世界のイスラム教宗派分布地図2 カタール問題 青山貞一 Teiichi Aoyama June 26, 2017 独立系メディア E-wave Tokyo |
◆青山貞一:暴走するサウジアラビア E-wave Tokyo ◆青山貞一:世界のイスラム教宗派分布地図 E-wave Tokyo 2017年6月、サウジアラビアが中心となり中東のカタールに断交を迫っています。理由はカタールがテロを支援しているというものですが、具体的にはカタールが対岸のシーア派の雄、イランに接近したことがあります。さらにトランプの新中東政策にもあるようです。 ※田中宇: カタールを制裁する馬鹿なサウジ 【2017年6月9日】 サウジアラビアは今回、イランの国際影響力を削ぐために、自 国傘下のGCCにおいてイランと比較的親密だったカタールを制裁し、親イランな 姿勢をやめさせようとした。だがその結果、カタールはむしろサウジの傘下から出て イランの傘下に入っていこうとしている。イランの影響力を削ぎ、サウジの影響力を 拡大するための策略が、逆に、イランの影響力を拡大し、サウジの影響力を削ぐ結 果となる。 ※田中宇: サウジの新事態はトランプの中東和平策 【2017年6月25日】 サウジアラビアの皇太子に昇格した若く乱暴で無鉄砲な 改革者ムハンマド・サルマンは、サウジの全権を握っている。彼は今後、トラン プに引っ張られ、新たな方向に進んでいく可能性がある。トランプは、サウジと イスラエルを、両国が共有している「イラン敵視」の面を使って結束・和解させよ うとしている。もしアラブの盟主であるサウジが公式にイスラエル敵視をやめて和 解するなら、アラブ全体の敵視解消につながり、イスラエルにとって大きな安全 保障となる。パレスチナ国家の蘇生容認が、十分に大きな見返りを得られるもの になる。 サウジ、エジプト、UAEなどは、次のようにカタールに13項目の無謀な要求を突き付けています。 サウジアラビアとエジプト、アラブ首長国連邦(UAE)など4カ国は、カタールとの3週間にわたる外交危機を収束させるための要求リストを同国に提示した。要求は13項目から成っており、筆頭に衛星テレビ局アルジャジーラの閉鎖があり、その他、イランとの国交断絶、イスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」との関係打ち切り、カタールにあるトルコの軍事基地閉鎖などが盛り込まれています。 上記の中には、最初にカタールにあるアルジャジーラ(テレビ局)の閉鎖まであります。これに対し、カタールは、アル・ジャジーラ閉鎖要求が犯罪的であり、同局の仕事のメソッドは公平で、様々な視点に光を当てることに向けられていると述べ、同局のヤセル・アブ・ヒラル局長はスプートニクのインタビューで次のように述べています。 「何らかのメディアを閉鎖するという要求には反対だ。これは犯罪で、言論の自由という人権の侵害だからだ。仮にBBCや他局の閉鎖という話であっても、同様の立場を取っただろう。」 内部告発サイト「ウィキリークス」の創設者アサンジ氏もまたツイッターに、「サウジアラビアの要求は馬鹿げている。同意されないことは明らかだ。これは、サウジアラビア政府が乱れているか、紛争の口実であるかだ」と書き込んでいる。 出典:スプートニク日本 ※ カタール首長に、歴史の流れを変える好機を与えたサウジアラビア 2017年7月 1日 マスコミに載らない海外記事 イランは、ご承知のようにイスラエルと対峙しヒズボラを支援しています。その結果、カタールが間接的にヒズボラ(スンナ派からはテロと位置付けられている?)を支援しているという古都になるわけです。しかし、これはどう見ても言いがかりでしょう。イスラエルと対峙するヒズボラをISILなどと同列に論ずるわけにはゆきません。 ところで、スンニ派 vs シーア派 についての地域分布の詳細がありましたので、以下に紹介いたします。いずれも、私がこの論考に掲載した スンニ派 vs シーア派 地図に比べ、中東、湾岸諸国の色分けが明確になっています。 以下で見るとカタールはもともとスンナ派ですが、シーア派が10%となっています。 緑系がシーア派、薄紫系がスンナ(スンニ)派 出典:中東・イスラーム学の風姿花伝 池内恵(東京大学准教授) 一方以下の地図で見ると、カタールは西隣のバーレーンなどと同様に薄黄となっており、シーア派諸国に含まれています。 薄黄がシーア派、灰色系がスンナ(スンニ)派 出典:NPR, Vali Nasr, The Shia Revival 以下はさらに詳しいシーア派とスンナ(スンニ)派の分布図です。ただし、作成年が2008−2009年と非常に古いのが気になります。また地図の制作がファイナンシャル・タイムズであることにも留意する必要があります。 分布を見ると、オレンジ色がシーア派、茶色と灰色さらに薄緑色がスンナ(スンニ)派であり、紛らわしくなっています。問題のカタールの多くは白地になっていますが、わずかにシーア派のオレンジがあります。お隣のバーレーンはイランと同じシーア派です。 推察するに、白色かスンナ(スンニ)派が周流だったカタールが、シーア派のイランに近づいたこごがサウジの逆鱗に触れたと言えるのかも知れません。 |