エントランスへはここをクリック   

真夏の上州で環境測定
(6)「水質調査」の目的・方法・対象

青山貞一

27  July 2010
独立系メディア「今日のコラム」
無断転載禁


水質調査の目的

 水質調査の目的は、群馬県西部の白根山系と浅間山系を流れる主な河川である吾妻川と白砂川、さらに湯川、大沢川などの主要地点で実際に水質を測定することで、すでに述べた仮説をそれなりに検証することにある。

水質調査の方法

 とはいえ、pHはまだしも河川水や湖沼水中のヒ素(As)の濃度や浚渫汚泥(底質)中ヒ素の含有量濃度を測定するのは費用の観点からも容易ではない。

 そこで重金属類については、関連する指標としていわゆる電気伝導率を測定することとした。

pH

 pHは、水素イオン指数又は水素イオン濃度指数とは、物質の酸性、アルカリ性の度合いを示す数値であり、特に断らない場合は水溶液中での値を指す。pH=7 の場合は中性と呼ばれる。pH値が小さくなればなるほど酸性が強いとされ、逆にpH値が大きくなればなるほどアルカリ性が強いとされる。

 以下はWikipedeiaに掲載されていた白砂川などの河川水の酸性度の例である。白根山系を流れる万座川、遅沢川、大沢川、白砂川、それに草津温泉を流れる湯川はいずれも強酸性であることが分かる。

一次支川 二次支川 酸性度(pH)
湯尻川 (本川) 7.7〜7.9
万座川 (本川) 3.6〜6.7
遅沢川 (本川) 2.4〜3.2
白砂川 本川上流部 4.9〜5.6
湯川 1.8〜2.7
大沢川 2.3〜3.2
谷沢川 2.8〜3.9
湯川合流点 2.2〜3.0
温川 (本川) 6.9
四万川 (本川) 6.7〜8.0
名久田川 (本川) 7.2
沼尾川 (本川) 6.8

電気伝導率(electrical conductivity)

 電気伝導率は、導電率(どうでんりつ)ともいい、物質の電気伝導のしやすさを表す物性値を意味する。

 理学系では「電気伝導率」、工学系では「導電率」と呼ばれることが多い。「電気伝導度」ともいう。 また、農学分野においては目安としての肥料濃度を表すが、この場合は英語の頭文字をとり、「EC濃度」もしくは単に「EC」ということが多い。

 単位は、ミリジーメンス毎センチメートル [mS/cm]あるいはマイクロジーメンス毎センチメートル[μS/cm] を用いる。

 電気伝導率は、どのくらい電気を通すかである。1cmの距離の電極間の電気抵抗値をΩcm(オーム・センチ)と言うが、その逆数を比電気伝導率という。さらにその値に100万をかけた数字が通常我々が使っている電気伝導度(マイクロジーメンス:μS/cm)である。1cmあたりの電気抵抗が100万Ωcmであれば、比電気伝導率は100万分の1であり、電気伝導度はそれに100万をかけた1μS/cmとなる。

 具体的には、この電気伝導率の値は水が電気をどのくらい通すかを示す測定値であり、水中にどのようなイオンが含まれているかという質的なことはいっさい考慮していない尺度となる。

 したがって、電気伝導率が高い場合には、測定対象となる水が電気を通しやすいことになる。より一般的には、水の電気伝導率は水中の電解質の量を知る目安になり、電解質の量は一般の自然水、用水では溶解固形分にほぼ比例するから、電気伝導率は溶解固形分を知る目安にもなる。
 
 さらに、本水質調査の場合、ヒ素を含む各種の重金属類が分子として水中に存在したり、イオン化して存在していればいるほど電気を通しやすく電気伝導率を高く示すことになる。ただし、この電気伝導率が高いからといって、必ずしも水中にヒ素が多く含まれるとはいいきれないことに注意しなければならない。

 またpHと電気伝導率との相互関係は、重金属類(やそれに関連するイオン)が存在する地域や水域にあっては、水(湯)のpHが低ければ低いほど電気伝導率が高くなる傾向がある。それは強酸性の水溶液に重金属類は溶けやすくなるからである。ただし、いくら水が強酸性であっても、地域に重金属などの溶解固形分やイオンがなければ、電気伝導率は高くならないことになる。

水質調査の測定機

 下の写真は、2010年5月のGW及び今回(2010年7月18日)の水質測定で使用したデジタル測定機器類である。ただし、5月及び7月の測定では、pH計(左から2つめ)と電気伝導率計(左)をそれぞれ2セット持参し、キャリブレーションを励行しながら使用した。電池は9Vの積層乾電池である。


左からデジタル伝導率計、デジタルpH計、デジタルDO計、デジタル塩分計
撮影:青山貞一、Nikon Cool Pix S10 2010.5.5 

●測定対象地域
 

 調査の対象地域として以下を計画した。実際には計画したものの、地形的に川面にアクセスするのが非常に困難、危険であり、断念した場所もある。
 
 白根山系
  ・白砂川(上流、中流)
  ・湯川(中和前)
  ・湯川(中和後)
  ・大沢川(中和前)
  ・大沢川(中和後)
  ・谷沢川(中和前)
  ・白砂川(下流、湯川合流後)  
 浅間山系
  ・吾妻川(上流、白砂川合流前) 羽根尾
  ・吾妻川(中流、白砂川合流前) 大津
  ・吾妻川に流れ込む支流     
  ・浅間大滝
  ・川原湯温泉を流れる支流
  ・不動の滝

  ・吾妻川(中流、白砂川合流後) 川原湯

 品木ダム系
  ・湖水
  
 土捨場(C)
  ・浸出水


群馬県西部・吾妻川・白砂川水系水質調査計画位置図
(対象地域:群馬県長野原町・中之条町・草津町)

測定予定地点図(おおむねの位置をで示している)

つづく