第3回 アマルフィ海岸自治体の持続可能性基礎調査 2013-6 A Survey on Sustainability of Costiera Amalfitana Comune 初夏のアマルフィ海岸を行く 6日目 ミノーリの歴史と文化 青山貞一・池田こみち 2013年6月14日 独立系メディア E-wave Tokyo 無断転載禁 |
2013年アマルフィ海岸現地視察調査報告<125本 全体メニュー> アマルフィの位置 ミノーリの紋章 イタリア国旗 ◆ミノーリの歴史 ミノーリは、もともと小さな漁村が、20世紀の著しい都市化により 観光地化しています。今やミノーリはアマルフィ海岸にあって「小さな宝石」となっています。 古代のローマ時代からミノーリは、コムーネ内を流れる「マイナー」あるいは「マイノーリ」の名の川とともに発展し、当初、Rheginnaと呼ばれていました。 ミノーリの経済と社会生活は、ミノーリにあるサンタ・トロフィメーナ(Trofimena)大聖堂を中心に発展してきました。ミノーリのこの大聖堂は、八世紀からほぼ千年間にわたり歴代の司教をつとめた聖人の遺骨を安置する唯一のまちでした。 急峻な山の谷間に歴史的なまちなみが展開するミノーリの景観。 撮影:青山貞一、Nikon Cool Pix S8 2011.3 ミノーリまちづくりのパトロン(支援者)となったサンタ・トロフィメーナ(Trofimena)大聖堂は、ミノーリだけでなく、アマルフィ海岸全体の守護神となり、往事のアマルフィ共和国やシチリアのまちでも尊敬されています。 近代の1932年、ローマ時代のヴィラ(別荘、保養地)としてその後、ヴィッラ・ロマーナと名付けられた「Rheginnaマイナー」、は裕福なローマ人が滞在し、保養、休養する長期滞在の場所だったことが永年の遺跡掘り起こし作業によって分かってきました。なお、ヴィッラ・ロマーナ(Villa Romana)については、別途詳述しますので、ご覧ください。 また中世の都市国家時代、アマルフィ共和国の主要な都市のひとつミノーリは、当時強力な海洋都市国家のひとつだったピサ軍により破壊された歴史をもちます。ピサはピサの斜塔で有名なピサです。 歴史的には、アマルフィ海岸がピサ共和国に攻撃され破壊される前、ミノーリを含めアマルフィ連合は、ヴェネツィア共和国に匹敵する壮大な海岸共和国を謳歌していました。ミノーリはアマルフィ海洋共和国の一部を形成し、近隣の町と波瀾万丈の歴史を第二次世界大戦の連合軍のサレルノ上陸まで享受そして甘受してきた。 事実1943年9月の連合軍のサレルノ上陸と爆撃によりミノーリは大きな打撃を受けています。なお、ミノーリは、なぜか英国やオーストラリアの観光客に人気があるそうです。 下の写真はミノーリの市街にあったかわいらしい道祖神? ミノーリにあったかわいらしい道祖神? 撮影:青山貞一、Nikon Cool Pix S8 2011.3 ◆ミノーリの文化 ミノーリは数あるアマルフィ海岸のコムーネにあって、広い入り江とあまり喧噪でない魅力的な海辺のある牧歌的でのんびりとした漁村です。夏は多くの海水浴客が集まってきます。 ミノーリは、燦々と降り注ぐ太陽の光と両側を山に囲まれた風光明媚な風景のため、古代ローマ貴族のリゾートの隠れ家的存在でもありました。さらミノーリはアマルフィ海岸で唯一、古代ローマ時代の別荘が残った町でもあります。 ミノーリでは、紀元前1世紀ローマ時代の遺骨が別荘跡から発見されています。ミノーリの古代博物館にはさまざまな文書の断片、粘土の花瓶、モザイク、装飾品などが展示されています。 ミノーリに残ったヴィッラ・ロマーナ(Villa Romana)には2500平方mに及ぶ豪邸もあり、中庭、食堂、ダンスホール、噴水、狩りなど当時の貴族の家が偲ばれます。それらのモザイク絵画や古代ローマ時代の建築様式をミノーリの博物館で見ることができます。 これについてはヴィッラ・ロマーナ(Villa Romana)の節を参照のこと。 ミノーリは、美食家にとっての "美味のまち"と呼ばれています。 ヨーロッパの王家で、フランスの王家であり、現在のスペイン王家そしてイタリアの王家の一部でもあるブルボン家の時代、ミノーリはナポリ王国の食材の生地や菓子を生産する中心地であったそうです。 すでに述べたように歴史的にミノーリの中心部には数多くの製粉工場があり、水は山から海へ沿い谷に沿って流れるRheggina川から供給された。パスタはミノーリの”晴れた広場”で乾燥していました。 今から1900年も前、ミノーリの海岸では、手製パスタが作られていたのです。海岸にテーブルを置き、その上でパスタを乾燥させていた。現在でもアマルフィ海岸の中で唯一手作りパスタ製麺所が残っています。この製麺所で作られるフジッリ(カンパーニア州特産パスタ)は格別の美味しさであると言われています。 傾斜がきつい土地に面する家々のテラスに植えられたレモンは、アマルフィ海岸におけるレモンチェッロや有名なリキュールとして販売されている。またお菓子の材料としても使われています。 グルメの中心地ミノーリでは毎年、食の祭典が開催されています。 毎年9月上旬、ミノーリのまちをあげた恒例「グスタ・ミノーリ(Gusta Minori)」というグルメ祭があり、数日間、特産物の試食や販売さらに伝統舞踊や音楽が楽しめます。またミノーリは、未成年者や子どもの理想郷と言われています。 ミノーリはアマルフィ海岸の各町からバスまたは船で容易に来ることができます。またアマルフィ海岸の中心都市、アマルフィにはわずか15分で行くことができ、ラヴェッロ、スカーラ、マイオーリなどのリゾート地にも徒歩で行くことも可能です。またミノーリでみるサレルノ湾、ティラニア海の夕焼けは格別かつ壮観といえます。 つづく |