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「政」「官」「業」癒着の典型例としての
テレビ放送業界
〜改めて日本のメディアを問う

青山貞一
 
掲載日2005.3.27

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 ところでテレビ業界の幹部は、放送事業が国(総務省)の免許事業であることをたびたび口にする。

 だが、今までその免許事業である放送業界は、免許事業であることをよいことに、すなわち、事業参入がきわめて限られ、したがって競争が極めて制限されていることをいいことに、まさに既得権益に「あぐら」をかき、利権をむさぼってきたと、言えないこともないだ。

 これはテレビに限らない。AMラジオ、FMラジオ、携帯電話など電波事業に共通することだ。電波を利用する事業分野は、イコール現状追認が追認され、既得権益が顕著に守られているのである。この問題を抜きにして、免許事業=公共・公益性があるなどとは言えない。ちゃんちゃらおかしい議論である。

筆者近影:東京都品川区の環境総合研究所にて。撮影、朝日新聞社

 メディアとジャーナリズムの将来を展望したとき、これら電波事業の今までのあり方にに大きな危惧を抱かざるを得ない。現在の日本における「」「」「」「」「」相互の癒着が最も顕著なのがこの免許事業であると言えるのではないのか。

 たとえば、日本のテレビ業界は政府(総務省、経済産業省)、放送機器業界、家電業界と連携することで、国民にはどうみても不要不急と思えるテレビ放送の一連のデジタル化を進めている。地上派テレビのデジタル化、世界に類例がないBS放送とそのBSデジタル化などである。
 
 
※ 坂本 衛:BSデジタルの課題  地上デジタルを含めた課題

 周知のように、世はインターネット、それもブロードバンド時代にある。今後さらに光ケーブルをインフラとしたIT時代に進ことは明白である。事実、政府、自治体は関連業界とともにこれを進めてきた。筆者はここにも「」「」「」などの癒着の構造があると思っている。

 しかし、技術的、社会的に見た場合、これらIT社会の行く先は、言うまでもなくリアルタイムで文字、画像、音声、音楽、動画、映像などの双方向通信が容易となることにある。実際、現状でも、かなりのその夢が実現している。しかも、誰でもが自宅で利用が可能なものとして進んできたのである。

 ここで「夢が実現」しているということの意味は、単に技術面だけでなく社会面、そして費用面が含まれる。たとえば、パソコンさえあれば、後は年間1万円前後の支払いで、ADSLインターネットが自由に使える。

 双方向メール、ホームページはもとよりメーリングリスト、IP電話、IP会議にも使える。たとえば、最近ではグーグル、ヤフー、ライブドア、楽天などIT企業が、何と1ギガバイトものブログやホームページを無償で提供しつつある。事実、私もはじめたブログは、最大1ギガバイトの容量が無料で提供される時代に突入しているのである。

 青山貞一ブログ

 かかる状況の中で、日本のテレビ業界を中心とした巨大メディア・コングロマリット(総合情報商社)が画策するテレビのデジタル化が、果たしてどれだけ国民、、消費者、株主などにとって意味あるものなのか、すなわち本当に必要なものなのか考えなければならないだろう。とくに消費者の費用負担と言う面からみて疑わしい。

 今、必要なことは、「」「」「」「」「」の癒着の構造を離れた場で、第三者がその必要性を調査、検証、評価することである。筆者は国家とNHK、民放大手テレビなどのテレビ業界、放送機器業界、家電業界がつるんで、テレビのデジタル化が進められ、国民、消費者がさておかれている状態を大いに危惧する。これは、まさに田中康夫知事が言う、「」「」「」「」「」癒着
典型例ではなかろうか?

 いずれにせよ、今までテレビ業界が総務省、放送機器業界、家電業界とつるんで進めてきたテレビの途方もないデジタル化事業は、免許事業であることに名を借り、免許行政に庇護された巨大なメディア利権に違いない。そこでは、ホリエモンなど新規参入者はことごとく業界への入場を拒否される。彼らには、ブロードバンド時代の主役である「市民表現者」などまったく眼中にないのである。

つづく