|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
●日本の大メデイアはガラパゴス症候群で既得権益を謳歌してきた! 日本固有の仕組みにはいろいろなものがある。現在、これをガラパゴス化と呼んでいるが、メディアと国民世論との関係も、多分にガラパゴス化の傾向がある。
たとえば、日本には記者クラブが中央省庁、検察庁、裁判所、経団連、都道府県、市町村など津々浦々にあるが、これも日本固有と言えるものである。記者クラブはいわゆる大メディア(大新聞、テレビ局)がそこを占有し、大メディア以外の夕刊紙、週刊誌、写真誌、インターネットメディア、フリーランスジャーナリストは閉め出されている。 日本の大メディアにはクロスオーナーシップ制度が適用されていない。この制度は大新聞とテレビ局の資本提携を禁止するもので、欧米の主要先進諸国では当たり前のこととなっているが、日本では読売新聞と日本テレビ、朝日新聞とテレビ朝日、毎日新聞とTBS、産経新聞とフジテレビ、日経新聞とテレビ東京というように強固に資本、人材、情報共有がなされている。 先進諸国には電波オークション制度があり、希少な公共資源である電波の割り当ては、通常オークションにかけられ最も高い額で入札したテレビ局が落札している。これにより膨大な電波使用料が国家に税金とは別に入るが、日本にはこの制度がない。 その結果、テレビ局が国家に払う「電波使用料」は売上高のわずか0.14%しかないという調査報告がある。欧米では、電波オークション収入が年平均約2000億〜5000億円に上るケースもあり国の大きな税収源になっているが、日本では年間3兆円の売り上げがありながら、38億円の電波利用料しか払っていないという報告もある。 このように、日本に新聞テレビは多くの既得権に守られ欧米に比べ暴利をむさぼってきたと言える。しかし、問題は暴利だけでない。大メディアの巨大化が国民の世論形成に甚大な影響、被害を与えているのである。 ※記者クラブ制度、クロスオーナシップ制度、電波オークションに ついては別途詳述する。 ●国民の民度を計るひとつの重要な物差し 国民の民度を計るひとつの重要な物差しとして米国の社会学者シェリー・アーンシュタインが提案している「参加の梯子」がある。 図1は、そのアーン・シュタインの「8段階の梯子」を私なりに少々手直しし、大学の講義(公共政策論など)で使っているものだ。
図1 「民度を計る」ための8段階の階段
原典:シェリー・アーンシュタイン(米国の社会学者)、青山修正版 日本の政治状況を見ていると、「政」「官」「業」「学」「報」のペンタゴン(5角形)、すなわち政治(家)、官僚(機構)、業界・財界、(御用)学者そして報道(機関)が癒着、連携し、一方的な情報を国民に提供することで世論を操作し、自分たちの都合の良い特定の方向に世論を誘導する現実が見てとれる。 実際、政府・与党のいうなれば、”情報操作による世論誘導”に大マスコミが積極的に加担しているとしか思えない状況が続いていると思えてならない。 その意味で、図2にあるように、現代社会では「政」「官」「業」癒着の利権配分のトライアングルから「政」「官」「業」「学」「報」癒着による既得権益の確保のペンタゴン(5角形)へと日本社会の利権の構造が変貌していると思える。 図2 「政」「官」「業」から「政」「官」「業」「学」「報」のペンタゴンへ つづく |