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米ボーイング737MAX8、
2機続けて墜落事故(1)
青山貞一
独立系メディア E-wave Tokyo
2019年3月13日

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 昨年10月のライオン・エアにひき続き、今年(2019年)3月になってエピオピア航空のボーイング737MAX8機が墜落した。それぞれ乗っていた200名弱の乗員、乗客が全員死亡している。
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 このボーイング737MAX8機は、欧州のA320改良機が低燃費で順調な受注を得ていたことに対抗し、米ボーイング社が737-300等の後継機として開発したもので、やはり燃費改善を売り物にしている。

 すでに世界中の航空会社から5000機以上の注文を受け、今年1月末時点で350機超が納入されている。
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 日本が米国から購入するF35ジェット戦闘機が納入直後に南カロライナで墜落事故を起こしているように、新型機が墜落することはある。しかし、今回のボーイング737MAX8機の問題は、続けて同型機が2回墜落したことである。

 米運輸安全委員会(NTSB)のローゼンカー元委員長は、ボーイング737MAX8が導入されて間もなく、2機も墜落したことは「極めて異例」と指摘した。2機の墜落落件ともに離陸直後に飛行機体が降下するなど、事故に幅広い類似性もあると語った。ローゼンカー氏は、直接的な関連があるかどうかは不明としながらも、航空安全当局にとっては「特異な問題だ」と強調。2件に共通点があれば、全面的な調査を促すだろうと述べた。
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 その後、先に墜落したライオン・エア事故ではフライトレコーダーが回収され、テイクオフ(離陸)から墜落するまでの11分間について詳細な時系列的分析が行われた。
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 “フライト・レコーダー”によると、「パイロットの機首上げ指令(操縦舵輪を引く力)」、「MCASの機首下げ指令(操縦舵輪を押す力)」、「操縦舵輪の位置」、「機体の迎え角(AOA)センサーの値」、「フラップの位置」等を時系列で示し、タキシング中から離陸、上昇、墜落までの11分間の経緯を正確に示している。
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 その結果、ボーイング737MAX8機に新らたに設置された“失速防止装置(anti-stall flight- control system)”は、パイロットの力に抗し、墜落するまでの10分間に26回も繰り返し“機首下げ指令”を出し続けていた、ことが分かった。

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 その上で事故の原因となったのは次の3点ではないかとしている。
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1.ボーイングが737 MAXに取付けた「MCAS」/「失速防止装置(anti-stall flight- control system)」の設計上の問題およびそのシステムについてのエアラインに対する説明不足。

2.ライオンエア・パイロットのシステムに対する理解の不足、特にシステム故障の際のシステム遮断の方法。

3.ライオンエアの整備が前便で生じていた「迎え角センサー(AOA=angle of attack sensors) の不具合を修理せずに出発させたこと。
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となっている。

 しかしの“失速防止装置をボーイング737MAX8機(実際はMAX7,8,9など複数の後継機種に設置している)に新設しながら、その新システムに問題があったとすれば、ボーイング社の責任は免れない。

 パイロットのシステムに対する理解の不足と言っているが、そもそも新設システムの使用がパイロットに容易に理解できないようなシステムであるなら、それ自体が大きな問題であろう。
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 現在、墜落した同型機のエチオピア航空の事故原因を調査しているが、もし、それがライオン・エア機と同じような理由、原因であったとしたら、システムの全面的なリコール問題に発展することになるだろう。


(2)につづく


出典:アルジャジーラ、原典:ボーイング社