説明責任を果たさぬ 「新党日本」(4) 〜与野党勝敗ラインを左右する荒井議員〜 青山貞一 掲載月日:2007年7月7日 |
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本連載は、昨年秋の時の衆院首班指名で安倍総理に一票を入れた新党日本の荒井広幸議員について代表の田中康夫氏が除名はもとより何の処罰もしなかったことことについて第一回目で書いた。 第二回目では、その荒井広幸参議院議員が昔から安倍首相と懇意、「友人関係」にあることを朝日新聞の『ニッポン人脈記』「安倍政権の空気(10)」を例に伝えた。 そして第三回目では、案の定というか、通常国会終了時に、新党日本に残された2人の国会議員、すなわち荒井、滝が田中康夫氏の党運営が独善的であることを理由に解党を要求し、その後、離党したことを報じた。 ところで、田中康夫氏が自分が今回の参議院選挙に立候補する「野望」のために、荒井議員問題にこの間ほっかむりを決め込んできたわけだが、そのことが、ここに来て、日本全体を揺るがす大きな問題に発展している。 まずは以下の記事の後半を読んでいただきたい。
いうまでもなく、今回の参議院選挙は、戦後、実質独裁政権を続けてきた自民党を中心とした自公政権の政権交代の序盤、すなわち参院議席で野党が多数をとる関ヶ原の戦いであると言って良いだろう。 私見では国民、有権者を愚弄する国会議員の不祥事、官製談合などの利権問題、過度な規制緩和による数々の事件、無謬性をもった傲慢な官僚などなどは、まさに自民党政権がもたらす制度疲労、利権体質に由来するものである。 したがって、参院選挙で野党が合わせて過半数をとることは、過去のいかなる選挙にもまして重要な意味を持つ。 それに関連し、選挙以前、そして直後に、野党から与党への議員の異動はさもなくとも厳しい勝敗ラインを左右する重大事である。であるからこそ、新党日本が非自民、反自民であるなら早期段階に荒井議員に田中代表がケジメをつけるべきであった。私もそう進言したのである。 滝衆議院議員は衆院比例で当選していることからも、自民党であれ、民主党であれ移籍は原理上そして制度上できない。もっぱら、制度上できないことをしてきた不届き者もいたことはいたが... もし、背に腹を変えられない安倍首相が郵政民営化問題との関連で一定条件を示し、荒井議員を自民党に呼び戻したらどうなるであろうか? すでに安倍首相は過去、何人かの議員を呼び戻し、有権者の顰蹙を買ってきた。しかし、瀬に腹が変えられなくなれば、荒井議員の自民党への復党は十分あり得ることだ。 そうなったら、田中康夫氏が天下の笑い者となるだけではすまない。 上の記事が示すように、「参院選で与党は、現状なら64議席を獲得しなければ過半数を維持できない。しかし、仮に今回は非改選の荒井、松下両氏が与党になるとすれば、与党の非改選議員は58人から60人に増え、勝敗ラインも62議席へと2議席下げることができる。」のである。 |