現地調査報告 San Diego Fires Waste Management
サンディエゴ
循環型社会づくりA

青山貞一 武蔵工業大学環境情報学部
 
2007.12.9 転載禁


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3.露天で有機物の堆肥化

 サンディエゴ市環境サービス部の女性係員によるチェックが終わると広大な敷地の中に入る。


入ると敷地の中は広大でなかなか目的地に到着しない...
撮影:青山貞一 デジカメ Nikon CoolPix S10

 この最終処分場は、どうみても羽田飛行場2つ以上の大きさなので、車でないと有機物置き場まで30分以上かかる。

 車で相当走る。右手奥に海兵隊の大きな空港がみえる。ちょうど沖縄県の普天間基地というよりは嘉手納基地のような空港だ。嘉手納基地の滑走路は3000mあるが、処分場はそれよりかなり大きいことが分かる。それにしても広い。
 
 そうこうしていると左手にミラマー処分場、グリーン&ウッド地域という看板が見える。ここが樹木などのグリーンを収集し、木くずチップやコンポスト化している場所である。それらのチップやコンポスト(堆肥)は無料で市民に提供される。


目的地のグリーン&ウッド地域の看板が見える
撮影:青山貞一 デジカメ Nikon CoolPix S10
 
 平坦で広大な敷地は、いくつかに区分けされている。

 @グリーンの有機物コーナー。これには材木破砕物、ウッドチップ、庭木・植物の葉、間伐材コーナー、

 A粗大ゴミコーナー(これは有機物コーナーとは区別されています)

 B衣類、寝具類、家具類コーナー

 C建設廃材コーナー、ガラコーナー

 D有害物質処理コーナー。これには蓄電池、電子装置、水銀を含むものなどが含まれる。


 E最終処分場の遮水ライナー設計

 Fその他のコーナー


 それ以外の分別コーナーもあるのだろうが、なにしろ広大でちょっと見ただけでは分からないほどである。


大きな木片、木ぎれ、間伐材なども一箇所に集められている
撮影:青山貞一 デジカメ Nikon CoolPix S10


近寄って撮影したもの。これらはコンポストではなく
ウッドチップ化し、市民に提供している
撮影:青山貞一 デジカメ Nikon CoolPix S10

 各種紙類、各種容器類、金属類、ガラス類などのように、再生化、資源化可能なものはここでは処理、処分されない。別の場所で処理される。

 まず、天田さんが持参した不要な庭木や葉をグリーン有機物のコーナーに下ろす。多くの市民がそれぞれ来ている。


天田さんは持参した庭木や葉をグリーン有機物を下ろす
撮影:青山貞一 デジカメ Nikon CoolPix S10


天田さんが有機物を車から下ろし終わったところ
撮影:青山貞一 デジカメ Nikon CoolPix S10


多くの市民が庭木、間伐材などを下ろしているところ
撮影:青山貞一 デジカメ Nikon CoolPix S10


建設廃材のチップ化施設
撮影:青山貞一 デジカメ Nikon CoolPix S10

 集められた樹木、破砕、木くづなどの有機物は、広大な敷地の一角を使って野天でコンポスト化される。なにしろ広大なのと、いわゆる家庭用に生ゴミではないので悪臭問題はそれほど問題ないようだ。区画を決め、順次、重機を使いかき混ぜ、温度、湿度管理をすることにより露天で堆肥化している。


露天で堆肥化
撮影:青山貞一 デジカメ Nikon CoolPix S10

 コンポストコーナーに行く。そこに市の係員がいて、先ほど貰った伝票をチェックする。チェック完了後、持参したプラスチックの大きなバケツに自分のスコップでコンポストを入れる。これは庭木などを持参した市民は無料だが、何も有機物を持参せずコンポストをもってゆく場合は有料となる。これについては先に示した料金表を参照のこと。

 また、もしゲートでチェックを受けず、伝票をもっていない場合は、コンポストは有料になるとのことだ。簡単に言えばコンポストの原料を持参した人は、できあがったコンポストが貰える仕組み、ギブアンドテイクとなっているわけである。


コンポストコーナー
撮影:青山貞一 デジカメ Nikon CoolPix S10


別のコンポストコーナー
撮影:青山貞一 デジカメ Nikon CoolPix S10


持参したスコップでバケツに家庭園芸用にコンポスト
を入れているところ
撮影:青山貞一 デジカメ Nikon CoolPix S10


できあがったコンポスト。何種類もある
撮影:青山貞一 デジカメ Nikon CoolPix S10

4.羽田空港の2倍以上ありそうな広大な最終処分場

 コンポストをスコップでバケツに入れ、自動車にしまった後、せっかくなので広大な敷地を見て回った。直接埋め立ての場所には市民、業者らのたくさんのミニトラックが廃棄物を持参し、処分するコーナーに下ろしていた。

 それを巨大な重機で踏みつぶし、圧縮し、最終処分場のなかにブルドーザで運び込む。あまりにも広大なので、遠くから見ると何をしているかまったくわかりませんが、コーナー毎に市の職員が伝票をもとに対応していました、分らないときは、交番のような案内所があり、各種の相談に対応してくれる。


要所にある監視及び案内所
撮影:青山貞一 デジカメ Nikon CoolPix S10

 処分場は区画毎にいわゆる管理型と安定型の中間のような構造となっていた。不透水性のビニールが敷かれた上に廃棄物を処分し、そのうえ土をかぶせをサンドウィッチ状に繰り返す方式だ。もちろん、焼却灰はまったくない。

 最終処分する廃棄物は入り口で厳重にチェックされ、市民であるかないか、市内の企業・事業者であるかないか、重量により持ち込む廃棄物に対し、料金がかかる仕組みとなっている。これらのチェック、査定をミラマー最終処分場の入り口の2つのゲートで行うので、時として長蛇の列となる。

 天田さんによれば、ミラマー処分場のゲートを常時監視しているサンディエゴ市のWebカメラの画像をインターネットで確認し、なるべくすいているときにゴミや有機物を持参するとのことである。なかなかすばらしいアイディアである。これにより市民はここで無駄な時間を浪費することはなくなある。

 以下は、そのWebカメラからの現地画像である。当然ライブである。

 ◆サンディエゴ市ミラマー最終処分場ゲートに設置した
    Webカメラから実時間(Live)で送られてくる画像 


サンディエゴ市ミラマー処分場の遠景 撮影:青山貞一 デジカメ Nikon CoolPix S10


資源化困難物の直接埋め立て現場


資源化困難物の直接埋め立て現場 撮影:青山貞一 デジカメ Nikon CoolPix S10

 終了後、ゲートに戻ると、50台ほどの車が行列をなしている。これからチェックを受け、伝票を貰い廃棄物を処理あるいは処分することになる市民、業者の車だ。


処分場持ち込みゲートに向かう車の列 撮影:青山貞一 デジカメ Nikon CoolPix S10

 ゲートを出たところに、純粋民間のリサイクル、リユースセンター的な施設がコバンザメ的にあり、市の施設では対応しない、また市の通常の収集運搬処理処分で対応しないものを引き取っていました。プラスチック、金属、ガラスなどのはずだ。


ゲート近くにある民間のリサイクルセンター
撮影:青山貞一 デジカメ Nikon CoolPix S10

 廃棄物の処分場視察後、車でサンディエゴ市を南下し、西海岸最大の米国海軍基地があるサンディエゴ港に向かった。