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崖っぷちの民主党

に政策提言するA

青山貞一 Teiichi Aoyama
政策学校一新塾代表理事

掲載月日:2010年11月24日
独立系メディア「今日のコラム」

無断転載禁

 かくして市民運動のリーダーから一国の総理になった菅氏である。

 しかしながら、案の定というべきか、菅政権そして内閣はその後内政、外交、予算あらゆる側面で隘路に入った。そして現在、菅政権は頓死寸前の状態に陥っている。

 大メディアお得意の世論調査でも、世論誘導の効果で菅氏を支持してきた一般国民の世論でさえ、菅総理そして菅内閣のていたらくは目に余るもの、目を覆いたくなるものとなっている。

 とりわけTPP会合時に中国の胡錦涛主席とやっとのことで得た短い時間で、自分が話すべき内容を紙を見ながら常時下を向いて話した菅総理の姿は、日本国民のみならず世界各国のひとびとに日本の総理の見識、品位、能力のなさをまざまざと見せつけたと言える。

 菅政権は、仙石官房長官の強い意向によって人事はじめあらゆる場面で反小沢シフトをとったこともあり、衆議院、参議院の予算委員会などでの質疑はいまだかつてない劣化したお粗末なものとなった。これは何も柳田法務大臣(当時)だけの問題ではない。

 むろん、半世紀にわたり実質、自民党に独裁されてきた政権崩壊後の新政権がさまざまな場面で狼狽したり、準備不足となっていることは否めない。しかし、それにも増して政治主導を一丁目一番地としてきた民主党政権下の大臣の見識、品位、能力に欠ける言動やブレ、マニフェストを勝手に反故にしてはばからない姿勢には驚嘆を隠せないものがある。

 そんなこともあり、就任直後、70%以上あった菅政権の支持率は、一気に30%を切っている。もちろん、支持率ばかりを気にしては何もできないことは確かだが、菅政権の目を覆わんばかりの有様はいかんともしがたいし、今後とも向上の兆しは見えないのである。

 その意味で、単なる反小沢、脱小沢だけで、根底から資質が問われる人物を一国の総理にさせた大メディアの責任はきわめて重いと思う。

 これはあらかじめ分かっていたことであるが、菅政権を誕生させたその大メディアは、政策、予算そっちのけで民主党攻撃の先兵となっている自民党の尻馬に乗り、今や連日菅内閣を批判している。

 同時に、大メディアは、だからといって今の民主党には菅の後任などいないなどと、とぼけた論調を恥ずかしくもなく述べている。

 もちろん、現時点で一般国民が菅総理と菅政権に愛想を尽かしていることは分かるが、さりとて大マスコミ系の評論家が言うように、一気に自民党政権に先祖返りしたり、大連立したりなどとするのが日本の将来にとって良いわけはない。

 ではどうすればよいのか?

 それは自明、簡単である。自民党、大メディアなどにこの間、徹底的に忌み嫌われ、批判、攻撃、誹謗中傷され悪の権化とされてきた小沢一郎氏に民主党の代表となってもらい国難に遭遇している日本を立て直すのである。

 事実9月の民主党代表選で小沢氏は国会議員得票のほぼ半分を得ている。あれだけ攻撃と誹謗中傷の嵐のなかで、小沢氏が民主党国会議員200名分の票を得たことの意味と価値は大きい。もちろん、小沢氏に立候補、選挙で世話になった一年生が投票したこともあろうが、後述するように小沢氏と菅氏の演説会で聞いた理念から政策の断然たる違いを雑音の中でもそれなりに理解、認識した結果と見ることもできよう。

 自民党や大メディアによってここ1年半以上、徹底的に信用毀損、名誉毀損、侮辱を受け、それを連日、新聞やテレビで見せつけられた国民にしてみれば、小沢一郎?といぶかしがるだろう。

 しかし、下に掲げる「2つの小沢一郎論」にあるように、小沢一郎氏は政治家として希有の知性、見識、政策、手腕をもっている日本の政治史に輝く政治家である。

 それは国民の幸福などそっちのけ既得権益にまみれ米国に盲従してきた自民党の政治家や記者クラブに安住してきた大メディアが遠く及ばない。国家論、地方分権論、外交論、防衛論、生活者主権、環境共生論などなど、いずれも自前の哲学、政策をもっていり希有の政治家である。国難に及んで小沢一郎氏を総理にし、政権交代を一からやり直すのだ!

ウォルフレン氏の「小沢一郎論」
『小沢は今日の国際社会において、もっとも卓越した手腕を持つ政治家のひとりである。ヨーロッパには彼に比肩し得るリーダーは存在しない。政治的手腕において、そして権力というダイナミクスをよく理解しているという点で、アメリカのオバマ大統領は小沢には及ばない』
(アムステルダム大学教授、カレル・ヴァン・ウォルフレン)

■江藤淳氏の「小沢一郎論」
『小沢氏というのは不思議な政治家で、要するに政策を実現することが第一義、そのために自分がいつ総理になるかは二の次の課題であって、現在、輿望を吸収出来る人物が羽田孜氏であれば羽田さんを担ぐ。誰が総理になるかならないかは二の次の問題、政策の実現こそが緊急の課題だということをハッキリと打ち出している人間が出てきたということは、戦後日本の政治史上まことに驚くべきことだと言わざるを得ない。』
(文芸評論家、元東京工大教授・江藤淳) 


つづく