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以下は、2012年3月20日、東京都港区にある政策学校一新塾で代表理事、青山貞一が行った基調講演の一部である。今後、何回かに分けて基調講演の内容をお伝えしてゆきたい! ミニ講義をする青山貞一、東京港区に政策学校一新塾にて 2012.3.20 ●半径100kmで描いた原発事故の影響範囲 それでもそこそこ夏場のピーク時に国民、事業者が節電すれば何ら停電することなどないのが実態である。 福島第一原発事故で分かったように、ひとたび巨大原発事故が起きると、その影響範囲は半径で10km、20kmにとどまらず、30km、50km、100kmなど、とどめなく範囲が広がることが分かった。 下図は日本中の原発立地点を中心にそれぞれ半径100kmで円を描いたものである。この原発汚染影響分布図から直ちに分かることは、仮に半径100kmを影響範囲とした場合、影響を受けない地域はきわめて限定的であるということである。 出典:青山貞一、環境総合研究所(東京都品川区) 本州では北から秋田県南部、山形県北部、山梨県北部、長野県西部、長野県南西部、和歌山県、三重県、香川県、徳島県など、本当に限られている。 政府などはこんな簡単な影響地図ですら国民に公開してこなかったのだが、上の図では一基でも10基でも同じ色としているが、下図は同一立地域に多くの原発が立地している場合には赤色を濃く表したものである。 出典:青山貞一、環境総合研究所(東京都品川区) ●関電、若狭湾地区の原発立地銀座の実態 上の図を見ると福島原発影響地域以外では、北陸、関西、中部が魔のトライアングルとなっている。とくに下図のように若狭湾地域には、関西電力の大飯原発(4基)、高浜原発(4基)、美浜原発(3基)、それに日本原子力発電所の敦賀原発(2基)と原発だけをとっても、13基も原発が集中立地していることが分かる。 それ以外にも高速増殖炉などが2つあり、まさに原発銀座である。 下の表は、関西電力管内にある原発の諸元である。 |
敦賀発電所 | 日本原子力発電 | 福井県敦賀市 | 加圧水型軽水炉 沸騰水型軽水炉 改良型加圧水型軽水炉 |
1基 1基 |
計画中2基 |
151.7万kW | 全機定期点検中。 |
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美浜発電所 | 関西電力 | 福井県三方郡美浜町 | 加圧水型軽水炉 | 3基 | 166.6万kW | 全機定期点検中。 | |
大飯発電所 | 関西電力 | 福井県大飯郡おおい町 | 加圧水型軽水炉 | 4基 | 471万kW | 全機定期検査中。 | |
高浜発電所 | 関西電力 | 福井県大飯郡高浜町 | 加圧水型軽水炉 | 4基 | 339.2万kW | 全機定期点検中。 |
そんななか、大阪府と大阪市でつくる府市統合本部は18日、エネルギー戦略会議を市役所で開き、関西電力の全ての原発を可能な限り速やかに廃止することや発送電分離に向けた送電部門の別会社化などを柱とした株主提案の骨子を固めた。役員と従 業員の削減も求めることとした(下の記事参照)。
株主提案で関電の事業などを定めた定款を変更する場合には、議決権のある株式総数の3分の2以上の賛同を得ることが必要。他の株主の支持をどこまで広げられるかが焦点となるが、政府、経済界が原発再稼働に傾斜する中、70%以降が脱原発に賛成する国民、世論を背景に、この株主提案は間違いなく大きな影響力をもつだろう。 それにしても、若狭湾地域にはかくも多くの原発が集中立地したものである。 下の3次元立体地形図は、若狭湾を南から俯瞰した地図である。図のように若狭湾と関西圏との間には山があるが、その南西部には関西の水瓶である琵琶湖がある。 出典:青山貞一、鷹取敦、環境総合研究所(東京都品川区) 出典:青山貞一、鷹取敦、環境総合研究所(東京都品川区) 私たちが福島原発事故後行った3次元放射性物質移流、拡散シミュレーションでは、放射性物質はこの程度の山々を簡単に北風により乗り越えることが推定されるが、大きな問題は言うまでもなく、関西の一大水瓶である琵琶湖の大量の放射性物質が落ちることである。 その意味で、大阪橋下市長らの問題提起は至極もっともなものであり、国、関電などの出方が注目される! なお、私たちは現在、若狭湾を対象に原発事故時の放射性物質の移流、拡散、沈降3次元シミュレーションを自主研究として実施中である。 つづく |