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<総選挙>
旧態依然大メディアの定番
情報操作で世論誘導
(1)鵜呑度

青山貞一
掲載月日:2012年12月2日
 独立系メディア E−wave Tokyo



 私は<鵜呑度>論のなかで、日本国民の70%以上が新聞、テレビ、雑誌などのマスコミを疑うことなく信頼しており、その結果、大マスコミによる情報操作によって国民があらぬ方向に世論誘導されてきたことを検証してきた。

◆青山貞一:マスコミ報道「鵜呑度」、日本人70%、英国人14%

表  主要国における国民のマスコミ鵜呑度 単位:%
        2000年     2005年    差分
日本      70.2      72.5    +2.5
韓国      64.9      61.7    −3.2   
中国      64.3      58.4    −5.9 
オランダ    55.7      31.7   −24.0
ドイツ      35.6      28.6     −7.0 
フランス    35.2      38.1     +2.9
ロシア     29.4      36.0     +6.6 
アメリカ     26.3      23.4     −2.9
イギリス     14.2      12.5     −1.7
元データの出典は、日本リサーチセンター(東京都)

 これが最も顕著にあらわになるのが選挙である。

 今回の総選挙でも、大メディアは、つい最近に至るまで、海の物とも山の物とも分からない「日本維新の会」を勝手に第三極と位置づけ、橋下大阪市長の言い分を追いかけ回していた。

 しかし、誰でもちょっと頭を働かせればすぐに分かるように、あのむちゃくちゃ「暴走老人」、石原慎太郎氏を代表に迎えたように、「維新」がしていることは無節操な「野合」そのものである。

 橋下氏と石原氏に共通しているのは、恫喝、罵声で自分の言い分を強引に他者に押しつけることである。 しかも、それを大メディアを使って行う点でも酷似している。

 少し前まで「政局」より「理念」や「政策」こそが大切と言ってきたメディアは、こぞって「政局」報道に邁進している。

 今回の総選挙との関連で言えば、「維新」はつい最近に至るまで、まともな政策リストを提示せず、統治能力こそが重要の一点張りであった。確かに統治能力は重要だが、恫喝で国民が一方的に統治されてはたまったものではない。これは石原氏による東京都政にも共通していることだ。
 
 これら橋下、石原両氏には、およそリテラシーや作法という言葉はない。あるのは、恫喝、罵声で自分の言い分を強引に他者に押しつけ、言いくるめることだけである。

 さすがの大メディアも、日本記者クラブにおける石原氏の言い分にはあきれたようで、今までこんないい加減な維新をことさら追い回してきたことを反省するかと思いきや、現在11ある政党のうち、相も変わらず橋下氏の言い分のみをただただ垂れ流しているのである。

 以下は、橋下、石原の相互矛盾に関する記事。インターネットメディアでは大問題となったが、大新聞はほとんど触れない。わずかにスポーツ紙が小さく触れたのみである。

◆橋下氏、石原氏の原発発言に“沈黙”
  2012年12月2日9時19分 日刊スポーツ

 日本維新の会の橋下徹代表代行(43)は1日、新潟、富山県など4カ所で街頭演説を行った。11月30日に石原慎太郎代表(80)が原発政策の公約を否定する発言を行い、橋下氏の反応が注目されたが、それについてはいっさい触れず。この日最後のJR富山駅前での演説後も報道陣へのコメントはなく、石原発言については“沈黙”したかたちとなった。維新ツートップの距離感が浮き彫りになった原発政策には各党から批判の声も上がった。

 中略

 石原氏は前日の党首討論会で29日に発表したばかりの「既設の原発は2030年代までにフェードアウト(消失)する」とした公約について、「そういう公約はやっぱり直させます」と語り、見直す考えを示した。さらに異なる見解も展開。「(原発は)2030年代までにフェードアウトする」について「そういう公約は直させた」と主張。その後別の会見で、直したのは橋下氏が当初打ち出した「30年代までに原発ゼロ」と説明した。

 石原氏の公約見直し発言を受け、日本維新の会幹事長、松井一郎大阪府知事は「見直しはしません」と否定。党内で食い違いを見せており、一夜明けた橋下氏の反応が注目された。

 後略

 大メデイアが徹底的にバッシングしてきた小沢一郎氏の無罪が最高裁で確定した後、少しは反省の色を見せたと思いきや、衆院で議席数で第三番目だった「国民の生活が第一」を徹底的に無視してきた。

 民主党党首の野田氏の選挙区に、「生活」の突撃議員、三宅雪子氏が群馬から鞍替えさせられ刺客となった大ニュースも、大メディアはほとんど報道することはなかった。

 もとより、WEF(世界経済フォーラム)調査によれば、以前の調査で日本は女性の政治、社会参加分野で世界各国で79位、現在は確か103位ととんでもない状況にある。そんななか、最も女性議員の割合が多い「国民の生活が第一」を徹底的に無視してきたのである。

 そして11月末、嘉田由紀子滋賀県知事が「日本未来の党」を立ち上げた。これまで「維新」以外、ほとんど目をくれなかった大メディアは、こぞって嘉田新党報道に飛びついた。
 
 しかし、「未来」を立ち上げる過程で、早くから嘉田氏が小沢氏ら「生活」と理念、政策などのすりあわせをしていた事実が判明するや、今度は嘉田新党の揚げ足取りに全力を投入するようになった。

 たとえば、12月2日午前中にテレビ朝日で行われた党首討論的番組では、脱原発問題に関連し、嘉田氏が意見を述べた後、スタジオにいない橋下氏が突如出てきて、嘉田氏の意見を一方的に罵倒しだした。

 それぞれの党首の持ち時間があって行うべき、この種の討論であるはずなのに、橋下氏が延々と嘉田氏を攻撃、罵倒しているのに、司会者はそれを止めなかった。

 また、12月1日、嘉田氏が関西のよみうりテレビに出演した際、原発の再稼働を認めるような発言をしたと新聞、テレビ各社が一斉に報道した。以下は毎日新聞の記事。 

未来:嘉田氏が原発再稼働容認「政府の判断あれば」
  毎日新聞 2012年12月01日 11時36分(最終更新 12月01日)

 「卒原発」を唱える日本未来の党の嘉田(かだ)由紀子代表は1日午前、原発について「原子力規制委員会が安全性を担保し、政府が必要だという判断をした場合、再稼働を認める」と述べ、条件が整えば再稼働を容認する考えを明らかにした。

 未来が掲げる「10年後の卒原発」については「目標」との認識を示した。嘉田氏は11月27日の結党会見で、原発再稼働の是非に言及していなかった。

 1日午前、読売テレビの番組に出演し、考えを述べた。未来が唱える卒原発は原発依存から段階的に卒業するとの意味だが、嘉田氏の発言は、未来の「脱原発イメージ」が後退した印象を与える可能性がある。

 以下略

 大マスコミは、ここぞとばかりに、嘉田氏の「卒原発」政策が原発再稼働を容認と報じたが、嘉田氏は読売テレビの番組で述べたのは、「原子力規制委員会が安全性を担保し、必要という判断を政府がした場合には再稼働になる」と情勢を述べただけ(嘉田氏は「手続きの説明をしただけ)であって、当然のこととして、嘉田氏が原発再稼働を認めたわけではない。

 野田、安部、石原らの連日のトンデモ発言や橋下らのしたい放題に目をつむりながら、議席数で民主、自民につぐ第3の「生活」、現在の「未来」を陰に陽に攻撃する大メディアに見えるのは、旧態依然の既得権益にまみれた強者の論理であり、そこには到底「社会の木鐸」としてのメディアの役割は見えないのである。

つづく