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ジュネーブでのプーチン・バイデン首脳会談を前に、
モスクワと北京が緊密な関係を再確認
中国とロシアの関係を分断しようとする試みは
「無意味で滑稽」:専門家

筆者:Yang Sheng and Cao Siqi ヤン・シェン、カオ・シキ
環球時報 2021年6月16日
Moscow, Beijing reaffirm close ties before Putin-Biden
summit in Geneva Attempts to split China-Russia relations
‘useless, hilarious’: expert

By Yang Sheng and Cao Siqi
 Global Times June 16 2021

池田こみち Komichi Ikeda(環境総合研究所顧問)
 独立系メディア E-wave Tokyo 2021年6月16日 公開
 

ロシアのプーチン大統領(左)とアメリカのバイデン大統領(右)の写真
新華社撮影


<本文>

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と米国のジョー・バイデン大統領は、水曜日に予定されている会談についての期待を控えめに見ている。中国の専門家は、ジュネーブでの会談でバイデン氏に最も期待されているのは、米露関係を安定させ、中露関係をできるだけ分裂させることだが、いずれにしてもうまくいかないだろうと述べている。

 バイデンの最近のヨーロッパ訪問では、中国の話題は避けて通れないようで、観察者は米大統領の主な任務の一覧ををまとめている。それらの任務は、西側諸国が団結しているように見せること、米国の復帰を宣言すること、緊張緩和のためにプーチンと関わり、米国が中国との競争に集中できるようにすること、などである。しかし、世界のリーダーたちは、バイデン氏に次のような疑問を抱いている。アメリカは戻ってきたが、いつまでなのか?一貫性と確実性に欠ける大国の命令に、なぜ従わなければならないのか?

 アメリカとは対照的に、中国やロシアの政治には、はるかに確実性と一貫性がある。ロシアのプーチン大統領は、NBCニュースの金曜日の独占インタビューで、
「我々はロシアと中国の間に、これまで両国の歴史上達成されなかった戦略的パートナーシップ関係を構築し、政治、経済、技術などあらゆる分野で高いレベルの信頼と協力を築いている」と述べた。

 中国外交部の趙麗健(Zhao Lijian)報道官は、火曜日の記者会見で、「プーチン大統領の中露関係に関する前向きな発言を高く評価する。確かに、中国とロシアは強固に一体化しており、我々の友情は断ち切ることができない」、また、「地に足のついた(現実的な)中露協力にとって限界はなく、我々は二国間関係の発展に対して自信に満ちている」と述べた。


月曜日(ロシア時間)、モスクワのクレムリンでNBCのインタビューに答えるロシアのウラジーミル・プーチン大統領。ここ数年、中国とロシアは、以前は歴史上達成されていなかった戦略的パートナーシップ関係を構築し、あらゆる分野で高いレベルの信頼と協力関係を築いてきたと、プーチン大統領は中国に関する質
問に答えて語った。写真:VCG



プーチンの賢明さ/分別

 プーチンへの独占インタビューで、NBCニュースはその多くを中国に関する質問に割き、キア・シモンズ(Keir Simmons)は、なんとかプーチンに中国の悪口を言わせようとしたが、失敗した。

 シモンズの質問は、中国がロシアに対して軍事力を高めているという「潜在的な脅威」、中国が米露の核軍備管理交渉に参加していないこと、中国の新疆ウイグル自治区の問題、ロシアが中国やアメリカと宇宙開発で協力していること、さらには、中国が台湾問題を軍事的に解決したらロシアはどうするかといった仮定の質問にまで及んだ。

 シモンズは、「中国は、例えば、安保理でクリミアについて棄権した。中国の最大手銀行は、アメリカの対ロシア制裁に反していない。あなたは中国から100%の支持を得られると思いますか?」と指摘した。

 NBCによると、プーチンはこれに対し、「はっきりと正直に言っていいですか?我々は、ロシアと中国の関係を破壊しようとする試みがあることを知っている。そのような試みが実際の政策の中で行われていることもわかります。そして、あなたの質問も、その類のものです。」

 中国のアナリストは、シモンズや米国の政策立案者が行ったこのような試みは、非常に滑稽で無駄なものであり、あまりにも露骨であると述べている。

 北京にある中国社会科学院の米国研究の研究員であるリュウ・シアン(Lü Xiang)氏は、『グローバル・タイムズ』紙に対し、「バイデンはそのような試みがうまくいかないことを知っているが、最善を尽くすだろう。これが、彼がプーチンとの会談で到達したい最大の目標である」と述べている。

 アメリカは、モスクワが北京との関係から得たものをすべて捨て、中国を裏切るリスクを負わせるために、ロシアに提供するものは何もない。一方、ロシア人はアメリカに裏切られ、騙されたという非常に不幸で辛い記憶を持っている、と専門家は語った。

 中国人民大学国際学部の副学部長であるジン・カンロン(Jin Canrong)氏は、アメリカが米露関係の方向性を対立から協力へと完全に変えるチャンスはないし、バイデンが得られるのは、悪化する傾向を遅らせることだけだ、と語った。

 「オバマ政権以降、新しい大統領がホワイトハウスに移るたびに、アメリカはいつもロシアとの関係をリセットしようとするが、結局は対立に陥ってしまう。これは、アメリカとロシアの関係が深い構造的な対立を抱えていることを証明している」とジン氏は言う。

 ロシア外務省MGIMO-大学のアレクサンダー・ルーキン(Alexander Lukin)教授は、グローバル・タイムズ紙に対し、「この話し合い(プーチンとバイデンの会談)で(露米)関係を根本的に改善できるとは言えません。なぜなら、アメリカ人が国内的な理由でそれを行うのはまだ非常に難しいからです。あまりやりすぎると、今の共和党に代表されるような野党から批判されてしまうからです。」

 北京師範大学ユーラシア研究センターの李興(Li Xing)センター長は、火曜日にグローバル・タイムズ紙に対して、「近年、ロシアとアメリカの間の構造的な矛盾が激化しているため、今回の会議では、非原理的な問題についてはある程度の合意が得られるかもしれないが、二国間関係の促進に大きな影響を与えることはないだろう」と述べている。

 李氏は、地政学、人権、軍備管理などに関するこうした構造的な矛盾は、簡単には解決できないと指摘する。

 また、NBCの質問に答えて、プーチンは
「我々(中国とロシア)は隣国である。人は隣国を選ぶことはできない。過去数十年にわたって発展してきた我々の関係が前例のないほど高いレベルにあることに我々は満足しているし、中国の友人たちがそれを大切にしているように、我々もそれを大切にしている。」と述べた。

 趙(Zhao)氏は火曜日、中国とロシアの包括的な戦略的パートナーシップの新時代は、キャップ(上限)のない全方位的なものだと述べた。中国とロシアの関係を弱めようとするいかなる試みも絶望的であると強調した。

 プーチン・バイデン会談を翌日に控えた火曜日は、中国の習近平国家主席の誕生日であり、2年前、習近平はプーチンと一緒に誕生日を祝い、プーチンはロシアのアイスクリームをプレゼントした。近年、米国からの厳しい監視のもと、両首脳の関係はますます緊密になっている。

 このようなトップリーダー間の強固で緊密な個人的関係は、米国とその同盟国の間の脆弱な結束とは異なり、2つの大国が共有するハイレベルな相互信頼、類似した価値観、幅広い共通利益に基づいている。そのため、中国はバイデン氏の外交努力に全く不安を感じていないとアナリストは指摘している。

 ロシアのアンドレイ・デニソフ(Andrey Denisov)大使は、グローバル・タイムズ紙の独占インタビューで、アメリカとの首脳会談について、ロシアは中国と緊密なコミュニケーションを保つだろうと述べている。

 一部のアナリストが、バイデン政権が中国への対応に集中するために、ロシアとの緊張を和らげる措置を取るのではないかと指摘しているが、この戦略はロシアを中国から遠ざけ、米国に近づけることになるのではないか、と問われたことに対し、デニソフ大使は、「
この見解はあまりにも近視眼的だ。それは起こりえない。我々はアメリカ人が考えている以上に賢いと思う。」と述べている。


Russian Ambassador to China Andrey Denisov Photo: Li Hao/GT
アンドレイ・デニソフ駐中国ロシア大使  写真:Li Hao/GT



■似たような感覚/センス

 米国が中露関係に不和をもたらそうとしているとき、モスクワと北京は米国にコメントしながらユーモアのセンスを発揮している。

 趙氏は火曜日に、中国の内政に干渉するG7コミュニケを批判した。彼は、「
一国や一部の国で構成されるブロックが世界をコントロールする時代はとっくに終わっている...アメリカは病気で、その病気は深刻だ。G7はアメリカのために治療法を見つけるべきだ」と述べた。

 プーチンはまた、「
『自分が醜いからと言って鏡に怒ってはいけない』。鏡はあなた個人とは何の関係もありません。しかし、誰かが何かで私たちを非難したら、私が言うのは『なぜ自分自身を見ないのか』ということです。鏡に映るのは自分自身であって、私たちではないのですから」。

 残念ながら、アメリカは覇権主義的な立場を利用して、中国やロシアのように自主性や主権を重んじる国に圧力をかけるのが大好きで、ヨーロッパの同盟国でさえ、この時代遅れのアプローチに疲れている、と専門家は指摘している。

 ジン(Jin)は、中国とロシア、そしておそらく世界の多くの国が-アメリカは問題のある考え方をする患者だ、という同じ気持ちを抱いているようだと述べた。「彼(アメリカ)は痛みを感じ、自分が病気であることを知っているが、病院に行って病気の本当の原因を調べようとしない。周りの人々に腹を立てるのが好きなようです。以前は、これはトランプ政権だけの問題だと思っていましたが、今はすべての(アメリカ)人の問題のように思える。」と。

 Lü氏は、中国とロシアだけではなく、EUの主要国も懸念を抱いており、だからこそアメリカの要求に距離を置き、中国やロシアとの関係についての意思決定において独立性を保っている、と述べている。

 「
バイデンは『アメリカが戻ってきた』と宣言したが、それはいつまでなのか? これは、彼が同盟国(味方)にも答えられなかった質問だ。アメリカは民主党と共和党の間だけでなく、民主党内でも分裂していることが誰にでもわかる。このような不確実性のある国に誰がぴったり着いていくのだろう?」