エントランスへはここをクリック   

官房長官殿、
「安晋会」について
説明責任を

 田中康夫

掲載日2006.2.2


「会見で安倍(晋三)氏は『(小嶋氏が)飛び込みで来た』と言っていますね。しかし、議員会館は飛び込みでは入れないでしょ」と尋ねた佐高信氏に対し、「勿論、アポイントを入れた上で、飯塚洋さんという秘書にお会いした訳です。ですから、私も何故、ああいう言い方をされたのか、ちょっと理解出来ませんでした」と小嶋進ヒューザー社長は答えています。本日発売の月刊「現代」3月号に於いて。

 永田町に位置する議員会館では、所定の用紙に氏名等を記して受付に提出すると、訪問先の議員事務所に内線電話で了解を得た上で、当日限りの入館証を発行する仕組みです。「飛び込み」は有り得ないのです。

「昨年の1117日です。安倍先生の後援会長さんの御紹介で政策秘書の飯塚さんにお会いしたんですが、衆議院議員会館の事務所にお伺いして、30分くらい居た」、「この状況を何とかして欲しいという事で、伺う前に既に『内閣官房長官政策秘書飯塚洋様』と宛てた上申書も郵送しております」。

極めて説得力を有する数々の不可解な事実を基に、「自殺」に非ず「他殺」に他ならぬ、と「週刊文春」のみならず「週刊ポスト」も問題提起した野口英昭エイチ・エス証券副社長は、安倍官房長官の「私的」後援会・安晋会で理事を務め、幹事長就任後に大手町のパレスホテルで開催された祝賀会でも、壇上で紹介されています。

而して、気骨溢れるジャーナリストの山岡俊介氏に由れば、新興宗教紛いの「慧光塾」なる経営コンサルタント会社の人脈と、故・新井将敬代議士の個人的会合の流れを汲む「日本ベンチャー協議会」の人脈が交差する場所に、杉山敏隆氏が会長を務める安晋会が存在し、前者に小嶋氏、後者に野口氏が連なっているです。

 因みに「週刊ポスト」は今週号で、「他の政治資金パーティと同じように会費2万円」で「安晋会主催の『幹事長就任を祝う会』を盛大に行な」いながら、実は安晋会は「(政治団体としての)届け出のない任意団体」で、「パーティで得た収入を政治家に寄付したら政治資金規正法違反」、と指摘しています。

 「我が息子で我が弟」発言の武部勤、「小泉首相とホリエモン、私がスクラムを組みます」発言の竹中平蔵の両氏に留まらず、小嶋氏との関係に関して国会答弁で“色を成した”安倍晋三氏にも又、耐震偽装と偽計取引の「W偽」に関し、平易で納得し得る説明責任が求められているのです。無論、「君のような若者が政治に入って来るのは素晴らしいよ」と握手を求めた小泉純一郎氏に於いても。

 のみならず、忌まわしき9・11に相応しき投票日の社説で、「小泉首相はこれまでに見た事もない型の首相だ」「響きの良いフレーズの繰り返しは、音楽の様に聴く人の気分を高揚させる」「ここは一番、気迫と覚悟の小泉首相に賭けたい。これまでの4年で連立政権が何をしてくれたかはさておき、この先に期待しよう」と「気迫と覚悟」を読者に強要した、教養に満ち溢れた「朝日新聞」の編集幹部と経営幹部にも、説明責任が求められているのです。

 意図的としか思えぬ小生への名誉毀損も含めて近時、偽装・偽計報道が相次ぐ埃高き彼等は、「言葉は感情的で、残酷で、ときに無力だ。それでも私たちは信じている、言葉のチカラを。」と創刊127周年記念日の1月25日、実に片腹痛いヨゼフ“ナチス”ゲッペルス的居直りとしか思えぬ「ジャーナリスト宣言」を発布した直後なのですから、猶の事(苦笑)。