2004.10.10
       
オランダ紀行(1)
〜アムステルダム, 
地球温暖化防衛最前線のまち〜


青山貞一・池田こみち

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アムステルダム  ペッテン  デン・ヘルダー 


 国際ダイオキシン学会終了後、私たちはオランダで土日を過ごすこととした。今回、オランダKLM航空を使ってきたことから、帰りも必ずアムステルダム経由で帰る。そこで学会が終わった金曜にベルリンのティーゲル空港からアムステルダムのスキポール空港に移動し、金、土、日とオランダを見て回ることとした。ベルリンからアムステルダムへは空路1時間ちょっとだ。

KLMの飛行機から撮影

 アムステルダム、スキポール空港は、EUの主要ハブ空港。だが、構造的にはベルリンのティーゲル空港と180度異なる。ティーゲル空港が分権的な構造であるのに対し、スキポール空港は極度な集権的な構造となっている。同じ空港でも構造が異なることで、これほど利用者の使い勝手に違いが出ると言う良い見本である。スキポール空港は明らかに動線が長く、混雑しやすく、結果的にすごく使いづらい。その点、ベルリンのティーゲル空港は利用者側からみると至極使いやすい。

 スキポール空港到着後、大きな荷物を地下の大型のコインロッカーに預けることにした。成田に帰る時必ずスキポール空港に戻るので、大きな荷物を持ち歩くのは得策でない。なかなか大型のコインロッカーが開いていなかったが、やっとのことで見つける。ユーロがなくなってきたので、空港で日本円をユーロに替える。どういう訳か、EUではベルリンでもそうだったが、空港の両替のレートは余り良くない。もちろん、ウィーン空港のように町中の銀行よりずっと良いところもあるが、今回はベルリン、アムステルダムともにレートは相当悪かった。

 

 スキポール空港からアムステルダムの市中心部へは列車が便利だ。空港の地下に空港駅がある。何とも使いづらい自動券売機はあきらめ切符売り場に並ぶ。

 スキポール空港からアムステルダム中央駅には、約15分おきに下の写真(左)の高速鉄道が走っている。20分ちょっとでアムステルダム中央駅に到着。中央駅は工事中だったが、どこか日本の東京駅に似ている(下の写真右)。もちろん、ここでも列車への自転車持ち込みはOKだ。

アムステルダム空港駅 アムステルダム中央駅
工事中のアムステルダム中央駅 どこか東京駅に似ている
アムステルダム中央駅の反対側は湾の入り口となっている(下図参照)

 オランダは、国土全体が海水面より7m〜10mも低いことで世界的につとに有名。

 そのオランダは先進諸国、COP諸国で地球温暖化防止に最も熱心な国で知られる。その理由は、まさに温暖化で海水面が上昇した場合、先進国のなかで最も深刻な影響を受けるという理由があるからだ。このことは何度も聞かされ、読まされてきたことだが、今回、これを自分の目で実感することとした。

 温暖化による海水面上昇から国土を守るオランダ国土が北海と接する最前線を見てみたいと、アムステルダムからオランダ北部海岸に行くこととした。アムステルダム中央駅の案内所でいろいろ相談する。すると北海に面するペッテン(Petten)と言う北海との間に大きな堤防がある小さな村を紹介された。ペッテンにはアムステルダム中央駅からアルクマール駅まで列車で行き、その後はバスを利用すると言う。

 列車は頻繁に出ているので、アルクマールへは夕方にアムス中央駅を出発することとし、アムステルダムの街をを駆け足で見て回ることにした。


運河だらけのアムステルダムのまち


 オランダと言えば風車とチューリップの国だが、アムステルダムは、運河の町だ。

 上の地図それに下の写真に見るようにアムステルダムにはそそかしこ、縦横無尽に運河が走っている。そのアムスの町はそれほど大きくない。ダウンタウンならまちの端から端まで歩いて行ける。もちろん観光用だけでなく日常的にも運河内を船で大型物流が自由に移動することが可能だ。すべての運河は中央駅駅近くで湾とつながっている。その途中に水位を調整する門が多数ある。今後、地球規模で温暖化が進んでいった場合、これらの水位調整門だけで対応が可能かどうかが問題となる。

アムステルダム市内を縦横無尽に走る無数の運河

 ところでオランダと言えば、自転車、自転車と言えばオランダである。オリンピック競技でもオランダはイタリアなどとともに自転車競技が強い。実際、アムスの町はベルリン同様、いやベルリン以上に自転車レーンが優先され設置されている。自転車優先道路だけでなく、鉄道でも自転車の乗り入れがOKである。当然のこととして、自転車利用は、国土全体に無数に配置された風車、風力発電とともに、温暖化防止に大きく寄与している。アムステルダムの中心街は、道幅も狭く、入り組んでおり、自動車は使いたくても使いにくいことも自転車が使われる大きな理由のようだ。オランダでは、アムステルダムに限らず、他の都市でも農村でも自転車利用が専用レーンの設置や多数の駐輪場の設置、鉄道への優先的な持ち込み、レンタバイクシステムなどに見るように、国家的なプロジェクトとして推進されていことが今回の数日の滞在でも十分分かった。

狭い市内の道路には自転車専用レーンがあり、市民は自転車で移動する
アムステルダムの自転車道路標識 市内どこにでもあるレンタバイク
アムステルダム中央駅前にある公設駐輪場

 他のEU諸国同様、アムステルダムでも中世から近世の古い町並みを大切にしている。仮に一端戦争などで壊されても、国、まちを上げて修復している。

 アムステルダムは、狭いまちに縦横無尽に運河が走っていることで、土地利用や建築が物理的に極度に固定化、制限されており、もともと高層ビルや近代的な建築物をたてる場所がないこともあるようだ。おそらくアムステルダムのホテル料金はEUで最も高額なはずだが、これはこの街では他の都市のように、安易に高層ホテルが建築できず、歴史的建造物を改造して使っていることにあると思える。どのホテルもせいぜいベッド数はヨーロッパホテルなど一部を除き、10前後、ら多くても50程度である。

古い建築物、現在はデパートとして利用 街路の補修でも古い町並みを復元
駅近くの古い教会 ダム広場に面した市役所

 実際見て回ると長崎県のオランダ村に見るように、アムステルダム市内の多くの建築物は、3階からせいぜい5階の例の切り妻タイプの家である。高層ビルは皆無と言って良い。街路や橋も基本的には昔のまま、いや現在でも下の写真にあるように街路などを煉瓦を使い復元している。

 一方、大いに参考になるのは、万一の洪水に備えてのまちづくりだ。下の写真にあるように、どの建物も一階がGLから1m以上高くなっている。バリアーフリーの観点からは厳しいが、国土全体が海水面より低いオランダでは仕方ないところか!

洪水に備えたまちづくり 市内のゴミ分別は今ひとつ

 アムスの中央駅の並びには世界的なホテルチェーン、IBISの箱形の建築物と大型駐車場(筒型の建築物)がある。もっぱらこれらは極めて例外的な建築物であると言って良いだろう。このような建築物はアムステルダムの歴史的景観を破壊していると感じた。このIBISホテルはドイツのドレスデンでも中央駅近くに3棟続けて、箱形の殺風景なビジネスホテルのようなホテルを構えていたが、およそドレスデン、すなわちザクセン王国の歴史を持つ街にまったく似つかわしくないチンケな建築物であった。どうにかならないものだろうか?

町並みに会わないビル 中央駅の隣にある近代的建築物