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小泉・口先男の
『改革、加速。』
の正体見たり


 田中康夫

掲載日2005.12.25


 
昭和50年代前半の流言「口裂け女」ならぬ「口先男」なる呼称こそは御存知、“刎頸の友”たる秘書官・飯島勲氏との二人三脚を続ける宰相・小泉純一郎氏に相応しい、と改めて確信しました。

「改革、加速。」と大書きした新春用ポスターと共に彼は、「財政収支の悪化に歯止めを掛ける次年度予算」と胸を張ります。新規国債発行額を30兆円以下に抑制する、との「公約」ならぬ“口約”が漸く実現するから、でしょうか?

阿呆も休憩休憩にして頂きたい、と思わず茶々を入れたい気分です。何故って、小泉治世ならぬ乱世の僅か4年間で、国家財政は250兆円も借金が増大しているのです。1時間に60億円もの速度で悪化しているのです。「借金、加速。」「改革、後退。」を断行してきた御仁が今更、「改革、加速。」と甘言を弄した所で、世界一の借金国なる汚名を返上する目処すら立たないのが実態です。

 言語単純・意味単純なワンフレーズ・ポリティックスを身上とするらしき彼は、「小さな政府」を目指すのだ、と一つ覚えの如くに繰り返します。他方で税収は景気回復で4.3%も増大する、と取らぬ狸の皮算用を弾いているのです。

 企業業績が好調だから、と豪語します。が、冷静に内訳を捉えれば、個人に「ハードワーク」「ハードライフ」を強いる増税予算なのです。夫、専業主婦、子供2人の年収700万円サラリーマン世帯は、税金と社会保険料で合わせて来年度に5万円近く増加し、年収800万円サラリーマン所帯では今後2年間で13万円近くも増加するのです。

 国民負担の増税規模は、何と2兆円に達するのが次年度予算です。既に「増税国家」なのです。消費税を上げる前に徹底した歳出削減を、と“巧言”していた宰相・小泉の正体見たり、ではありませんか。 

而して彼は、「069月迄の任期中は上げない」との発言を「07年度も上げない」と修正しました。次なる宰相の治世に関しても広言し始めるとは、田中角栄・竹下登の両氏に続く「キング・メーカー」としての自分を画策しているのかも知れません。

前述のポスターは、4年半前の首相就任時に撮影の写真を、それも白髪の具合を修正して再利用しているのだとか。「巧言令色、少なし仁」な人生色々を歩んできた宰相・小泉は、写真写りを修正する前に、出身母体の森派・清和会や秘書・飯島氏、更には公明党・創価学会も固唾を呑んで見守る「耐震強度偽造問題」の修正改め解明こそを、男子の本懐とすべきではないのかな。