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■PCリサイクル制度の概要 いわゆるPCリサイクル法(資源有効利用促進法)が2001年に施行されてから今度の4月で9年になる。この間、自宅のパソコンを1回、2回、買い換えその際、この制度によりリサイクルに出した方も少なくないだろう。 2003年10月1日以前に購入した不要な家庭用パソコンを「処分」する時には、ユーザーは「回収再資源料金」をメーカーに支払い、その後送付される「エコゆうパック」伝票を用いて郵便局に集荷してもらう方式である。2003年10月1日以降のパソコンは購入時に回収・資源化のための費用を支払っており「PCリサイクルマーク」が付いているので、「処分」時の費用負担は不要である。 メーカーは回収された機器を部品単位に分解し、再利用できるものは再利用、できないものは粉砕して金属類、プラスチック類、ガラスなどを取り出して資源化する。なお、メーカーが撤退、倒産している場合、自作PC等は「一般社団法人 パソコン3R推進協会」が有償で引き取ってリサイクルを行う。 以上が一般に理解されているPCリサイクル法の概要であろう。 例えば、東京都環境局のウェブサイトには、 http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/kouhou/madoguti/ 品川区のウェブサイトには、 http://www.city.shinagawa.tokyo.jp/hp/menu000005500/とある。 ■PCリサイクル制度の大きな抜け穴 しかしながらこの制度には意外と知られていない大きな抜け穴がある。 例えば東京に住んでいた人が別の地域に引っ越し、引っ越し先でPCを「処分」しようとした時の自治体の対応の違いに戸惑う場合がある。PCを「粗大ごみ」「もやせないごみ」として無償で引き取る自治体が存在するからである。 例えば、鹿児島市のウェブサイトには http://www.city.kagoshima.lg.jp/_1010/shimin/4kankyoricicle/とある。両方を合わせると「粗大ごみ」「もやせないごみ」として収集したPCでも費用を住民が負担しリサイクルされるとも読める。しかし鹿児島市リサイクル推進課(099-216-1290)に問い合わせたところ、実際はごみとして市が無償で収集し埋め立てるということである。 これはメーカーによるPCの回収はあくまでも「自主回収」であること、PCをごみとして回収するかどうかは最終的には自治体の判断に委ねられていることにその原因がある。 パソコン3R推進協議会が約550市に対して行ったアンケートによると、 http://www.pc3r.jp/home/faq06.html#q6-1とある。アンケート実施時点において、相変わらずPCをごみ収集している自治体が約3割、メーカーが3R協会に加盟していないPC(撤退・倒産したメーカー、自作PC等)を含めると三分の二に上る。 メーカーもしくは3R推進協議会に連絡し、必要な場合には費用を振り込み、郵便局が自宅まで回収に来るのだから、「回収ルートが確保されていない」地域など事実上存在しないはずである。それにも関わらず相変わらずメーカーの自主回収と位置づけ、自治体独自の判断によってリサイクルするか埋め立てるか決めることが出来る制度のまま放置されているのは、当該自治体の責任は当然のことだが、そもそも国の責任であろう。 ■リサイクル対象電気製品を広げ分かりやすい制度に改善すべき なお、リサイクルの対象となっている機器が狭く限定されていることにも問題がある。現状ではデスクトップ、ノート、一体型PCの本体と、CRT、液晶ディスプレイのみである。パソコンと一緒に使われるプリンタ、スキャナや、ワープロ、ゲーム機等は未だに対象となっていない。家電リサイクル法の対象は、洗濯機、冷蔵・冷凍庫、エアコン、テレビ、乾燥機のみである。PC系と他の家電で制度が分かれているのも分かりにくい。 以前に紹介したゼロウェイストに取り組んでいるカナダ・ノバスコシア州ではe−ウェイストリサイクルの開始時期は日本よりも遅かったものの、対象となる機器を積極的に広げている。 http://www.gov.ns.ca/nse/waste/ewaste.asp ノート/デスクトップパソコン、周辺機器、プリンタ、モニタ、テレビ、スキャナ、電話、ファックス、携帯電話、無線機器、音響映像の再生・録画録音機器等(ビデオ、DVDレコーダー、プレーヤーなど) 費用負担は新品については日本と同様、製品価格に上乗せされ、法律施行以前の製品についてはメーカーが費用負担することとされている。回収は容器等を回収している地域の拠点、環境デポで行われている。ユーザーがリサイクルに出す時点で費用負担が発生しないため、不法投棄も起こりにくい仕組みとなっている。 日本でも、リサイクルの対象とすべきかどうかという基本的な部分を市町村任せにすることなく、分かりやすく簡潔な制度とし、対象製品を計画的・積極的に拡げていく必要がある。 |