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農水省のトンデモ言い訳C
腎不全を起こすメラミン!?

青山貞一
掲載月日:2008年10月4日


 事故米の底なし流通に関連し、最も危惧されることはメラミンによる健康影響、被害である。

 その肝心な混入物質、メラミンだが、これについては農水省が「直ちに健康に影響があるレベルではない」と記者レクなどでマスコミに洗脳しているため、どのニュースでも「直ちに健康への影響はない」などと報じている。とんでもないことだ!

 これについては筆者が既に以下に述べた。いうまでもなく、直ちに健康への影響がないからといって問題ないわけではない。

◆青山貞一:農水省のトンデモ言い訳@重要な急性毒性と慢性毒性の違い
◆青山貞一:農水省のトンデモ言い訳A増えている化学物質過敏症


 ここで肝心なメラミンの化学物質としての特性と概要を記せば次のようになる。

 以下の主な出典はWikipedia。

メラミン[1]
IUPAC名 1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリアミン
別名 シアヌロトリアミド
シアヌロトリアミン
シアヌルアミド
識別情報
CAS 108-78-1
PubChem 7955
SMILES Nc1nc(N)nc(N)n1
特性
分子式 C3H6N6
モル質量 126.12 g/mol
外見 白色の固体
密度 1574 kg/m3
融点

350 °C, 623 K, 662 °F

沸点

昇華

への溶解度 3.1g/l (20°C)
特記なき場合、データは常温(25 °C)・常圧(100 kPa)におけるものであるる。

 メラミン(melamine) は、有機化合物で、構造の中心にトリアジン環を持つ有機窒素化合物の一種。ホルムアルデヒドとともに、メラミン樹脂の主原料とされる。

 メラミンはホルムアルデヒドと反応し、メチロールメラミンを生成する。メチロールメラミンは熱硬化性樹脂(メラミン樹脂)の原料となり、生産されるメラミンのほとんどが合成樹脂用に利用される。 メラミン樹脂は耐熱、耐水、機械強度などの点で優れ、工業的に大量に製造されている。

■メラミンの生体への影響・被害

 メラミンの生体への影響・被害だが、一年前、記憶に新しいペットフード問題が思い起こされる。

 それは、2007年にメラミンが混入された中国企業製ペットフードがアメリカ等に輸出され、犬や猫が主に腎不全で死亡する事件が起き米国では大事件となったことだ。

◆参考<愛知県>メラミン添加によるペットフード原材料の擬装

 この事件ではメラミンと、メラミンに含まれるメラミン合成時の副成品であるシアヌル酸が尿中で反応し生成した結晶(メラミンシアヌレート)が、腎不全を引き起こしたものと考えられる。

 メラミンはペットフード中のタンパク含有量(窒素含有量)を多く見せかけるために混入されたとされている。その後の調査では、メラミンを飼料に添加すると、より多くのタンパク質を含むように見えるが、栄養価はもとのであるという報告もある。

 2008年には中国においてメラミンが混入した粉ミルクが原因で乳幼児に腎不全が多数発生する事件が起きた[5]。通常メラミンは水にほとんど溶解しないが、溶解補助剤により人為的に溶解性を高めていたとされる。

 そのメラミンのラットでの経口投与による半数致死量(LD50)は 1-3g/kgで、メラミン自体の急性毒性は比較的低い。

 これが農水省がことあるたびにマスコミに流している「直ちに健康への影響はない」ことの理由だが、当然のこととして体重が少ない幼児や子供への影響は相対的に大きくなり、腎機能の低下などが考えられる。

 レベル次第では成人に対しても、腎機能への影響が憂慮される。

 すくなくとも2007年のメラミン含有のペットフード問題が米国を中心に大きな事件となっていたことに日本政府がまともに対応していれば、メラミンは人間の健康に直ちに影響がない、問題ないなどというプレスリリースはありえないのではないか。

ペットフードに含まれるメラミンとシアヌル酸の化学反応

2007年5月1日
出典:ペットフードリコール問題 メラミンとシアヌル酸の化学反応が原因か。

American Veterinary Medical Association(AVMA/米国獣医師会)は、リコールされたペットフードを食べた犬・猫の死亡に、ペットフード中に含まれるメラミンとシアヌル酸による化学反応が関係している可能性があること伝えた。

AVMA(米国獣医師会)は、原材料の一部からメラミンが検出され、リコール対象となったペットフードを食べた犬・猫の剖検から、メラミンとシアヌル酸の化学反応が関係している可能性があることを発表した。

今回の剖検でAVMA(米国獣医師会)は、小麦グルテン・ライスプロテイン濃縮物・コーングルテンなどからメラミンが検出されたのと同様に、死亡した動物の尿サンプルからシアヌル酸を検出。

メラミンとシアヌル酸の化学反応によって結晶が作られ、腎臓の機能を阻害された可能性があることを伝えた。

また、リコール対象のペットフードによる影響を受けていたとみられる動物たちの腎臓内にあった結晶を分析したところ、シアヌル酸70%とメラミン30%で構成された極度の不溶性物質であることが判明。

AVMA(米国獣医師会)が、猫の尿サンプルにシアヌル酸とメラミンを混ぜ、実験を行ったところほぼすぐに動物の腎臓内にあった結晶と同一の結晶が形成された。

この他、シアヌル酸以外にも"ammelide(アンメリド)"と"ammeline(アンメリン)"2種類のメラミンも、今回のリコールペットフードによる動物の死亡・病気の発病原因など、なんらかの関係性があると見られており、現在研究が進められている。


■中国におけるメラミン使用の実態 

 ペットフードに含まれる原因となり腎不全で死亡したり病気になったペットフードだが、そのメラミンだが、その後、中国の飼料一般に添加されていることが分かった。

 AP通信によれば、中国河北省の石家荘市にある会社の責任者は、メラミンの毒性を軽視し「私たちは約15年にわたりメラミンを含んだ飼料の生産を行ってきた。その結果、私たちの客からは好ましいものと受けとめられてきた」と。その責任者によれば、「適量のメラミンを含めた飼料やエサは家畜に被害はない。自社の飼料は非常に安全であり、問題いない」と。

 AP通信は中国ではメラミンを家畜の餌やペットの餌として常用していると報告している。しかし、メラニンはアメリカでは使用が禁止されている。

 2007年3月、メラミンを含む小麦のグルテンを含む100を超えるペットフードがカナダと米国の全域で回収された。カナダのオンタリオ州にある米国のメニュー・フーズは、ペットフード6000万個もの缶を回収している。