エントランスへはここをクリック   
甲州街道、甲斐古民家探訪

旧高野家住宅1(甲州市)

青山貞一 Teiichi Aoyama
池田こみち Komichi Ikeda
Media E-wave Tokyo May(GW) , 2023

甲斐宿場探訪 甲州街道) 旧高野家住宅(塩山駅前)
撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900   2023-5GW


旧高野家住宅1  旧高野家住宅2  旧高野家住宅3
旧高野家住宅4  旧高野家住宅5  旧高野家住宅6

 甲州街道では、なかなか今残っている宿場町や本陣など、往時の宿は見つからなかったが、北杜市の旧平田住宅(農家)の次は、旧塩山市、現在の奥州市のJR塩山駅前にある旧高野家住宅を訪問することができた。

旧高野家住宅 (甘草屋敷) 文出典:山梨県甲州市
記事番号: 18-274 公開日 2019年10月01日 更新日 2021年01月14日


撮影:青山貞一 2023-5

 旧高野家住宅は、江戸時代後期の民家と屋敷構えをそのまま歴史公園として活用している。当家は八代将軍吉宗の時代に薬用植物の甘草(カンゾウ)を栽培して幕府に納めていたことから「甘草屋敷」と呼ばれている。

 茅葺き(現在は銅板葺き)、切妻造の屋根の中央部には二段の突き上げ屋根が設けられているのが大きな特徴である。 

 毎年2月11日~4月18日の間、えんざん桃源郷「ひな飾りと桃の花まつり」が甘草屋敷を中心に開催されます。享保雛や古今雛、御所人形に五楽人、ひなの吊るし飾りなど。貴重で素晴らしい雛飾りの数々は見ものである。

高野家について

 高野家は、江戸時代に薬用植物である甘草の栽培をして幕府に納めていた家で、古くから「甘草屋敷」と呼ばれてきた。

 高野家の沿革がわかる貴重な資料「甲州甘草文書(県指定文化財)」によると、八代将軍徳川吉宗治世の享保5年(1720)幕府の採薬使丹羽正伯が高野家屋敷内にあった甘草を見分した結果、幕府御用としてその栽培と管理が申し渡されるとともに、一反十九歩の甘草園は年貢諸役を免除された。

 以後同家が栽培する甘草は、幕府官営の薬園で栽培するための補給源として、また薬種として幕府への上納を負うこととなった。

甘草(カンゾウ)とは?

 甘草は甘味料や調味用として繁用される一方、薬用としても広く用いられ、重要な生薬でもあります。

 甘草には、Glycyrrhza uralensis(ウラルカンゾウ 生薬名・東北甘草)、G.glabra(西北甘草)、G.inflata(新疆甘草)などがあり、日本では年間約10,000トンが中国・旧ソ連・アフガニスタンなどから輪人されている。このうち食品の甘味料などに3分の2が使われ、残り3分の1が薬用にされるが、成分は根およぴストロン(根茎)に含まれるグリチルリチンである。

 食品としては、醤油・味噌・せんべい・チョコレート・塩辛など、多種多様の品目に使われています。薬用では、主に漢方薬の原料として、厚生省指定漢方処方210品目中150処方(71%)に配合され、最も多用されている原料である。

 甘草屋敷の甘草はウラルカンゾウである。高野家ではこの甘草栽培により、明治5年(1872)まで免税の特典を受けた。ここに残る甘草は、「甲州甘草文書」の記述によると少なくとも340年を経ていることになり、日本で最も古い由緒を持つものとして知られている。

薬草園(甘草・カンゾウ)

重要文化財高野家住宅について


 旧高野家住宅の主屋は、昭和35年の修理で保存のため茅葺から銅板葺に改められている。

 平成8年7月には、旧高野家住宅の附属屋五棟(巽蔵・馬屋・東門・文庫蔵・小屋)が、当家の幕末から明治初頭にかけての屋敷構えを今日に伝えるものとして、附(つけたり)指定の三棟(地実棚・裏門・座敷門)および宅地(井戸・池・石橋・石垣を含む4,932,07㎡)とともに、重要文化財の追加指定を受けた。

 現在、幕末の屋敷構えをそのまま修景した「薬草の花咲く歴史の公園」として、保存修理が完了した建造物とともに一般公開を実施中です。

昭和28年3月31日指定
平成 8年7月 9日追加指定
 

■主屋(左) 巽蔵(右)

■馬小屋(左) 東門(右)


■文庫蔵(甘草屋敷子ども図書館)(左) 小屋(右)

■地実棚(左) 裏門(右)

■座敷門

主屋内観

 旧高野家住宅は19世紀初頭の建築と考えられ、桁行十三間半(24.8m)、梁間六間(10.9m)あり、屋根は大棟を東西に通した切妻造、茅葺型銅板葺で、南面中央部に2段の突き上げ屋根を設けた大型民家である。

 屋根を支える柱は高く棟まで通る棟持柱で、これに梁を重ねて渡した間に見せ貫を通し漆喰塗とした妻璧の構造は、優れた美観を呈している。

 この棟持柱は、同じく茅葺切妻造民家である「大和棟」や「合掌造」にはみられない、甲州地方の特色を遺憾なく発揮したものです。


■1階 座敷と巨大な大黒柱

■2階

甘草屋敷の風物詩
 
■ひな祭り(左) 五月飾り(右)


■枯露柿(コロガキ)

利用案内
所在地 甲州市塩山上於曽1651番地15
0553 −33 − 5910
ご覧になれる時間  午前9時から午後4時30分まで

休館日 火曜日

年末年始(12月28日~1月4日)

※祝日の関係で臨時休館する日がございますので、こちらをご覧ください。

 交通機関 JR中央線塩山駅北口から徒歩1分

 駐車場 隣接した駐車場は台数に限りがあります。大型バス用駐車場は700m離れた線路沿いにもある。

 観覧料

 団体は20名以上 子供は6歳以上20歳未満、および20歳以上の学生

 個人 団体
 大人 310円 200円
 子供 200円 100円
 ※障害者手帳をご持参の方及び付添者1名は、手帳を提示していただくことで観覧料が無料になります。

つづく