 しかし、これで政権交代が可能かといえば「ノー」。72.7%の人が「政権交代が実現するとは思わない」と答えている。「小沢民主は歓迎するものの、政権交代なんて夢のまた夢」というのが国民の大半の意見だ。

 代表が代わっただけで、偽メール問題の後遺症が消えて信用が回復するわけではない。党内に右から左まで抱え、政策が一本化しない寄り合い所帯への不安も拭えない。 それより何より、小沢代表がこれまでの政治手法を封じ込めてガマンできるのか。

 本人は「変わる」と言っているが、小泉首相が言うように「人間はなかなか変わらないもの」である。

 政治評論家の浅川博忠氏もこう言う。

 「63歳にもなって、性格や手法を変えるのは難しいと思います。最初は気を使ってニコニコするでしょう。しかし、いずれ地金が出る。原理原則を頑固なまでに貫き、こうと決めたらテコでも動かない“小沢流”で党を運営し、周囲との軋轢を生じさせる恐れは十分にあります」

小沢にとって政党は“道具”でしかない ◆

 こうなると、小沢の本領発揮となるが、果たして壊し屋は本当に「悪」なのか。新生党、新進党、自由党と「作っては壊し」の歴史を別の側面から見れば、政界再編のための桎梏となる政党や議員はいらないということだ。

 元衆院議員で福山大教授の田中秀征氏は、読売新聞(8日付)でこう書いている。〈小沢氏にとって党は二の次の存在だ。党より国家や国民、そして政治信条を優先するから国民的人気が衰えない。政治信条を貫けば、ときには党が壊れるのも当然である〉 党は理想を実現させるための道具、あるいは手段。使えなくなったら、捨てるか取り換えるしかない。この先、集団安全保障重視の小沢に、集団的自衛権行使の松下政経塾グループあたりが四の五の言うようだと、追い出すか党を解体して新しい集団を作ることだって考えられるのだ。

◆ 秋の自民党総裁選後に衝撃の事態が

 自民党だって、このまま未来永劫に続く保証はない。小泉政権の5年間で、党内はかつてないほど亀裂が入っているからだ。それが9月の総裁選で噴出する可能性がある。政治評論家の本澤二郎氏が言う。

 「軋轢の原因は小泉改革とアジア外交。市場原理主義による競争社会は凄まじい格差を生み、それが地方出身や中小企業をバックにした自民党議員を苦しい立場に追いやっています。さらに、米国追従と靖国問題で中国・韓国との関係を悪化させた小泉氏は党内リベラル派の眉をひそめさせている。ポスト小泉が改憲・タカ派の安倍晋三氏になれば、これまで沈黙していた党内良識派が批判の声を上げ、党から飛び出すような動きが出るかも知れないのです」

 野田聖子が「自民党政策の99%に賛同して活動してきたのに、郵政民営化の1%で離党させられているのはおかしい」と言っていたが、そんな思い出小泉政治を見ている自民党議員は多い。小泉チルドレンがチャラチャラしているのを苦々しく見るベテランもいる。

 小泉改革だってそのインチキぶりがどんどん明らかになっている。小沢が「自民党の本質は変わっていない。道路公団はどうなったのか。郵政民営化だって国営の株式会社にしただけじゃないか」と批判しているが、この指摘は正しい。ムダといわれた道路計画は全部実現するし、巨大な郵政銀行が民間を圧迫するのは目に見えている。

 小泉が「改革の仕上げ」という霞ヶ関改革も先が見えた。官僚は公務員削減にゼロ回答だったし、国有資産の売却も10兆円足らずと、小泉にアッカンベーである。

 格差を広げ、役人をのさばらせるだけのインチキ改革。にもかかわらず「小泉改革を継承する」後継総裁が出てくれば、自民分裂だって十分あり得る話だ。

小沢と連動して政界大再編か

 それと前後して、小沢が民主党を割るか解体すれば、政界は大きく再編あsれる。小泉党に民主党の前原らのタカ派が合流し、自民党のリベラル葉が小沢新党と合体する大編成だ。
 
 役人と対決は菅直人代表代行の得意技。薬害エイズ問題で証明済みだから、本当の構造改革と役人政治を排除する政党と、小泉デタラメ改革を継承する政党の二分化。国民にとって分かりやすい再編である。

◆政権交代を言う前にやるべきこと◆

 考えてみれば、1993年の自民党下野→細川政権誕生以来、各政党は政策抜きのグチャグチャの連続だった。議員同士が低次元で感情レベルで離合集散し、「当選すれば何党でもいい」という無節操な政治家が大量生産されてきた。その結果、小泉と政策が一致する前原が民主党の代表になったり、加藤紘一のような小泉とは水と油のリベラル派が自民党にとどまっている。
 
 つまりはネジレだ。

 「政党が政策を軸にまとまって初めて議会制民主主義が成立する。ところが現在は対立軸がハッキリしないからまともな論戦がないのです。政界がガラガラポンで再編成されれば、国民もすっきりと二者択一で政治を選ぶことができるのです」(本澤二郎氏=前掲)

 明確な政策の違いが二大政党制の大前提だ。そのための政界再編が行われないと政権交代など何の意味もない。