サーファーら海の調査に協力 ムール貝採集で
全国のサーファーらに呼びかけて沿岸のムール貝を集め、日本の海が化学物質にどれだけ汚染されているかを調べる。そんな「海の健康診断」が10月から始まる。サーフィン愛好者でつくる国際的な環境保護団体の日本支部が東京農工大などの研究者と合同で企画した。ムール貝による専門的な調査に一般のサーファーが参加するのは世界でも珍しい。
調査を呼びかけたのはサーフライダー・ファウンデーションの日本支部(千葉県鴨川市)。
昨春、神奈川県藤沢市の荏原製作所の工場による引地川の高濃度ダイオキシン汚染が、全国に報じられた。川が流れ込む湘南の海など各地のサーファーから「自分たちが通う海は大丈夫か」といった問い合わせが、同支部に相次いだ。
そこで、上田真寿夫事務局長らが「全国で海の汚染を調べたい。推定100万人の国内サーファーの一部が参加しても大きな力になる」と民間の環境総合研究所(東京都品川区)や農工大に相談した。
ムール貝は南欧料理でおなじみ。化学物質を体内に濃縮する性質があり、内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)やダイオキシン類が海水中にどれだけ含まれているかを効率的に調べられる。今回はこのうち「ムラサキイガイ」と「ミドリイガイ」の2種を調べる。外来種で、沿岸の岩やコンクリートに付着する。
サーファーの集まる海岸周辺の突堤などのほか、大都市部の大阪湾や伊勢湾でも採集する計画。8月中にマニュアルをつくり、9月に調査地点を決める。
貝は農工大に集め、ノニルフェノールやポリ塩化ビフェニール(PCB)などを分析する。環境総研を通じてカナダの検査会社にもサンプルを送り、ダイオキシン類を調べる。
調査にはトヨタ財団から約170万円の助成金が出るが、ダイオキシン類の分析に1地点当たり7万円かかるなど、全国調査には資金も人手も足りず、採集と検査費の寄付に協力するサーファーらを募ることにした。
問い合わせ先は、同支部(0470−93−5302)へ
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