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「保守」の風下にも置けぬ
亡国者集団無恥

 
田中康夫

掲載日2006.4.5



 「国交省天下り8法人 全業務入札せず契約」との見出しを掲げて、「讀賣新聞」が「特命随意契約」に関する記事を掲載したのは、319日付紙面です。

社団法人「関東建設弘済会」、「近畿建設協会」を始めとする8法人の常勤理事49人は全員が旧建設省OBで、常勤一般職員も4分の1OB。更には妻子も数多く採用されているのだとか。

その8法人は全国に8つ存在する国土交通省の地方整備局から総額750億円に上る業務を全て「特命随意契約」で受注し、それは全事業収入額の95.9%を占める、というのです。

而も、コピー取りや清掃等の、専門性を必要としない業務が、判明しただけでも100億円を上回り、「癒着と言われても仕方ない」と財務省は指摘する、と記事は報じています。

即ち、「特命」随意契約の意味が、誰でも担える内容であればこそ特定の相手方と「特命」契約を結ぶ、との奇妙な意味合いに変容してしまっているのです。いやはや。

信州・長野県でも、僕が就任した5年半前には随意契約や指名競争入札が9割を占めていました。その閉鎖的・密室的状況を変えるべく、公共工事入札等適正化委員会を設置し、逆に今では一般競争入札の占める割合が88%に達しています。国交省と農林水産省は未だ、指名競争入札が9割以上を占めています。

公正取引委員会で活躍した学者や、談合問題を手掛ける弁護士等を委員に選任した委員会の提言に基づく新しい入札制度は、自慢じゃありませんが、「讀賣新聞」社会面でも評価され、国土交通省の北側一雄大臣も会見で、長野県の入札改革を見習いたい旨の発言を行うに至りました。

無論、その議論の過程は公開で行われ、議事録もホームページ上で公開しています。他方、「総合規制改革会議 設置法で定めた議事録作成せず」なる大見出しで本日付「毎日新聞」が伝える「小泉構造改革」の不透明さは、看過し得ぬ驚愕の実態です。

“忠犬ハチ公”としてアメリカ及び小泉・竹中コンビからの覚え目出度き宮内義彦オリックス会長が議長として取り仕切る、内閣府に設置された首相の諮問機関は、内閣府設置法に基づく規則で定められた「3年分全ての議事録を作成していなかった」のです。

「公表されているのは発言者名の無い議事概要だけで」、「900項目の規制改革を首相に答申した」「規制緩和の政策決定過程が検証出来ない」「ずさんな会議運営」です。

「議事録を作成する担当者を置いておらず、当時の職員に聞いても記憶があやふやではっきりしない」との驚天動地な内閣府の回答に関し、僕が代表を務める「新党日本」所属国会議員の滝実、荒井広幸の両名は、誰が如何なる理由で議事録の作成を「拒んだ」のか、徹底追及します。

議事録担当職員すら確保し得ぬ「小さな政府」の、国民を愚弄する「規制緩和」振りではありませんか。

件の会議は現在、同じく宮内某氏を議長とする規制改革・民間開放推進会議へと衣替えし、「格差社会」の“創出”に「寄与」し続けています。斯くて、日出づる国は、何処ぞの属国化を邁進していくのです。「保守」の風上ならぬ風下にも置けぬ亡国者集団です。