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この10月2日と3日、青山貞一と池田こみちは、北海道ニセコ町からの依頼により、ニセコ町中心部から20〜30km北北西に位置する泊原発が万一事故を起こした場合に対応するための原子力防災に関連した第二回町民講演会(2日)、また第一回原子力防災計画策定専門委員会(3日)に参加してきました。 ニセコ町は新千歳空港から車で約2時間の位置にあります。 ニセコと言えば蝦夷富士としても名高い羊蹄山麓の小さな町ですが、ニセコアンヌプリに代表されるスキーのメッカ、それも雪質(パウダースノー)や地形などから世界的に有名なスキー場があり、年間100万人を超す観光客で有名です。 ニセコから見た羊蹄山 撮影:青山貞一 それに加えて、日本文学の巨匠、有島武郎が相互扶助を旨として農民に開放した400ヘクタールを超える土地があり共助や市民参加の原点として由緒ある町です。 周知のように、ニセコ町は基礎自治体で日本で最初に情報公開条例を制定し、またやはり日本で最初にまちづくり基本条例を制定した町でも有名です。町の中心部は電線の地中化が既に実施され景観的にも美しい街並みです。 2日は片山町長が青山、池田をニセコ町の遮断型に近い、管理型最終処分場そして生ゴミの大型堆肥センターに案内して頂きました。実質ゼロウエイストに近くなっていますが、北の軽井沢などとも呼ばれるように、スキー客、観光客がだす廃棄物が相当あり、まだ廃棄物焼却も残っているとのことです。 片山町長と、ニセコの有機物堆肥化施設にて 撮影:池田こみち 片山町長と、ニセコの有機物堆肥化施設にて 撮影:青山貞一 第二回町民講演会は、2日夜、ニセコ町の公民館で満席のもと開催されました。 ニセコ町原子力防災講演会 撮影:池田こみち まず、青山が地震、津波による福島原発事故から得られたさまざまな教訓をお話し、さらに環境総合研究所が研究開発しました3次元流体シミュレーションシステムを用いて泊原発が事故を起こした場合に、放射性物質がどう移流、拡散するか、それも広域とともにニセコ町に特化した詳細シミュレーションをもとに、外部被曝空間線量の推定についてカラーグラフィックスを用い分かりやすく報告しました。さらにいわゆる緊急時防護措置準備区域(UPZ)との関連についてもお話ししました。 ニセコ町原子力防災講演会で講演する青山貞一 撮影:池田こみち この半年、全国各地でこの種の講演などをしてきましたが、基礎自治体が主催した講演会で事故時の詳細シミュレーションをもとに町民にお話しするのははじめてです。 青山に引き続き、池田は放射線、放射能の環境影響及び健康影響について、昨年から今年にかけ7回行いました現地放射線調査などをもとに、どうすれば影響を回避、緩和できるか、また影響、被害の補償はどうあるべきかなど、3つの観点からお話しました。外部被曝と内部被曝、確定的影響と確率的影響、さらにチェルノブイリ事故後の健康影響実態、7月に行いました英国セラフィールド使用済み核燃料再処理工場の周辺で起きた子どもへの影響・被害の原因などについても触れています。放射線の影響を回避し緩和するためには、町民がまず、身近な泊原発と自分たちの町との位置関係や事故時の影響についてしっかりとイメージしておくことが大切です。原発からの距離や風向・風速はもちろんですが、ここでは特に、アンヌプリや羊蹄山などの地形の影響も無視できません。 ニセコ町原子力防災講演会で講演する池田こみち 撮影:青山貞一 使用したパワーポイントは青山が140枚ほど、池田が100枚ほど、これらの講演内容は、いつものように後日、YouTube・USTREAMで公開する予定です。 翌3日は、午前10時から12時までニセコ町役場にて原子力防災計画策定会議が開催されました。北澤副町長が議長となり、庁内各部署の課長、公募で委員となった町民、それに青山が専門委員となっています。 ニセコ町は町の北部が泊原発から20km圏に一部かかり、町の真ん中が30km圏となるなど、福島原発事故からすると、北風系の場合、町に放射性物質が飛散し、場合によってはかなりの空間放射線量、放射能が拡がる可能性があります。しかも豪雪地帯ですから、冬場には降雪により放射性物質の沈降・沈着が大きな問題となります。 しかし、国はUPZ地域への防災計画策定については、いままでほとんど指示、対応がなく、北海道庁も同様でした。 本来の意味での自治体といえるニセコ町では、国や北海道からの指示を待つだけでなく、30km圏としては日本で最初の防災計画を町民参加、それに3次元シミュレーション結果を生かし策定するとともに、本格的な防災訓練を全市民参加で行うこととしています。 会議は北澤副町長が議長となり町の加藤課長から今後の策定方針が示され、1時間半徹底的な議論が行われました。今後、来年3月の年後末までに町民参加で計画を策定する予定で、青山は今後3回ほどニセコ町に行くことになります。池田は今回に限りアドバイザーとして参加し、福島の経験を生かすための避難計画のあり方などについて意見を述べました。 ニセコ町原子力防災計画策定委員会 撮影:池田こみち ※ニセコ町原子力防災計画策定委員会関連 つづく |