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AMD A10 5800K でパソコンを組み
シムシティを楽しもう!
青山貞一 Teiichi Aoyama
掲載月日:2014年5月28日  
独立系メディア E−wave

無断転載禁


 私達にとってパソコンは、さまざまな意味で「命」である。

 メールによる情報のやりとり、ホームページへの情報アップ、さらに大気汚染の予測、原発事故時の3次元流体シミュレーションなどの科学技術計算もあれば、独立系メディア E-wave Tokyoの動画の編集、レンダリング、YouTubeへのアップロードもパソコンがなければならない。

 私は自宅に12台、環境総合研究所には研究や仕事で25台ほどのパソコンがあるが、その大部分は秋葉原や通販で購入した部品を組み立てたものやいわゆるBTOであり、メーカーの市販品はほとんどない。

 下はノートPCを除いた私が現在自宅で使っているパソコンのCPU(中央演算装置)である。さらに古いものは沢山あるが、以下は現在使っているものだ。CPUを見て分かるように圧倒的にインテルのCPUが多い。

表 青山貞一の現有パソコン
(一部)のCPU
Maker CPU 世代
AMD  AthlonU×2 245
Intel Core i3 540 Nehalem
Intel Core i3 550 Nehalem
Intel Core i5 750 Nehalem
Intel Core i5 2500K Sandy Bridge
Intel Core i5 2500K Sandy Bridge
Intel Core i5 2550K Sandy Bridge
Intel Core i5 3550 Ivy Bridge
Intel Core i7 3770 Ivy Bridge

 自宅の書斎ではCore i5 2500Kを使った高速科学技術計算用パソコンを沢山使っている。狭い部屋なので下の写真のように棚をうまく配置し立体的に使っている。パソコンは寝ている間も、国内外の出張中もせっせと時間がかかる科学技術計算を黙ってやってくれる! 

 最近はメインデスク用の黒い椅子を愛猫の「まる」が午前中からお昼過ぎまで占有し、のんびりと寝ている(笑い)。しかたなく別の小さな椅子をもってきて、それでメールやWeb編集など日常的な作業を行っている。まさに、女王さまである。


自宅の書斎 所狭しとパソコンが置かれている
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S8

 上の写真で左側の棚の最上段にCore i5 2500Kを使ったパソコンを3台置いている。Core i5 750とあわせて4台をパソコン切り替え機で瞬時に切り替える。窓際の棚の1段目にCPU Core i7 3770を使った最速パソコンを置き、横長(HD)の液晶で使っている。

 下の写真は衣椅子を占領する「まる」ちゃんである。

 3.11後、福島県双葉町で捕獲されたメス猫である。私がキーボードをたたくと、不思議そうな顔をしてじっと見ている。


椅子を占有するまるちゃん


まるちゃん

 そんな中、たまたま
AMD社のA10 5800K というCPUを昨年6月に単体で買った。しかし、忙しさにかまけ、今までまったくパソコンとして組み上げていなかった。

 何しろAMD社のA10 5800Kは、今でも1万2千円、私が購入したころはまだ円安が始まったばかりだったこともあり1万円そこそこの値段だった。下のグラフは価格コムにあるA10 5800Kの価格推移グラフである。私がCPUを買った2013年6月は最低価格たったことが分かる。


AMD社のA10 5800Kの価格推移

 A10 5800Kの最大の特徴は、本格的なGPU(Graphics Processing Unit)をCPUの内部に統合しているAPU(Accelerated Processing Unit)であることだ。

 Whestoneベンチマークなどをみると原発事故時シミュレーションなど高速な倍精度浮動小数点演算にはまったく向かないCPUのようだが、おそらく通常の事務、メール、Web編集さらに動画編集、レンダリングなどでは十分使えそうだ。

 ※Whestoneベンチマーク
   倍精度浮動小数点演算能力を見るための国際的ベンチマークテスト

 2014年5月末になり少し時間に余裕ができたので、余っていたパソコン用中型タワーケースに、以下の部品を使ってパソコンを一気にくみ上げた。


表 主要部品の概要と価格
部品名 メーカー 国名 型番 単価(円)
CPU AMD 米国 A10 5800K 11,000
マザーボード ASUS 台湾 F2 A55-M LK Plus 5,500
メインメモリー CFD 日本 DDR3 8GB 6,900
ハードディスク ウエスタンデジタル 米国 3.5インチ 内蔵D 3TB 11,000
OS マイクロソフト 米国 Windows7 64ビット 9,000
ケース&電源 米国 500W 4,600
ドライブ サムスン 韓国 マルチドライブ 1,800
購入価格は大部分が2013年6月のもの
参考価格:インテルのほぼ同じクラスのCPU Core i5 3550  28,643円(価格コム)

 部品の購入価格は特価で買ったケースを含め全体で47,500円(消費税込)である。何と言っても64ビットOS,8GBメモリー, 3TBのハードディスクでこの価格は我ながら素晴らしいと思う。とりわけ超円安の時期なので、なおらさである。


AMD社のA10 5800K BIOX  本体以外:空冷のファンとフィン

AMD社のA10 5800Kの仕様概要
プロセッサ名 A10-5800K クロック周波数 3.8GHz
ソケット形状 Socket FM2 システムバス  
二次キャッシュ 4MB 三次キャッシュ  
TDP  100 W コア数 4 コア


MD社のA10 5800Kのロゴマーク


AMD社のA10 5800K(本体)


空冷ファンなどを取り付ける前の状態

 下はマザーボード。特価品で買ったASUS社のF2A55-M LK Plusである。A10 5800K用のマザーボードとしては中級程度であり、十分使える。


マザーボード   ASUS社のF2 A55-M LK Plus

マザーボード ASUS社のF2A55-M LK Plusの仕様概要



マザーボード  ASUS社のF2A55-M LK Plus

 APUにA10 5800K(本体)、空冷ファン、DDR3に8GB主メモリー、SATAにハードディスクやドライブ、VGAに液晶モニター、USB端子にキーボードやマウス、LANにインターネット、Audioにマイクやヘッドホンなどを取り付ける。LANはWindows7インストール後、マザーボードについてくるDVDをインストールしないと使えない。


マザーボード   ASUS社のF2A55-M LK Plus

 主メモリーにはピンからキリまである。また同じメーカーのメモリーの同じ製品でも特価品もある。私が買ったのは、本来2万円以上する製品の特価品だった。マザーボードのソケットにしっかりと押し込む。これが不十分だと、さまざまなトラブルに見舞われる。たとえば電源が入らない。Windows7が途中までしか開かないなど。これらの症状の多くはメモリーがしっかりマザーボードに入っていないために起きる。


CFD社の8GBメモリー

 激しい円安の現在でも3.5インチ内蔵HDDの3TBが1万2千円で買えている。HDDは円高時期にタイが大洪水に見舞われ価格が暴騰したことがあった。それほどHDDはタイで一極的に製造されている。現在、タイで政変が起きているので、価格に注目だ!


ウエスタンデジタル(WD)社3.5インチ 内蔵HDD 3TB。 SATAにつなぎ、電源ソケットもつなぐ



サムスンのCD/DVDドライブ。 SATAにつなぎ、電源ソケットもつなぐ

 配線、結線で面倒なのは、前面パネル用の各種LEDランプ、オーディオ、USB、リセットボタンなどの接続である。LEDはプラスマイナスがある。通常白色がマイナスである。オーディオ系、USB系はシールド線が使われているのですぐに分かる。

 下はすべて取り付け終わったあとのマザーボード。


ASUS社のF2 A55-M LK Plus上のCPU。右側2段が8GBメモリー

 下はとりあえず配線、結線を終えた段階のケース内部。最終的に各種配線を整理する。
 

バラックでくみ上げたA10 5800Kを使ったパソコン

 OS(Windows7)そしてマザーボードに付属するDVDにあるソフトをインストールする。

 下はWindows 7をインストールしたパソコン一式。組み立てに要したのは約2時間、Windows7、主要ソフトなどのインストールが3時間である。


パソコン一式   環境総合研究所(東京都目黒区大岡山)にて

 さて性能だが、青山の現有パソコンと比べてみた。AMDは2機種目である。A10-5800は下表にあるように4コア、4スレッドのCPUなので、2つ、3つ、4つと複数の作業を同時に進行するような場合に有効である。

表 青山貞一のf現有パソコンとA10-5800K
Maker CPU 世代 CPU
Clock
(GHz)
Core Thread TDP
(W)
LINPACK
理論値
Gflops
Whetstone
実測値
Gflops
AMD  AthlonU×2 245 2.9 2 2 65 17.4 18.95
Intel Core i3 540 Nehalem 3.06 2 4 73 24.48 33.38
Intel Core i3 550 Nehalem 3.2 2 4 73 25.6 35.27
Intel Core i5 750 Nehalem 2.67 4 4 95 32.04 33.2-35.4
Intel Core i5 2500K Sandy Bridge 3.3(3.6) 4 4 95 57.6 49.8
Intel Core i5 2550K Sandy Bridge 3.4(3.8) 4 4 95 60.8
Intel Core i5 3550 Ivy Bridge 3.3(3.6) 4 4 77 52.8(57.6) 52
Intel Core i7 3770 Ivy Bridge 3.4(3.9) 4 8 77 54.4(62.2) 92.28
AMD A10-5800K+HD7560D Trinity 3.8 4 4 100 45.6 35
出典:青山貞一:パソコンCPUの浮動小数点倍精度演算速度(早見表) 

 最初に動画編集のレンダリング速度(相対速度)比較を行った。

 以下は現有パソコンと比較した結果である。

◆動画レンダリングベンチマーク実測値
CPU
メーカー
 CPU型番 OS
(ビット)
主メモリー
(GB)
レンダリング
秒数
インテル Core i7  3770 64 8 18
インテル Core i5  2500K 64 8 25
インテル Core i5 750 32 4 36
AMD   A10  5800K   64 8 36
インテル Core i3 540 64 4 58
インテル E6500 32 2 70
AMD Anthlon×2 32 2 72
秒数が少ない方が機能が高く優れいている

 ほぼ、インテルの Core i5 750 に近いことが分かる。Core i5 750は2万5千円以上していたCPUなので、半額で性能が同等ということは素晴らしい!

 ベンチマークの方法はNHKニュースを一旦mpeg4で録画し、そのファイルをマイクソフトのコーデックWMVの720pでレンダリングした。全体の5%に到達したときの秒数を記録している。動画のレンダリングの早さはグラフィック機能には直接関係ないが、それでもCore i3 550と同等という結果になった。レンダリングは動画編集の中で一番時間がかかる部分である。とくに昨今のように16:90で720pを超えるHD映像の場合、4:3に比べ単純に4倍となるので、私の場合実用上重要なものとなっている。

 次は
 A10  5800K が不得意な浮動小数点演算である。確かに科学技術計算は得意でないようだが、それでも計算に要した時間はトップと比べ2倍以下であった。

◆流体計算プログラム100回計算のベンチマーク実測値
CPU
メーカー
CPU型番 Windows7
(ビット数)
秒数 倍率
AIR3D プログラム流体100回計算 インテル Core i5 750 32 1115 1.000
AIR3D プログラム流体100回計算 インテル Core i7  3770 64 1168 1.048
AIR3D プログラム流体100回計算 インテル Core i5  3550 64 1198 1.074
AIR3D プログラム流体100回計算 インテル Core i5  2500K 64 1311 1.222
AIR3D プログラム流体100回計算 インテル Core i5 750 64 1411 1.265
AIR3D プログラム流体100回計算 AMD A10  5800K 64 1905 1.709
AIR3D プログラム流体100回計算 インテル Core i3 550 64 1914 1.717
AIR3D プログラム流体100回計算 インテル Core i3 540 64 2250 1.926
AIR3D プログラム流体100回計算 AMD Anthlon×2 32 2359 2.018
AIR3D プログラム流体100回計算 インテル E6500 32 2448 2.196
秒数が少ない方が機能が高く優れいている

 一方
、A10 5800K が得意とするのは、グラフィックス機能の力である。

 下のベンチマークグラフは青山が行ったものではないが、インテルの通常の最上位機種 i7 3770K(単価3万2千円以上)と各種の
高速グラフィックス機能を比較したものである、ちなみにi7 3770Kのグラフィックス機能の性能を100%とした場合の A10 5800K の性能である。

 いずれも圧倒的にA10 5800Kの機能が高いことが分かる、もともとA10 5800K はゲームなどを行う人たちのために開発されたこと、また
CPUにGPUを合体、統合しているAPUであることからして当然と言えば当然である。


A10 5800K と Core i7 3770Kとのグラフィックス機能比較
出典:http://www.nextinpact.com/breve/70899-amd-a105800
k

 
私は今までパソコンでゲームはやったことがないが、A10 5800K は、わざわざグラフックスボードをアドオンしなくても、そこそこ高速ゲームを楽しめるようだ。以下は、AMD社のA10 5800Kをインテル社のCPU Core i5 3570K(価格はA10 5800Kの2〜3倍)と比較した結果を示す。

 出典はいずれも http://www.4gamer.net/games/133/G013372/20130430058/ である。






 
下は、有名なパソコンゲーム「シムシティ」のベンチマークである。グーグルで検索していたらAMD最上位APU「A10-5800K」でSimCityは快適に動く?という記事が価格コムマガジンにあった。


出典:EA Japan

 
下はEA社のシムシティー予告編(トレーラー)動画(YouTube)である。

出典:EA





 いずれものベンチマークでもAMD社のA10 5800Kがインテル社のCPU Core i5 3570Kを凌駕していることが分かる。

 
ということで、科学技術計算専用でもなければ、A10  5800Kを使っても日常的に十分すぎるほどの性能をもったパソコンが5万円以下でできるということが分かった次第である!

 なお、A10  5800K は末尾にKがついているように、OCすなわちオーバークロックが可能なCPUでる。

 マザーボードがOC対応のものであれば、CPU電圧を上げることにより もともと3.8Ghzのクロック周波数を4. 2Ghzまで引き上げることができ、これにより処理速度を10%程度上げることができる。これ以上上げるにはOCが必要だが、標準装備のファンでは夏場など室温上昇で強制的にCPUが停止させられることになりそうだ。

 
ASUS社のF2 A55-M LK PLUS の画面

 総合評価として、通常のパソコン使用者にとって、とりわけグラフィックス、ゲームを多用するユーザーにはA10 5800Kは非常に費用対効果が高いCPUであろう。

 OSインストールに際しては、Windows7を手順に沿ってインストールした後、ASUS社のF2 A55-M LK PLUSのパッケージに付属しているDVDから付属のドライバなど一式をイスンストールする。これによりパソコンによるインターネット接続が可能となる。

つづく