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世阿弥と日蓮の足跡をたどる佐渡の旅

東光院

青山貞一 Teiichi Aoyama 池田こみち Komichi Ikeda
2018年9月18日公開
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 翌8月16日早朝、私たちはトキの森公園の下見を行った。その通り道、素晴らしい田園風景の中に美しい蓮池があった。


出典:グーグルマップ


出典:グーグルマップ

 ここは真言宗の寺院、東光院である。


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900

 東光院の住所:新潟県佐渡市新穂長畝 東光院


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900



撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900

 1808年ごろ建てられた山門で、彫刻が見事です。獅子、龍、象の彫刻が一対になっており、阿吽(あうん)の形になっています。ふだん板塔婆で目にする梵字の始めが「阿」で、終わりが「吽」です。


◆東光院の概要(縁起、歴史)


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900

 東光院は、弘仁元年(810年)に阿釈上人が開基したと伝えられています。山号の「龍亀山」は、鎌倉時代に佐渡に配流された順徳上皇が当地を訪れ、田園風景が亀甲のごとく明媚であったことからつけられたと伝えられています。

 時代がくだって、江戸時代となり、上杉景勝の軍勢が佐渡攻めの折、近くに住む名主山田六右衛門の嘆願により、焼き討ちを免れることができました。この時天台宗から真言宗に改宗し、それまでの本尊様を奥の院へ安置し、現在の本尊様大日如来を本堂におさめたとのことです。

 本尊様は金剛界、胎蔵界をあらわす2体の大日如来さまです。全宇宙を表す「曼荼羅」の中心にいらっしゃる仏さまが大日如来です。右側の仏さまが金剛界の大日如来、左側が胎蔵界の大日如来です。この二体の大日如来はいわゆる男女のようにたとえられ、理知を表す金剛界の大日如来さまが男性的で、慈悲を表す胎蔵界の大日如来さまが女性的な作用を示します。江戸時代に作られた仏像と推測されます。

 (写真左)慈悲の胎蔵界と(写真右)理知の金剛界

出典:東光院 公式Web

 真言で「南無本尊界会」「南無両部界会」とお唱えしますが、これは本尊大日如来さまを一心に拝んでいることとなり、両部界会とは金剛界、胎蔵界の大日如来さまに心から帰依しているという意味です。


出典:東光院 公式Web
 
 ここには子孫繁栄や縁談、安産、下の病気にご利益がある、ひときわ目立つご神体、約3トンの木製の男根が奉納されています。もとは赤泊徳和、みそなめ地蔵の脇にあった松の木を平成6年に当院が譲り受けて、この地区の青年会のメンバーが丹精こめて造りあげた御神体です。又、ここには婦人病を患う人向けに塗りがさに穴をあけたものや、約500体もの桐の木でできた男性のシンボルが江戸時代から奉納されています。

 祭り当日は権現堂で僧侶方が600巻の大般若波羅蜜多経を読誦します。毎年この時に祈祷札を作ります。江戸時代から今日まで約200年以上も大般若波羅蜜多経が唱えられ、国家安穏、天下泰平、家内安全、五穀豊穣を祈祷してきました。牛市や露店が立ち並び、大勢の人々でにぎわった往時がしのばれます。



撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900



出典:グーグルストリートビュー

 この三幅の掛軸には三千体の仏さまが一つ一つ丹精込めて描かれています。この掛軸を眺めれば、三千の仏さまに守られている心の安らぎを味わうことができます。

 一枚に千体の仏さまが描かれている
 
 本堂内にあり、狩野派一派の作とわかる書き付けがあります。

 本堂から回廊づたいに登っていくと奥の院子王権現堂に行き着きます。堂内には大小さまざまの男根の御神体が奉納されています。本尊様は観音さまで33年に一度ご開帳する秘仏です。


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900

 平成3年12月28日、戦後半世紀ぶりに本間弥蔵さんから梵鐘を寄進いただきました。次の日から住職が毎朝6時に「家内安全」「諸縁吉祥」「厄除招福」「無病長命」「五穀豊穣」「開運成就」の願文を唱えながら鐘を撞いています。この梵鐘には敬慕する良寛様の詩が刻まれています。

  大晦日の晩、梵鐘を撞いてみませんか。除夜の鐘は百八の煩悩を消滅させて、清らかな新年を迎えるためとされています。私達を日々悩ます根源を仏教で四苦八苦といいます。四苦は生老病死の四つ、そして愛別離苦、求不得苦、怨憎会苦、五盛陰苦の4つを加えて八苦です。「四九八九」を「四×九+八×九」で百八つの煩悩になるとのこと。お数珠の玉が百八個あって、お数珠をすることによって煩悩を消滅させるのも同様の考えからきています。

 下の写真は六地蔵。


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900


 下は蓮池。沢山のハスが咲いていた。


撮影:青山貞一 Nikon Coolpix S9900


つづく