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日本の上場企業の決算、業績に関する記事の見出しをざっとひろってみたのが、以下である。 見れば明らかなように、記事の多くは大幅な下方修正、大幅赤字が踊っている。とくに家電、製造業、輸出産業が大赤字となっていることが分かる。 一方、少数ではあるが輸入業種とスバル(自動車)やソフトバンク(携帯)など、業界の異端児的な企業が収益を上げていることも分かる。
とりわけ注目に値するのが、パナソニック、ソニー、シャープなど、日本を代表する家電関連製造会社が軒並み大幅に業績を悪化させていることだ。 リーマンショック後、従来広告費でトップだったトヨタが赤字に転落し、トップに躍り出たのがパナソニックだったが、そのパナソニックも見る影もなくなっている。
大赤字3兄弟であるパナソニック、ソニー、シャープの赤字に共通するのは、テレビ事業の落ち込みである。 テレビと言えば、この間、政府主導の地デジ化策、テレビ買い換えさせるためのエコポイント制度など、国策として至れり尽くせりのインチキと思える支援策がつづけられた製品である。 しかし、地デジに移行し、エコポイントも一段落後に何が起きたかが問題である! これについては、すでに以下で詳細に具体例を書いている。 ◆青山貞一: すべてリユースで実現した高品質地デジ・BSシステム 要約すれば、エコポイントなどで国民を煽り、高額でテレビを買わせてきたのが家電業界だが、ほぼ同じ性能を持ったハイビジョンテレビは、韓国のLG製の大型液晶モニターと地デジ・BS/CSチューナーをHDMIやiリンクで接続すれば、3万円もかけずに実現するのだ。 事実、私の自宅では上の論考にあるように、余ったステレオとハードディスクを組み合わせ、すばらしいステレオオーディオと録画もできるハイビジョンテレビが3万円もかけずに実現している。 韓国LGの大型液晶モニター。実売価格12000円なり また現在どこの家電あるいはパソコン量販店にも、2万円〜3万円台の価格でパナソニックのビエラ、ソニーのブラビア、東芝のレグザ、シャープのアクオスなど、一流ブランドのテレビが並べられているのである!! 以下に価格コムなどからいくつか具体例を掲げる。いずれも税込み価格である。
逆説すれば、本来せいぜい3万円前後のハイビジョンテレビが、地デジ化のなかでエコポイントキャンペーンによって15万円〜25万円で売られてきたことになる。エコポイントを含めても10万円〜20万円で買わされてきたと言う方が正確だろう。 国民は国策下でいつまでには従来のテレビが見れなくなると連日連夜なかば脅迫され、結果的に実売価格3万円前後のハイビジョンテレビを10万円から20万円で買わされてきたと言うのが実態であると思う。 私の自宅でも試しに上記のブランド品を1台3万円弱で購入してみたが、当然のことながら欠品や不具合はない。 これはパソコンについても言えることだ。 NEC、富士通、ソニー、パナソニックなどは、テレビだけでなく、パソコンも余計な機能を付けて高くなっているとも言えるが、15万から25万円など信じられない高額で売ってきた。 少しでも知恵と情報があるひとは、決して日本の家電系のパソコンなど買わない。 パソコンのケースを開けて中を見れば分かることだが、CPU(中央演算装置)はインテル、AMDなど米国製、HDDの圧倒的多くはタイ、中国、韓国、台湾などアジア諸国製、マザーボードはアジア諸国か米国製、メモリーも台湾などアジア諸国か米国製、マルチドライブもアジア製、Windows7などOSは米国、残りはといえばケースと電源だけとなる。これもアジア製が多い。 さらに上記で米国製と書いた部品も、製造は中国、シンガポール、ベトナム、インドネシアなどアジア諸国ばかりなのである。 結局、日本のメーカーは、メーカーにブランドを入れるだけで、大部分の部品を安く輸入し、組み立てるだけで2〜4倍も高額で売っていることになる。もちろん、組み立てを海外で行って輸入しているケースもある。 タイの大洪水でハードディスク工場が浸水し、世界中のパソコン業界が大打撃を受けた話しは有名だが、自ら部品をつくらず部品を超廉価で輸入し組み立て後に高額で売る日本のデジタル家電業界も大きな影響を受けている。 もちろん、パソコンの組み立てとは言っても、秋葉原でそれぞれの部品を単品あるいはセットで購入すれば、あとはドライバー一本で中学生でも組み立てられる。 したがって、マニアだけでなく、賢い消費者は、よほど特価品となれば別だが、まず、NEC、富士通、ソニー、パナソニックなどのパソコンは買わない。 事実、私も以前はデルや東芝のパソコンを買っていたが、ここ5年は、好きな部品をトッピングし組み立てるか、BTOと言って秋葉原などにある小さなショップが組み立ててくれる製品を買っている。 ◆青山貞一:@最新パソコンの性能と価格 たとえばCore i5 2500K など最新のインテルのCPUと主記憶が4GB〜8GB、ハードディスクが500GB〜2TBの最強パソコンでも4万円〜5万円台で買っている(以下の写真)。 スーパーBTOパソコンが5万円そこそこで買える! 青山現有機 主なスペック OS:Windows 7 Home Premium CPU:Intel Core i5 2500K メモリー: CFD 8GB ストレージ(HDD): 2TB 大手家電メーカーでパソコン部品をつくっているのは、日立製のハードディスクくらいである。 このように日本のパソコンを売る家電メーカーは今やアジア諸国にほとんどかなわない状況となっており、事実、自社で部品をつくるより、アジア諸国から輸入した方が遙かに安く、輸入部品で最終製品に自社名をつけているだけのパソコンが多いのである。筐体を開けて部品をひとつひとつチェックしてもらえば、ほとんど日本製部品などないことが分かるはずだ。 となると秋葉や通販で売っているパソコンと何ら変わらない物を数倍の値段を付けて売っていることになるのである。 さらに言えば、これも以前、独立系メディアで書いたことだが、ハイビジョンビデオカメラでも同じことが言える。 ◆青山貞一:デジタルビデオカメラ−SDHCで軽量・省エネ・価格革命 私がここ数年使っているハイビジョンビデオカメラは、WVGAからハイビジョン(720p、1090p、60fps)に対応した本格的なカメラだが、同じものが中国製のノーブランドだと8500円で量販店などで買えるが、同じ物が日本メーカー名がつくと何と25000円以上となる。 左からGR−HD1、GZ−MG40−S、GZ−MG505そしてDVH-A81 一番右のカメラが8500円のもの! 撮影:青山貞一、Nikon CoolPix S8 このハイビジョンビデオカメラは、NP120というリチウム電池で動くのだが、この電池を日本製で購入すると1個、メーカー小売希望価格が最高で6000円、安くデモ3000円もするが、ノーブランドのNP120(中国製)は1個500円で売られている。 以上いろいろ述べてきたが、家電、とりわけテレビ、パソコン、ビデオカメラなどのデジタル家電の圧倒的大部分は、すでに費用対効果において日本製はアジア製品に大きく差をつけられている。 またハイビジョンテレビ製品で分かるように、日本の製品は国策下で国民がなかば強制的に超高額のものを買わされてきたのである。 現在、多くの消費者が日本のデジタル家電製品のからくりを知るようになった。そんなこんなで大赤字3兄弟、パナソニック、ソニー、シャープが大赤字となったのは当然のことであり、自業自得であると言える。 他方、パソコン分野では、以前として富士通などが大学や官公庁に取り入り、相変わらず超高額で大量の製品を売っているが、早晩、このような日本流の商売は破綻するだろう! |