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八ッ場ダム、本体工事復活は
時間の問題か?

青山貞一
9  July 2010
独立系メディア「今日のコラム」


 この2月、内閣府参与に呼んだ東京工大出身の経済学者の助言をつまみ食い的に鵜呑みにした経済KYの菅直人首相による唐突な消費税10%提案と、それの打ち消しによる醜態、枝野幹事長による「みんなの党」など他党との連携提案とその打ち消し騒動、一方的な子供手当の半額化、外交では最低限県外できれば海外としてきた普天間基地代替施設の立地を日米共同声明継続、果ては日米同盟重視の繰り返しなど、昨年8月30日の政権交代時のマニフェストをかなぐり捨てたかに見えるのが、ここ1カ月のブレにブレた民主党である。

 いずれも半世紀ぶりの政権交代に寄せた国民の切なる希望を打ち砕く裏切り行為といえる。なお、「この2月、内閣府参与に呼んだ東京工大出身の経済学者の助言をつまみ食い的に鵜呑みにした経済KYの菅直人首相による唐突な消費税10%提案」については、別途、論評を加えたい。
 
 その結果、いったんV字回復した民主党や内閣支持率だったが、ここまで本質的なレベルで民主党がブレれば、世論調査好きの大メディアのエジキにならないはずはない。

 ここでは大メディアお得意の情報操作による世論誘導を敢えてしなくとも、劇的にV字回復した民主党や内閣の支持率は、ここにきて劇的に低下している。

 最新の世論調査(毎日新聞)では、菅内閣の発足当時の支持率はわずか一カ月で66%から43%に23ポイントも劇落した。

 比例代表の投票先でも前回調査時に比べ4ポイント減の36%に続落している。かといっていつものように、自民党の支持率が上がっているわけではなく17%である。このまま行けば、浮動層の投票の行方にもよるが、民主党が56議席はおろか、50議席前後となる可能性もでてくるだろう。
 
 そのなかでみんなの党だけが前回から6ポイント増の15%と上昇している。別の世論調査によれば、みんなの党は、参議院議員選挙で2桁当選の勢いと予想される。

[毎日世論調査]菅内閣支持43%に急落
 (2010年07月09日01時11分 / 提供:毎日新聞)

. 毎日新聞は7、8日、全国世論調査を実施し、参院選(11日投開票)の終盤情勢を探った。8日で発足1カ月を迎えた菅内閣の支持率は43%で、前回調査(6月27、28日)の52%から9ポイント、発足直後(6月8、9日)の66%からは23ポイントの急落。不支持率は36%(前回比8ポイント増)だった。参院選比例代表の投票先では、民主党が36%(同4ポイント減)で、自民党の17%(増減なし)を依然引き離しているものの、みんなの党が15%(同6ポイント増)まで伸ばした。菅直人首相が明言した消費税引き上げ方針に地方の反発が強まっており、民主、自民の候補が激戦を繰り広げる改選数1の選挙区(1人区)の勝敗に影響しそうだ。....以下略

 だが、その「みんなの党」は、自民党同様、八ツ場ダム建設に推進というい記事が昨日の日刊ゲンダイにでた。

 以下はフリージャーナリストの横田一氏が日刊ゲンダイに提供した記事である。

仰天!群馬では「みんな」と「自民」が選挙協力:
税金のムダと天下りの温床なのに
…八ツ場ダム建設推進で二人三脚

(日刊ゲンダイ 2010 年 7 月 08 日 )

 税金のムダと天下りの温床なのに… 

 公務員改革や天下り批判、税金のムダ根絶を売りに、支持を訴えているみんなの党。最近は民主、自民に次ぐ第3極」とか「参院選後のキャスチングボート」なんて言われ、渡辺喜美代表もまんざらじゃなさそうだ。

 しかし、一方では「まるで第2の自民党じゃないか」の声も上がっている。発端は八ツ場ダムだ。

 「みんなの党が八ツ場ダム建設推進の立場だったのは意外でした。報道関係者でも驚いている人は少なくありません」

 こう話すのは、八ツ場ダム間題に取り組む住民団体「八ツ場ダム明日の会」。

 参院選の参考になるよう各党にアンケート調査を実施、回答をHPに公開しているが、その結果、みんなの党の化けの皮がポロポロはがれてきたのだという。

 「みんなの党は群馬を拠点とする比例代表候補として、上野宏史氏を擁立しました。実は彼の義父は八ツ場ダム推進の急先鋒として知られる建設官僚OBの上野公成・元参院議員。娘婿の宏史氏も八ツ場ダム推進の立場で、地元建設業者がボスター張りをするなど応援に回っています。八ツ場ダムの水没予定地区ではやたらと上野氏のポスターが目につきますが、ダム推進を票に結び付けようとする狙いかもしれません」(地元関係者)

 県建設業協会も選挙区の自民侯補・中曽根弘文に次いで、上野を推薦している。与党・民主党候補の富岡由紀夫は上野よりも下の扱いだ。富岡がダム反対の立場だからである。実際、選挙戦でも「選挙区は中曽根、比例区は上野」と呼びかける自民党福田派がいるなど、みんなの党と自民党は一部で二人三脚を組んでいるから驚かされるのだ。

 社民党比例候補で公共事業チェック議連前事務局長の保坂展人・前衆院議員が呆れて言う。

 「みんなの党といえば、いわゆる改革が旗印で、『無駄な公共事業の横綱格』である八ツ場ダムには当然ノーだろうと多くの有権者が推測しているのではないか。役人の天下りや税金のムタを批判している『みんなの党』が八ツ場ダムを推進するのは不可解としか言いようがありません」

 八ツ場ダムをめぐっては、国交官僚OBが工事受注業者に天下りし、受注業者が地元選出の自民党国会議員に違法献金をするなど、政官業の癒着も明らかになっている。

 そんなドス黒い工事を、自民党と選挙協力までしてゴリ押ししようとするなんて、みんなの党らしくない。(取材協力=ジャーナリスト・横田一)

 またフリージャーナリストの高杉晋吾氏によれば、民主党の比例代表で出ている小寺氏(元群馬県知事)も隠れ八ツ場ダム建設推進論者のようだ。

 となると、八ツ場ダム中止の本家本元の民主党をはじめ、「自民」、「みんな」がいったん中止された八ツ場ダムの本体工事の再開はまさに時間の問題となりかねない! 

 周知のように、前原大臣は、今になって八ツ場ダムの必要性や妥当性を問う専門家による委員会を推進論者の学者らを集め設置したが、その行方もおおよそ知れている。以下は、「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」とその委員、コメントは、高杉晋吾氏によるもの。

「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」委員
宇野 尚雄 岐阜大名誉教授(地盤工学)
三本木健治  明海大学名誉教授(行政法) 元・河川局次長で水法の専門家。
鈴木 雅一 東京大学大学院農学生命科学研究所教授(森林科学) 昨年の川辺川ダム有識者会議委員。その中ではダムに懐疑的な姿勢を示していた。森林水文学が専門であるが、緑のダムについては積極的な発言はなかった。
田中 淳 東京大学大学院情報学環付属総合防災情報研究センター長・教授(災害心理学)。中央防災会議の大規模水害対策に関する専門調査会の委員
辻本哲郎 名古屋大学大学院工学研究科教授(河川工学)、国土交通省中部地方整備局学者
中川 博次 京都大学名誉教授(水理学)  昨年の京都府の淀川水系河川整備計画技術検討会の座長。この検討会は大戸川ダムは評価しなかったが、川上ダムと天ヶ瀬ダム再開発は推進を主張した。専門は 水工水理、 河川 構造物となっている。
道上 正規 鳥取大学名誉教授(土砂水理学) 河川文化についての講演がある。ダム水源地環境整備センター役員
森田 朗 東京大学公共政策大学院教授(公共政策学) 昨年の川辺川ダム熊本県有識者会議の委員。いろいろ述べたが、結局は川辺川ダムが必要という趣旨であった。
山田 正 中央大学理工学部教授(水工学)
出典:フリージャーナリストの高杉晋吾氏
 
 筆者らは、政権交代後、数度にわたる現地調査をもとに、政権交代後、急ピッチで進む八ッ場ダム関連工事という特集記事を独立系メディアに公表してきたが、政権交代最大のシンボルともいえるこの八ツ場ダム本体工事の中止も、今や「風前の灯」となっている! 

<参考論考>
青山貞一・池田こみち・鷹取敦:急ピッチで進む八ッ場ダム関連工事@
青山貞一・池田こみち・鷹取敦:急ピッチで進む八ッ場ダム関連工事A

青山貞一・池田こみち・鷹取敦:急ピッチで進む八ッ場ダム関連工事B