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平成25年物議後の

平成26年の「日展」に行く

<物議の顛末>

青山貞一
掲載月日:2014年12月4日
 独立系メディア E−wave Tokyo


 2014年11月3日夕方、トワイライトチケットで、東京六本木の国立新美術館で開催されている「日展」に研究が一段落した夕方、池田こみち氏と一緒にでかけた。


日展のポスター  出典:日展

 下は上から見た国立新美術館である。フロントの波が大きな特徴となっている。この国立新美術館は、外から見るより、内部はかなり広大である。


上から見た国立新美術館  出典:グーグルストリートビュー


GLから見た国立新美術館  出典:グーグルストリートビュー


玄関側から見た国立新美術館    出典:Wikipedia


国立新美術館の内部    出典:Wikipedia


国立新美術館の庭    出典:Wikipedia

 今年は、さまざまな分野で日本の美に接してきたが、「日展」はいうまでもなく、日本最大の官選版の「日本の美」の結集である。

 官選と言ったのは、本来、美を間接的にであれ国が決めた分野毎の審査員によって入選だ特選だと評価すること自体、異常なことと感じるからである。

 洋の東西を問わず、美術、音楽などの芸術は、当人が生きているうちは、ほとんど社会から評価されず、死んで何年、何十年も経ってからその真価が認められるものだろう。

 その意味からすると、「日展」への入賞を期待し血道を上げる現状には疑問を感じる。

 別の言い方をすれば、日本社会、文化勲章の叙勲を筆頭に、国家が国民を「手なずける」一環としての仕組みのように、美術の世界にまで食い込んでいる様は、滑稽ですらある。

 もっぱら、かの長生きされた横山大観大先生も、若い頃は朦朧画を描き当時の画家の大家からバッシングを受け、東京美術学校(今の東京芸術大学)を岡倉天心、菱田春草らと辞めるなど、反骨、反権威主義を通したが、晩年は「日展」の審査員になっている。

<参考>
◆青山貞一:いわれなき迫害をはねのけた近代日本画の祖、岡倉、横山、菱田@
◆青山貞一:いわれなき迫害をはねのけた近代日本画の祖、岡倉、横山、菱田A


 やはり、日本人はどこまでも国や権威筋からのお墨付きをもらうのが好きな民族と言ってもよいかも知れない。

 「日展」に関わる問題は、当然、これだけではない。入選や特選は、最終的に画廊やオークションを通じて目が飛び出るような高額でとりひきされている。

 私は芸術家は、無冠の帝王であってこそナンボであるとおもうのだが、実態はそうでないようだ。

 ところで、これに関連して昨年の2013年の「日展」に関連し、信じられないと言うか、官製であるが故の物議がおきていた。当初、池田さんにこれを聞いたのだが、自宅に帰って調べて見たら、以下のような「事実」が分かった。

◆日展 入選者事前割りふりの疑い
 NHK ニュース 2013年10月30日

 国内最大の一般公募の美術展「日展」の「書」の部門で、入選者の数を複数の会派に事前に割りふっていた疑いがあることが関係者への取材で分かりました。文化庁は日展に対し、速やかに事実関係を調査し報告するよう求めました。

 「日展」は、日本画や洋画など合わせて5つの部門で、毎年1万人以上が応募する日本最大の公募美術展です。審査の不正が行われていた疑いがあるのは、石や象牙などに文字を彫る「てん刻」の部門で、過去、20回以上にわたって、この部門で入選したことのある男性が、NHKの取材に対し明らかにしました。

 男性は「特定の会派に入選が集中するように入選数を割りふっていた。50年近く行われてきたことだ」と証言しました。

 そのうえで、「審査が行われる前に、日展の顧問の自宅を訪れ、作品を見てもらったお礼として、高額の“指導料”を支払う作家もいる。その作家は、顧問の独断で入選している」と公平な審査が行われていない疑いがあることを明らかにしました。

 さらに「日展の理事や審査員含め、応募者のほとんどが、その習わしを知っていたはずだ」と述べました。

 一方、審査の不正に関わっていたとされる「日展」の顧問は、NHKの電話取材に対し、「顧問になってから10年の間は、一切、審査に関わっていないため、どんな審査が行われているのか、まったく把握していない」と不正への関与を否定しています。

 この問題について、去年3月まで「日展」を所管していた文化庁が、30日寺坂公雄理事長らを呼んで、速やかに事実関係を調査し報告するよう求めました。理事長は、日展の審査体制や、不正が無かったどうか調査を始めたことを説明したということです。

 文化庁芸術文化課の舟橋徹課長は「日展はわが国を代表する美術展なので審査は公正に行われる必要がある。速やかに調査して事実関係を報告してもらいたい」と話しています。文化庁では報告を受けたあと、現在、日展を所管している内閣府と対応を検討したいと話しています。

 実はこの物議は、元はといえば、朝日新聞の下にあるスクープ記事から始まっている。

◆日展書道「篆刻」、入選を事前配分 有力会派で独占
 朝日新聞 2013年10月30日05時41分



 日展審査員が有力会派幹部に送った手紙と会派別入選数の一覧表(略)

 【沢伸也、田内康介】日本美術界で権威のある日展の「書」で、有力会派に入選数を事前に割り振る不正が行われたことが朝日新聞の調べで分かった。毎年1万人以上が応募する国内最大の公募美術展への信頼が揺らぐのは必至だ。

「天の声」で入選差し替え「先生に手ぶらじゃ駄目」
 日展には日本画、洋画、彫刻、工芸美術、書の5科がある。1万円を払えば誰でも応募でき、入選すれば展示される。今年度は(2013年)11月1日から国立新美術館(東京・六本木)で開催される。1万3919点の応募があり、7割が書だ。

 書には漢字、かな、調和体、篆刻(てんこく)の4部門がある。

 朝日新聞は、石材などに文字を彫る「篆刻」の2009年度の審査を巡り、当時の篆刻担当の審査員が有力会派幹部に送った会派別入選数の配分表と、手紙を入手した。配分表には有力8会派ごとの応募数と入選数が直筆で記され、過去5年分の会派別の応募数と入選数の一覧も添えられていた。

 
註:黄色化したのは筆者

つづく