第3回 アマルフィ海岸自治体の持続可能性基礎調査 2013-6 A Survey on Sustainability of Costiera Amalfitana Comune 初夏のアマルフィ海岸を行く 7日目 アトラーニの生活と産業 青山貞一・池田こみち 2013年6月14日 独立系メディア E-wave Tokyo 無断転載禁 |
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2013年アマルフィ海岸現地視察調査報告<125本 全体メニュー> 左はアマルフィの位置 アトラーニの紋章 イタリア国旗 ■アトラーニの生活と産業 先に、アトラーニ( Atrani)は、イタリア共和国カンパニア州サレルノ県にある人口わずか約900人の基礎自治体(コムーネ)であり、面積は 0.12 km2 しかなく、イタリアで最も面積の小さなコムーネです、伝えました。 下はまず人口です。多いときには2,748人おりましたが、現在は約900人です。 アトラーニの人口推移 Source:Italiano Wikipedia 次は面積ですが、イタリア全土の小さなまちランキングでは、以下の表にあるように、確かに0.12 km2しかありません。これはたとえば120m×100mを意味するので、東京ドーム程度の面積と言うことになります。下の表からは6位に、同じアマルフィ海岸のコムーネである コンカ・ディ・マリーニが含まれていることが分かります。 以下は、南イタリア・アマルフィ海岸自治体基礎調査の一環として調査した関連自治体の基礎的データです。 表を見ると、アトラーニは、住民の平均年齢が45.6歳とアマルフィ海岸自治体で一番高齢化していることが分かります。産業としては、製造業企業が8組織、その従業員が25人、サービズ業が19組織で従業員が32人、一次産業(おそらく主に漁業、一部農業)が35組織で就業人口が91人、行政が8組織で従事者が25人となっています。 産業の就業人口では漁業が一番多く、次にホテルなどのサービス業が32人、製造業と行政職員がそれぞれ25人となっています。、 表 南イタリア・アマルフィ海岸自治体の基礎的データ
出典 http://campania.indettaglio.it/eng/province/sa/la_provincia_di_salerno.html 出典 http://www.comuni-italiani.it/065/index.html 出典 http://www.comuni-italiani.it/063/index.html このように、アトラーニでは漁業と農業の一次産業が圧倒的に多いのですが、このことはアマルフィ海岸の全自治体でみても明白です。以下の図では棒グラフの一番右が一次産業の従業員数です。 ソレントが圧倒的に多いのですが、他の自治体でも一次産業の従業員数が他の産業よりかなり多いことが分かります。 図 南イタリア・アマルフィ海岸自治体の経済組織に従事する人数 凡例:左から製造業、サービス業、一次産業(農林漁業) 出典:青山貞一・池田こみち、南イタリア・アマルフィ海岸自治体の基礎調査データ@ 本来、ホテル、B&B、雑貨、レストランなどのサービズ業(19組織、従業員が32人)がもっと多くて良いように思われますが、実際トラーニ内を歩いてみると、それほど多くの看板は見当たりません。もちろん、Webで検索すると80以上が検索されますが、おそらく事業者としてよりはB&Bを個人として行っているものが多いようです。 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 アトラーニの理容室 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 これは推察ですが、アトラー二の場合、隣にあるアマルフィが雇用機会が10倍近くと圧倒的に多く、就業(雇用)はアマルフィで行い、住宅をアトラーニと言うタイプが多い者と思われます。下はアトラーニの比較的奥(北部)で撮影した写真ですが、住宅が多いようです。 ちなみに、アトラーニからアマルフィは徒歩でも10分程度で行けます。 アトラーニ北部の住宅地 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 以下はアトラーニとアマルフィを一緒に写した衛星写真です。写真を見ると、両コムーネの行き来は容易であり、町の規模、市街地規模、漁港規模などがやはい格段にアマルフィが大きいことが分かります。 アマルフィは世界遺産のアマルフィ海岸の代表地域であり、連日、外国からの客を乗せた観光バスが多数到着しています。 もっぱら、アマルフィとアトラーニは、歴史的「双子の都市」と呼ばれてきたことからすると、両方のコムーネを一体として見て良いと思われます。 下の航空写真を見ると、おそらく漁港は兄弟で共用しているかも知れません。というのも、アトラーニも立派な砂浜、海浜はありますが、その多くは観光客用の日光浴に使われており、アトラーニ専用の漁港はないようです。 アトラーニとアマルフィ グーグルアース アトラーニの地先の浜辺 日光浴のサマーベッドが多数ありました 撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8 世界一の観光立国、そしてあまたある世界遺産の国、イタリアのなかでも垂涎の観光地となっているアマルフィやアトラーニは、9世紀から現在まで人口がそれぞれ約5400人、約900人であっても、立派に持続可能な地域社会を続けてきたことは間違いないところでしょう。 つづく |