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カナダ・ノバスコシア州廃棄物政策ニュース


E−ウェイスト規制法可決

鷹取 敦

掲載日:2007年3月1日


 生ゴミ等の有機物のコンポスト化と徹底的な資源化等によって廃棄物の50%の削減目標に到達したカナダ・ノバスコシア州は、これに満足することなく拡大生産者責任の考えを取り入れて、さらなる削減に取り組んでいる。

 そのノバスコシア州・環境労働局の担当者より、E−ウェイスト(電気製品廃棄物)に関わる新しい規制が決定したというリリース(2月23日発表)が届いた。

 日本では家電リサイクル法によって、エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機の大型家電について消費者が数千円のリサイクル料金を支払い、小売店が収集・運搬しメーカーによってリサイクルすることが義務づけられている。また、パソコンおよびそのディスプレイについては、PCリサイクルマークのついている製品(購入時の価格にリサイクル料金が含まれている製品)以外は、消費者がリサイクル料金を支払ってメーカーに(ゆうパックによる)回収を依頼し、メーカーがリサイクルする仕組みとなっている。いずれも消費者がリサイクル費用を負担するのが特徴だ。

 一方、2008年2月に始まるノバスコシアの新しい規制の概要は以下のとおりである。

 規制開始時に対象となる製品はコンピュータ、テレビ、プリンタである。さらに2009年2月以降は、携帯電話、電話、ビデオデッキ、DVDプレーヤ/レコーダ、ステレオなどが対象に加わる。

 まず、これらの電気製品は最終処分場への埋め立てが禁止される。これはノバスコシアの廃棄物政策に共通する重要な点の1つである。資源になるべきものは、リサイクルが義務づけられるだけでなく、これらの品目を埋め立てたり焼却することが禁止されるのである。リサイクルルートに載らなかった廃棄物が埋めたれられたり、焼却されたりすることがないようになっているのだ。(日本の容器包装リサイクル法では、実施していない自治体では容器包装が埋め立て、焼却されている)

 消費者は全州の集積所に、不要になったこれらの電気製品(当面はコンピュータ、テレビ、プリンタ)を持ち込む。リサイクルに必要な一切の費用はメーカーが負担するので、消費者の義務はここまでである。

 日本では家電、PC、容器包装のいずれにしても、消費者負担、税金負担の部分が大きいが、ノバスコシア州では既に販売された製品も含めてメーカーが一切の費用を負担するのである。これは拡大生産者責任の考え方が根底にあるからだ。新しい製品を販売する時にリサイクル費用を価格に含めることは禁止されていないが、メーカー負担を原則とすることにより、リサイクルが容易で廃棄物の少ない製品の開発を促すことが出来る。

 日本では本来の拡大生産者責任の考え方はメーカーの反対もあり、なかなか実現されない。ノバスコシアでメーカーがこの新しい規制を受け入れた背景には、ノバスコシア州の廃棄物政策全般において常に強調されているスチュワードシップ、すなわち率先して社会の一員としての役割・責任を果たすという考え方がある。

 今回の規制のリリースにおいて、ノバスコシア州のマーク・ペアレント環境労働大臣は「エレクトロニクス産業界が率先して責務を果たそうとしていることに強い感銘を受けています。重要なプロジェクトにおいて産業界と共に取り組めることを喜ばしく思います。」と述べているが、これは業界がスチュワードシップに基づいて新しい規制を受け入れたことを歓迎しているものだ。

 業界の代表であるカナダ・エレクトロニクス製品スチュワードシップの会長兼CEOであるデビッド・ベッツ氏は「環境配慮を確実にするための責務を業界は喜んで引き受けます。」と述べている。

 電気製品のリサイクルという点においては、一見、日本の家電リサイクル、PCリサイクルと似ているようだが、拡大生産者責任、スチュワードシップという考え方に裏打ちされているノバスコシアの取り組みは、日本とは大きく異なったものとなるだろう。

■ノバスコシア州環境労働局リリース(環境総合研究所訳)
環境労働局:E−ウェストの新しい規制が成立

 ノバスコシアは州の新しいE−ウェイスト規制によって、さらにクリーンでグリーンになります。多くの電気製品をリサイクルのために全州にあるE−ウェイスト集積施設に持ち込むことが出来るようになります。

 州政府はエレクトロニクス産業界との協力によって策定した新しい規制を、本日2月23日に発表しました。この規則によって特定の電気製品はノバスコシア州内の最終処分場に埋め立てることが出来なくなります。

 マーク・ペアレント環境労働大臣は「州の固形廃棄物処理計画のこの重要な場面において、エレクトロニクス産業界が率先して責務を果たそうとしていることに強い感銘を受けています。重要なプロジェクトにおいて産業界と共に取り組めることを喜ばしく思います。」と述べました。

 この規制は、エレクトロニクス産業界に製品の取り扱いを、安全で環境にやさしいものであることを確実にするよう義務づけるものです。

 カナダ・エレクトロニクス製品スチュワードシップの会長兼CEOであるデビッド・ベッツ氏は「製品の取り扱いの環境配慮を確実にするための責務を業界は喜んで引き受けます。今後数ヶ月の間、パートナーとともに製品の回収、再資源化のための効果的な計画を策定します。」と述べました。

 消費者は古い電気製品を捨てる時、無料で全州にある集積施設に持ち込むことが出来るようになります。

 E−ウェイスト集積施設におけるコンピュータ、テレビ、プリンタの受け入れは、2008年2月1日までに開始される見込みです。

 この計画に必要な費用はエレクトリニクス産業界が負担します。業界は製品価格に費用を上乗せして消費者負担とすることが可能です。集められた費用はこの計画のために用いられ、政府に支払われることはありません。

 ノバスコシア州では年間4500トン以上の電気製品が廃棄物となっていると見積もられています。

 E−ウェイスト規制についての詳しい情報は、環境労働局のウェブサイト http://www.gov.ns.ca/enla/ をご覧ください。

広報担当: Janet Lynn McNeil
Environment and Labour
902-424-7420
E-mail: mcneiljl@gov.ns.ca

■ノバスコシア州環境労働局リリース(原文)
ENVIRONMENT/LABOUR

--New Regulations Passed for E-Waste

Nova Scotia will be cleaner and greener because of the province's new e-waste regulations. People will be able to drop off many electronic products for recycling at e-waste collection facilities throughout the province.

The government, in partnership with the electronics industry, announced regulations today, Feb. 23, which will prohibit the disposal of certain electronic products in Nova Scotia landfills.

"I am particularly impressed by the willingness of the electronics industry to take on the responsibility for this important aspect of the province's solid-waste management plan," said Mark Parent, Minister of Environment and Labour. "It was a pleasure to work with the industry on this important project."

Regulations will require the electronics industry to ensure the safe and environmentally friendly management of their products.

"Our industry is pleased take on the responsibility to ensure environmental management of our products," said David Betts, president and CEO of Electronic Product Stewardship Canada. "During the next several months, we will work with our partners to develop an effective plan to collect and recycle our products."

When disposing of old electronic products, consumers will be able to drop off their products at collections facilities throughout the province, free of charge.

It is anticipated e-waste collection facilities will be ready to start accepting computers, televisions and printers by Feb. 1, 2008.

The cost of the program will be covered by the electronics industry. The industry may charge consumers a fee when purchasing new products. Any fees collected by industry will be used to cover program costs and will not be sent to government.

Estimates show that more than 4,500 tonnes of electronic product waste is generated in Nova Scotia annually.

For more information on e-waste regulations, see the Department of Environment and Labour website at www.gov.ns.ca/enla .

Media Contact: Janet Lynn McNeil
Environment and Labour
902-424-7420
E-mail: mcneiljl@gov.ns.ca