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環境省が主犯・偽装がれき処理検討

鷹取 敦

掲載月日:2013年3月13日
 独立系メディア E−wave
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 堺市(大阪府)が瓦礫の広域処理を「検討しただけ」でごみ処理場の建設やその他の施設の改修費として復興予算86億円を割り当てられていた問題が報じられた。検討さえすれば返還の義務はないという。

 2012年3月に出した環境省の通達で「震災瓦礫の受け入れを検討すれば結果として受け入れることができなかった場合でも返還は生じない」としたことがその理由である。この後、がれき総量が見直され大幅に減少しており、一部の自治体からの広域処理の受け入れを申し出を被災自治体が断っていること、処理が前倒しされていることから、そもそもこのような大判振る舞いは必要なかった。

 これだけ聞くと、広域処理を受け入れようと検討した結果、受け入れることが出来なかったにも関わらず復興交付金を返さなくてよい、という問題にみえる。そうだとしても問題なのだが、実態はさらに悪質であることが2013年3月13日のテレビ朝日モーニングバードの報道から分かる。下記のサイトでこの番組の内容を紹介している。

◆えっ!? 震災がれき受け入れ「検討だけ」で巨額復興予算
http://www.asyura2.com/13/senkyo145/msg/158.html

 通常、自治体が焼却炉の建設、改修を行うとき、その費用の多くを環境省が一般の交付金(堺市のケースでは43億円)として交付し、一部を自治体が自ら負担(堺市のケースでは23億円)する。堺市がこの一般の交付金として申請したところ、環境省が「復興財源を使って欲しい」と誘導し、復興財源を使えば86億円全額国が面倒みるから、と説明したという。

 つまり、堺市はそもそも広域処理の受け入れの検討をしていたわけではないのにも関わらず、環境省は堺市が広域処理の受け入れを検討したことにして復興交付金を受け取るよう促したのである。

 一般に、やっていないことをやったふりをして、その対価を受け取ったとすれば詐欺になる。交付金を申請する立場の堺市は、環境省から復興交付金を使うように言われれば、後ろめたい気持ちがあっても断りにくいだろう。

 がれきの処理が本当に進まずに困っているのであれば、また環境省が本当に被災地のことを考えているのであれば、このような「偽装がれき処理検討」を自治体にうながして、復興財源を無駄遣いすることはありえないのではないだろうか。