末期的症状を呈する自民 その6 「官僚出身」議員 青山貞一 掲載日2005.8.15 |
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自民党にやたら二世、三世の議員が多いことはすでに「その5」で示した。 ところで「官から民へ」とか「官僚依存からの脱却」などと、常々言っている小泉政権だが、自民党には実は官僚出身の議員がずば抜けて多い。 官僚出身者の多くは出身官庁の権益を引き継ぎ、出身官庁の官僚と連携し、既得権益を守ることで知られる。もちろん例外もいるが、そもそも国家公務員になりたいと言う動機こそ、現状追認、既得権益と無縁でなければならない各種の改革からほど遠いものだ。 たとえば、日本の国会でつくられる法律は圧倒的に内閣法である。内閣法とは官僚が法律をすべてのお膳立てをすることを意味する。政府与党に官僚がいることにより、官僚や省庁にあらゆる意味で有利な法律がつくられる。事実、行政法の99%以上は内閣法だが、それらを根拠として国民が行政訴訟を起こしてもほとんど勝ち目がない。それは、役人が与党と結託し、自分たちが負けないように、多くの裁量を省庁や官僚に持たせているからである。衆参両院の与党に官僚出身者が多いと言うことは、法制面から役人天国を助長することになりかねない。 これは立法だけでなく、司法についても言えることだ。たとえば、司法では「判検交流」と称して、判事が検事の身分として法務省に出向し、行政の立場として訟務検事を務めるだけでなく、行政の実務に携わり、行政に対して仲間意識を持っている現実がある。 そのような判事は、東大法学部卒、現役司法試験合格など、いわゆる官僚と同 じ意味での「エリート」であり、裁判官としての経験を少なくして出世し、最高裁判所長官にのぼりつめ、人事面から裁判官をコントロールし、行政寄りの判決を出す判事を優遇している問題が指摘されている。 これについては、たとえば「日本司法の逆説」―最高裁事務総局の「裁判しない裁判官」たち, 西川 伸一氏などを参照のこと。 かくして、官僚が行政だけでなく、立法、司法に浸出することで三権分立ではなく、三権癒着が進むのである。 これら自民党に官僚出身が多いと言うことは「官から民へ」と言う標語と明らかに矛盾するものである。今回の衆議院議員選挙の反対候補に敢えてぶつける候補にも各省庁出身者が多いのも明らかに矛盾である。 以下では、あいうえお順に自民党の官僚出身議員をリスト化した。一番右に、出身省庁の名称を示す。省庁名は現在の省庁名ではなく、議員が在籍した当時の名称を示している。 その7 自民党の出身省庁別の衆参議員数 大蔵省 15 建設省 14 農林水産省・農林省 13 通産省 11 自治省 7 運輸省 5 警察庁 4 厚生省 3 労働省 3 外務省 2 郵政省 1 合計 78名 自民党(衆院、参院)の官僚出身議員リスト
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