第3回 アマルフィ海岸自治体の持続可能性基礎調査 2013-6 A Survey on Sustainability of Costiera Amalfitana Comune 初夏のアマルフィ海岸を行く 7日目 チェターラの名の由来 青山貞一・池田こみち 2013年6月14日 独立系メディア E-wave Tokyo 無断転載禁 |
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2013年アマルフィ海岸現地視察調査報告<125本 全体メニュー> アマルフィ海岸の位置 チェターラの紋章 イタリア国旗 ◆チェターラという名の由来 チェターラは、歴史的は主にマグロ(tuna)漁など漁業に携わる漁師らの村として発展してきました。 チェターラ(Cetara)という地名は、ラテン語のCetarria、ギリシャ語のKeteiaに由来があります。それは大きな魚類を販売する、すなわち魚商から来ているようです。大きな魚はいうまでもなく地中海で捕れるマグロをさしています。 イタリア語文献を含めいろいろ調べると、チェターラの地中海マグロ漁は相当昔から有名なことが分かります。 下の中央は、チェターラの紋章ですが、大きな魚(イルカ?)がデザイン化されています。 アマルフィ海岸の位置 チェターラの紋章 イタリア国旗 下はマグロ保護に関わる各地域毎の条約(略称)です。地中海マグロは現在、大西洋マグロ類保存国際委員会(ICCAT)のもとで管理されています。 各条約の管理対象海域図 チェターラのひとつの大きな魅力は、チェターラの地先の海の水が綺麗なことです。 下の写真は、チェターラの海浜です。これほど綺麗な海はモンテネグロのヘルセグノビの海以来です。 チェターラの海浜です。これほど綺麗な海はモンテネグロのヘルセグノビの海以来 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 下の写真は漁港からみたチェターラです。チェターラの漁業は今なお完全に「現役」です。 中央に、サン・ピエトロ/・アポストロ教会のドーム(半円形と三角錐形)が見えます。右側の山の裾野に5階建ての集合住宅が見えますが、色、形が統一されており、景観的にはそれほど問題は無いようです。チェターラは、狭い谷にまちが形成されてきたためどうしても、集合住宅が必要となるのでしょう。 漁港から見たチェターラ 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 一方、大地震などによる津波の来襲との関連では、これら山裾の集合住宅であれば水面から20mほどあるので、間違いなく被害は免れます。また水面に近いトーレ、教会、住宅、リストランテなどはいずれも石造りなので、日本の三陸地方のように、建築物ごと流される可能性は少ないはずです。 ちなみに、1000人以上の犠牲者を出した津波について調べると、1755年に起きたポルトガルのリスボン津波があります。この津波では、62,000人の犠牲者がでており、犠牲者数で過去、欧州最大の津波となっています。 歴史的に見ると、世界の海洋国家には、フェニキア(シリア)、カルタゴ(チュニジア)、アテナイ(ギリシャ)、ヴェネツィア共和国(イタリア)、ジェノヴァ共和国(イタリア)、ポルトガル、スペイン、オランダ、フランス、イギリス、アメリカ合衆国、日本があります。このうち、ポルトガルは歴史の初期段階で七つの海を制覇する海洋国家でしたが、リスボン地震で一気に国力を失い、以降、ポルトガルが海洋国家として再興することはありませんでした。 欧州における犠牲者1000人以上出した世界的大津波
漁港から見たチェターラ 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2013年6月 南イタリアのアマルフィ海岸に面する自治体(コムーネ)では、歴史的に津波に備え、漁業に関連する施設、観光用の店などは海面近くに設置していますが、住居部分は高台に立地するのが一般的となっています。漁業中心の町、チェターラではその基本原則を遵守しているようです。 チェターラの現在の漁港 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2013年6月 下は津波、高波などから町そして漁船を守る突堤、堤防です。 チェターラの漁港の突堤 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2013年6月 下はチェターラの沿岸警備事務所の入口です。 チェターラの沿岸警備事務所の入口 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2013年6月 下は地中海の主要漁業のまちチェターラの地域海上事務所の看板です。 地中海の主要漁業のまちチェターラの地域海上事務所の看板 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 下は漁港の駐車場にあったトラックに描かれていた写真と文字です。文字はチェターラの魚(Ittica)とあります。 チェターラの漁 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 2013年6月 ということで、人口2200人足らずの小さなまち、チェターラですが、漁業、漁などに寄せる漁師やその家族、住民の思いには歴史を強く感じます! つづく |